ニッカンプロ野球

岡田の野球よ

日刊スポーツ記者、フリーライターとして約50年にわたって阪神の戦いぶりを見続けてきた内匠宏幸氏。特に岡田彰布氏との縁は深く、6球団競合の末、早大からドラフト1位で阪神に入団した1980年に密着連載を担当。その後も選手、コーチ、第1次監督時代を通じて精力取材を続け、監督としてリーグ優勝を果たした2005年も日刊スポーツ紙面(大阪版)でコラムを連載した。その野球観、猛虎愛に触れてきた内匠氏が「岡田の野球」を追います。

岡田の野球よ

【内匠宏幸】顧問就任の岡田彰布が言った「好きにやればいいんよ」藤川阪神に期待すること

ブルペンで投球練習を見つめる岡田オーナー付顧問(左)と藤川監督(2024年11月10日撮影)

彼がメジャーリーグに挑戦することを決めた時、2人で話す機会があった。阪神を退団し、海を渡ることを決意した若い頃の藤川球児。夢を語り、新たな世界に挑む心意気を伝えてくれた最後、僕は「もう戻ってくることはないのか?」と尋ねた。 その時の返答は、本当にすごみがあった。「僕は高知生まれの男ですから」。これで十分。球児の熱さを改めて示してくれた。 故障などで苦しみ、志...

【内匠宏幸】最もカッコよかった選手「大阪の記者は好きになれない」思い出す安芸のにぎわい

江川卓とのトレードで巨人から阪神に移籍することになった小林繁(左)は入団会見で小津正次郎球団社長と握手=1979年2月1日

長い野球記者生活で「最もカッコいいと思った選手は?」と聞かれたことがある。 カッコいい…か。ここには定義はない。カッコよさを感じるのは人それぞれ。それを踏まえて、僕が推す選手はひとり。それが小林繁である。 とにかく所作がカッコよかった。あの「江川事件」で巨人から阪神にやってきた時、圧倒的キラキラ感を出していた。 キャンプでの小林フィーバー。春の高知・安芸は空...

【内匠宏幸】藤川阪神が直面するFA問題…若手育成の秋から戦力整備のオフへ

阪神中野(左)らと笑顔で言葉を交わす藤川監督(中央)(2024年11月17日撮影)

阪神は秋季キャンプを打ち上げた。11月17日、高知・安芸に球児監督の満足そうな姿があった。このキャンプ、伝わってくるのは若い選手の躍動だった。あくまでスポーツ紙の報道だが、2軍の伸び盛りの選手の成長があったとされる。球児の目的のひとつがかなった、というところか。 さて、ここからはオフ。球団、チームとしての力点は「戦力整備」に移る。特に今年は大きなポイントが存...

【内匠宏幸】大山悠輔の宣言で活況なFA戦線、育成の猛虎は巨人と違う道を行け

FA権行使を表明した阪神大山(2024年11月13日)

今も昔も、体質は変わっていない。そう感じさせるオフの巨人の動向だ。 現状、球界のホットな話題はFAである。FA権利を取得したプレーヤーが「他球団の評価を聞いてみたい」として、移籍をにおわせる。すると過敏に反応するのが巨人…。こういう図式ができあがって久しい。 「まるでわがままな子供のようだ」。巨人の交渉事に、苦笑いを浮かべる球界関係者が多くいた。他の子供が持...

【内匠宏幸】興味深い阪神藤川球児監督の打者指導、野手出身監督が本流の猛虎で花開くか

10日、ロングティー打撃する井上広大(左)の打球を見る阪神藤川球児監督

高知安芸の阪神秋季キャンプ。連日、阪神ファンでにぎわっているとのこと。その視線の先には新監督の藤川球児がいる。 11月11日付のスポーツ紙で大きく報じられていたのが、球児が打者井上にアドバイスを送ったことだった。あくまで投手目線での考えを伝えたとのこと。いよいよ監督として、未知の領域に踏み出したか、と興味深く記事を読んだ。 阪神に「投手出身監督」が誕生したの...

【内匠宏幸】岡田彰布が絶賛した打者「野球を理解している」藤川監督が2番佐藤輝明に込めた思い

紅白戦で中前打を放つ阪神佐藤輝(2024年11月3日撮影)

阪神の秋季キャンプで、早々と紅白戦が行われた。新監督、藤川球児の発案で、前監督の岡田彰布時代にはなかった試みだった。 この試合、観客がドッと沸いたのが先発メンバー発表。「2番佐藤輝」で大きな歓声が起きた。昨今の野球界、2番に強打者を置くのは不思議でなくなった。特にメジャーリーグでは当たり前の布陣になっている。 ワールドシリーズを制したドジャース。大谷を1番に...

【内匠宏幸】高知で実現する新旧指揮官のバトンタッチ「高知に行くよ」岡田彰布が伝える極意

岡田彰布氏(2024年10月撮影)

毎朝通う喫茶店でも、夜に利用するサウナ付銭湯でもそう。顔なじみに会うと必ず聞かれる。「岡田さん、どうしてますか?」。 実はよく知らんのですわ、と返すしかなかった。監督を辞めてから、岡田彰布の情報はパタッと消えた。体調がすぐれず、という話は伝わってきたが、実際にどうなのか。ようやく連絡がつき、10日間ほど入院して検査したことを知った。 ワールドシリーズが終わり...

【内匠宏幸】改革に動いた藤川球児監督「僕の解説どうですか?」思い出す解説者時代の会話

阪神藤川球児監督(2024年10月30日撮影)

阪神の新監督が、新たな改革案を出し始めた。岡田彰布の前政権下では絶対にない「禁煙制度」を打ち出した。チームとしての活動中は喫煙を禁止するというものらしい。 岡田は愛煙家だった。ゲーム中もベンチの裏でタバコをくゆらせていた。これは岡田流の行動で、このひと時で次のゲームプランを考え、リセットの時間にあてていた。 藤川球児はこれを見直すという。これも時流に沿ったも...

【内匠宏幸】姿を消した岡田彰布「入院してたからな」藤川新監督が挑む阪神指揮官の激務

阪神対DeNA DeNAに敗れベンチを引き揚げる阪神岡田監督(右端)(2024年10月13日撮影)

前監督の情報がまったく出なくなった。岡田彰布のことだ。藤川球児が新監督に就任して以降、岡田に関する記事が消えた。 どうしているのか? と思っていたところに連絡が入った。日刊スポーツのトラ番からだった。「球場に姿を見せました」。久しぶりの登場となった。なんでもトレーニング機器を使って、体を動かしていたとのこと。それを聞いて、まずは安心した。体調は戻りつつあるよ...

【内匠宏幸】岡田彰布超えなるか「オレはクジ運が悪かった」藤川球児新監督の初仕事の結果は?

スカウト会議を終え囲み取材に応じる阪神藤川監督(撮影・垰建太)

阪神タイガースを取材しておよそ50年になる。初めて担当記者になった時の監督は後藤次男。仏のクマさんと呼ばれ、怒った姿を見たことがなかった。まさに「和気あいあい」。これでは勝てるわけなかった。 そこから外国人監督のブレイザー、さらに村山実、吉田義男の複数回復帰を経て、新しいタイガースに進んでいった。 画期的だったのが他球団の血を取り入れたこと。野村克也、星野仙...

【内匠宏幸】「根本的な力が…」岡田彰布が見誤った助っ人野手、藤川新監督の解決法の注目

1軍に合流した阪神ミエセス(左)と話すシェルドン・ノイジー(2024年5月18日撮影)

外国人選手が活躍するチームはやはり強い。それを裏返しで証明したのが今シーズンの阪神だった。 攻撃力に課題があったのに、シーズン中盤から外国人野手の名前は1軍から消えた。そして最後まで上に上がることなく、日本をあとにした。ノイジー、ミエセスの2人である。 これは前監督、岡田彰布の見込み違いだった。2023年の日本シリーズ第7戦で、ノイジーが放った3ラン。この1...

【内匠宏幸】監督力で1点をもぎ取った岡田彰布、藤川新監督に必要な攻撃の参謀役

フェニックスリーグの視察に訪れ、和田2軍監督(左)とあいさつを交わす阪神藤川監督(撮影・前田充)

阪神の新監督、藤川球児が精力的に動き始めた。この原稿を書いている時間、藤川は宮崎にいる。2軍の関係者と会い、今後スタートする秋の練習、秋季キャンプの具体的な進め方についても言及している。 とにかく話し出したら止まらない。監督就任発表があった翌日。スポーツ新聞には「球児語録」があふれた。新聞の2面、3面をぶち抜いての語録展開。このような紙面を見るのは初めてかも...

【内匠宏幸】岡田彰布の後を継ぐ藤川球児の野球とは? ヒントになる熱い言葉

藤川球児氏(2024年8月1日撮影)

球界最年長監督がグラウンドを去った。阪神の岡田彰布である。最後の采配となった10月13日。敗戦のあと、スタンドに残るファンにあいさつすることもなく、静かにベンチから消えた。何で? どうして? あまり記憶にない終わり方だった。そのあたりのことも含め、岡田についての詳しい事情は、改めて記したいと思っている。 この日を境に、新たなタイガースに向け、事態は進みだした...

【内匠宏幸】「風邪ひいたことない」岡田彰布が漏らした「しんどいわ」2日間の休養で完全燃焼を

阪神岡田彰布監督(2024年10月8日撮影)

若い頃から口にしていた。「オレ、風邪をひいたこと、ないんですわ。ホンマ、自分でも強い体やなと思う」。阪神監督の岡田彰布である。付き合いは45年になるが、実際、岡田がダウンしたという記憶は、自分にはない。 食事を共にしたことは何百回とあるが、野菜はほとんど口にしない。「食べた方がいいで」と言うと、必ずこう返ってきた。「別にいいやんか。無理して嫌いなもの、食べる...

【内匠宏幸】愛称で呼ばない岡田彰布の例外…就任決定的「球児」新監督との不思議な縁

05年9月9日、広島戦で最後を締めた藤川は阪神岡田監督(左)と笑顔でタッチ

阪神監督、岡田彰布の今季限りでの退任が正式に発表された。2年契約が満了。これに伴い、藤川球児が後任候補として、新監督就任が決定的との報道が続いている。 岡田と藤川…。年の差は20。それでも「縁」を感じる2人の関係性。そこに人生の不思議さがある。 岡田は選手のことをニックネームで呼ぶことはほとんどない。鳥谷は「トリ」ではなく「トリタニ」。金本も「カネ」(時々言...

【内匠宏幸】「影響を与えたらアカン」去就を語らなかった岡田彰布の監督集大成

笑顔で記者と話す岡田監督(2024年10月2日撮影)

今季の甲子園最終戦は9月30日だった。試合前の練習中、監督の岡田彰布はベンチに座ったままだった。その周りを囲んでいたのが多くのベテラン記者。昔からの付き合いで、節目でのあいさつにきたということだった。 昔話に花が咲いた。こういう話、岡田は大好きだが、逆にいうと「岡田も年を取ったな」と改めて思った。年を重ねると、昔を懐かしむ。これが人間のあるあるなんだろう。 ...

【内匠宏幸】CS制度に否定的な岡田彰布の気になる言葉「できるだけ長く」去就の結論は…

9月28日、ヤクルト対阪神 セ・リーグ連覇を逃し、引き揚げる阪神岡田監督

広島で巨人が勝ち、東京で阪神は負けた。9月28日の夜、巨人の優勝が決まった。 神宮での試合後。今年最後のヤクルト戦が終わり、チームは応援してくれた東都のファンにあいさつ。その時、期せずして起きた「岡田コール」。監督の岡田彰布は、これをどう聞いたのかだろうか。 堂々と戦った末の2位だった。崖っぷちに立ちながら、そこから何度も踏ん張った。だが勝負師に慰めはいらな...

【内匠宏幸】岡田彰布が悔やんだ「進塁打のサインを…」打撃コーチと佐藤輝明の意思疎通は?

阪神佐藤輝明(2024年9月23日撮影)

巨人が負けた。阪神のチャンスが残った…。そんな紙面を想像していたら、まったく違った。26日付のスポーツ新聞(大阪版)は佐藤輝にまつわる話題が1面だった。 それは23日の巨人戦のこと。勝負どころでの佐藤輝のバッティングが焦点になった。6回無死二塁で、佐藤輝の打席。最低でも走者を三塁に進めることが求められる場面で平凡なフライアウト。これに監督の岡田彰布が言及。「...

【内匠宏幸】「アレマ」の拙守を連発した佐藤輝明の変化、安定した守備でアレンパに使者になれ

阪神対巨人 1回表巨人無死二塁、浅野のバントで捕球した才木から送球を受けた佐藤輝明(24年9月22日撮影)

球団初のセ・リーグ連覇。それを「アレンパ」とした。「そうよ。あれは佐藤輝が言うたんや」と阪神監督の岡田彰布は笑った。 ところがアレンパどころか「アレマ」のプレーを繰り返した。アレンパと名付けた佐藤輝の守備。目を覆いたくなる惨状だった。増えるエラーの数。それも負けにつながるミスが多く、もし下柳がマウンドで投げていたら、グラブを何度もたたきつけていたに違いない。...

【内匠宏幸】優勝の行方は巨人か阪神か…CS進出かけた3位争いも大きな影響与える

中日対阪神 9回表阪神2死二、三塁、坂本の中前2点適時打で生還した佐藤輝、大山らを迎える岡田監督(中央)(2024年9月18日撮影)

<中日3-8阪神>◇18日◇バンテリンドームすでに阪神は勝っていた。難敵の高橋宏を打ち崩し、中日に快勝…。気分よく、これで終われたらいいけど、そうはいかない。あとはスマホの速報とにらめっこ。東京ドームでの巨人とDeNAの試合がえらいことになっている。ここで巨人が勝つか、それとも負けるか。優勝にかかわる大事な戦いは、延長12回で引き分け。阪神はゲーム差で半歩詰...

【内匠宏幸】T-岡田に「もがけ」と言った岡田彰布、執念の采配で阪神連覇へもがく

2012年4月、猛打賞の活躍を見せたT-岡田(右)を出迎える岡田監督

<阪神-ヤクルト>◇16日◇甲子園9月16日の甲子園。ヤクルト戦の試合前に今季限りで引退を表明した青木のセレモニーがあった。登場したのが阪神監督の岡田彰布。早大の先輩後輩の間柄で、岡田はねぎらいの言葉を送った。 「何かひとネタをぶっ込んでくるおもしろい人」と青木が語るように、こういう時の岡田の言動は実におもしろい。 と同時に、ひとつの言葉に「愛」や「やさしさ...

【内匠宏幸】どうなる?岡田彰布の去就問題、熱い戦いの後に待つストーブリーグ

阪神対DeNA DeNAに敗れ引き揚げる岡田監督(2024年9月11日撮影)

阪神監督の岡田彰布には独特の直観力がある。例えば古い話で申し訳ないが、今岡が現役の時、不振で2軍調整していた。それが突然、監督の岡田が1軍に呼び寄せた。さらに先発で起用。すると本塁打を打った。使った訳を聞く。「エッ、知らんの? 今日(9月11日)、アイツの誕生日やんか」。驚きの理由だった…というのは有名な話だ。 同じ9月11日の甲子園。負けられぬDeNA戦の...

【内匠宏幸】激怒しなかった岡田彰布の真意「ここからがホンマの勝負」」16年前の実体験

ヤクルト対阪神 ヤクルトに敗れ引き揚げる岡田監督(撮影・河田真司)

これは絶対に「大爆発」する。それも過去イチの大噴火になる…と思っていた。それがどうだ。穏やかに振り返るだけの監督に、驚いた。 9月8日のヤクルト戦(神宮)。すでにデーゲームで巨人、広島が負けていた。さらに差を詰めるチャンスがきた。ところが、ひとつのイージーミスで暗転。佐藤輝の捕球ミス。スポーツ新聞に「伝説的ミス」の見出しが並んだが、監督の岡田彰布は、ほとんど...

【内匠宏幸】辛口の岡田彰布がほめた森下翔太の打撃「ようなってるやろ」不動の3番起用へ

阪神対中日 1回裏阪神無死一、二塁、同点となる2点適時二塁打を放つ森下(2024年9月4日撮影)

甲子園に快音が響く。嫌な空気を切り裂く一撃だった。9月4日の中日戦。いきなり守備のミスから1回表に2点を失った。相手は小笠原。苦しい展開は避けられない。ベンチもスタンドも、そう感じた直後だった。 裏の攻撃で近本、中野が連打。ここで打席に入った3番森下。小笠原の見送ればボール気味の外の高めストレートを右中間にライナーで打ち返した。同点の二塁打…。これをベンチで...

【内匠宏幸】あきらめるには早いが…一丸には遠かった岡田阪神、巨人戦で感じた戦術理解度の差

阪神対巨人 7回裏を終え降雨中断となりベンチからグラウンドを見る岡田監督。左は平田ヘッドコーチ(撮影・加藤哉)

阪神監督の岡田彰布は力を込めて、絞り出した。 「野球は最後まで何が起きるかわからん。それが野球なんよ。だから…、あきらめたりはしない。ホンマ、何が起きても不思議でないんやから」。これは甲子園での巨人戦前のコメントだった。 8月31日、その通りの展開で勝った。巨人の戸郷から放った佐藤輝の3ラン、そして木浪のタイムリー。訪れたチャンスを逃がさなかった。そして月替...

【内匠宏幸】コーチ陣は何をしている?「俺が1人カリカリ」岡田彰布の寂しい口調の真意は

DeNA対阪神 8回、ベンチで厳しい表情の阪神岡田監督(撮影・垰建太)

1週間前、このコラムで書いた。「気がつけば上より下が近づいている」と。3位で広島、巨人を追う阪神だが、Aクラスの座が怪しくなっていた。上との差は広がり、下との差は詰まる。「3位はまず安泰」との考えは実は甘かった。 8月27日、28日でのDeNA戦に連敗し、阪神の貯金は「3」。DeNAは勝率5割に戻し、その差は1・5ゲーム。まさに現状の力の差、勢いの差を見せつ...

【内匠宏幸】岡田彰布が認める無形の力「アイツの周りには…」逆転優勝へ大山悠輔が先頭に立て

やっとのことで逃げ切った。広島の粘りに苦しんだが、最後、岩崎が3人で片づけた。8月25日。ここで負ければ6ゲーム差…。絶望的な状況になるところで、阪神は踏ん張った。 試合後の三塁側ベンチの様子がテレビに流れていた。その中で2人、ベンチに腰を落とし、しばしの休息を取っていた。大山と中野。ベンチの壁に2人とも、顔を寄せていた。ここには通風孔があり、隙間から冷気が...

【内匠宏幸】ベンチから出なかった岡田彰布「何しに来たん?」開き直りで最後の大暴れへ

阪神対ヤクルト 7回表を終えベンチで笑顔を見せる岡田監督(2024年8月21日撮影) きっとピリついているだろうと思っていた。8月21日の京セラドーム大阪。ヤクルト戦の試合前の練習。ベンチの奥から監督、岡田彰布が姿を見せた。そのまま外野に向かうのが通例の動きだが、この日は違った。 「何しに来たん?」と僕は声をかけられた。そこにベテラン記者が加わり、岡田はベン...

【内匠宏幸】このまま沈んでいくのは寂しすぎる 岡田監督にとっておきのフレーズ それは…

18日、中日に敗れた岡田監督はベンチから引き揚げる

8月19日付の日刊スポーツを広げた。馴染の喫茶店でモーニングサービスを頼み、備え付けのスポーツ新聞を4紙。最後は日刊スポーツで締めるルーティン。そこで2面下にあったチーム成績表を見直した。 そこにはかなり厳しい数字が並ぶ。上が遠のく3位だが、その下を見て驚いた。4位のDeNAとのゲーム差は3・5。もっと離していると思っていたら、上よりも下の方が近かった。阪神...

【内匠宏幸】岡田彰布の2年前の言葉「ずぬけた力」衝撃与えた巨人浅野翔吾の1発

2年前の今頃、岡田彰布は西宮の自宅でテレビを見ていた。まだ阪神監督のカムバックが決まる前。大好きな高校野球の夏の大会をチェックしていた。目に留まったバッターが2人いた。ひとりは智弁学園の選手。もうひとりが高松商の浅野だった。「浅野はエエよ。体がしっかりしているし、スイングスピードは相当や。1人ずぬけた力と思う」。インパクトは大だった。 そこから物事が動いた。...