【虎になれ】阪神の盗塁数変化に思う“積極性とは何か”

現役時代から知るOB赤星憲広から最近、面白い話を聞いた。日本一を飾った阪神の盗塁に関することだ。矢野燿大が率いた昨年までと今季、大きく変わったのは「盗塁」だったのは虎党なら知るところだろう。 昨年までは「グリーンライト」、つまり「行けたら行け」という考えで各選手が一塁コーチ・筒井壮とも相談し、盗塁を狙った。だが今季は「ベンチのサインで走る」という方針に変わっ...
記者生活30年超の高原寿夫編集委員が、阪神タイガースに鋭く迫る。
現役時代から知るOB赤星憲広から最近、面白い話を聞いた。日本一を飾った阪神の盗塁に関することだ。矢野燿大が率いた昨年までと今季、大きく変わったのは「盗塁」だったのは虎党なら知るところだろう。 昨年までは「グリーンライト」、つまり「行けたら行け」という考えで各選手が一塁コーチ・筒井壮とも相談し、盗塁を狙った。だが今季は「ベンチのサインで走る」という方針に変わっ...
「えっ?」と思った。そう言うのも失礼だがびっくりしたのは確かだ。25日、大阪市内のホテルで開催された阪神OB会総会。そこに登場した“ある人物”を見たときだ。安仁屋宗八。79歳。白いもみ上げ、ヒゲを蓄え「おお。久しぶり」と柔和な表情を浮かべた。 沖縄出身者としては初のプロ野球選手。地元では「レジェンド」として尊敬される。カープ戦で広島に出張し、マツダスタジアム...
阪神の甲子園主催試合で今季最少は6月5日のロッテ戦(甲子園)で3万6780人だ。これで「最少」なのもすごいが阪神関係者が言われ、うれしかったのはこういうことだという。 「2日でこれだけ売れるなんて考えられない」。阪神の営業関係者があるパ・リーグの同じ立場にいる人物から聞いた言葉という。ロッテ戦は同2日、金曜日から週末3連戦の予定だった。だが2日は雨天中止。そ...
やはり指揮官・岡田彰布は面白い。安芸・秋季キャンプ最終日。虎番キャップたちから「特に目を引いた選手は?」と問われ、門別啓人の名前を挙げた。にもかかわらず「隠したいからあんまり(記事を)書くなよ。ええことないって書け、言うてるやん」と注文するなど楽しんでいる様子。これも日本一効果か、などと勝手に思った。 昨年の同じ秋季キャンプを思い出す。岡田にとっては15年ぶ...
日本一を決めた5日深夜、テレビ画面に映し出されるビール掛けを見ながら、京セラドーム大阪で原稿を書いていた。ふと思ったのはこういうことだ。 「大の大人が大人数で日曜の深夜にビールかけて大騒ぎって。まあ普通ちゃうなあ」-。プロ野球というかスポーツの世界だからこそ、あり得る光景だろう。他でやったらひんしゅくを買うのは間違いない。だからこそ楽しいんやな、と感慨にふけ...
<日本シリーズ:オリックス1-7阪神>◇第7戦◇5日◇京セラドーム大阪「そらあるわ! そんなもん!」。オリックスへの特別な気持ちはあるかと聞いたときだ。指揮官・岡田彰布は語気を強めた。「あのときのことを知ってる人ももう少ないけどな」。12年に「紙切れ1枚で解任」された古巣との対決に燃えていたのだ。 それでも最後は「オリックスは強かった」と相手をたたえた。執念...
<日本シリーズ:オリックス5-1阪神>◇第6戦◇4日◇京セラドーム大阪これでエエやん。独断で言ってそんな気もする。第6戦、阪神はノイジーのソロで先制したが逆転負け。対戦成績は3勝3敗のタイとなった。戦前から「どちらが勝っても7戦までいく」という見方が多かったと思うが、その通りになった。7戦までは引き分けの設定があるので絶対に最後とは言えないが、ほぼ間違いなく...
日本シリーズが面白い。ここまで5試合で阪神が3勝2敗と王手をかけている。虎党は4日の第6戦で一気に決めたいところだろうが野球好きとすれば、ここまでくれば最後まで行ってほしい気もしたり? 熱戦続きのシリーズだがそれにしても両軍に目立つのが失策である。「短期決戦はミスが命取り。ミスした方が負ける」。これは指揮官として広島を3連覇に導いた緒方孝市(日刊スポーツ評論...
<日本シリーズ:阪神6-2オリックス>◇第5戦◇2日◇甲子園逆転勝ちで阪神が38年ぶり日本一に王手だ。最終結果はまだ分からないが流れが阪神に傾きつつあるのは間違いない。ヒーローの記事は虎番記者でお楽しみいただくとして、ここでは地味ながら光ったプレーについて触れたい。 「頂上決戦」でこれはあかんぞと思ったのは7回、阪神の守備だ。2死一塁から3番手・島本浩也が森...
<日本シリーズ:阪神4-3オリックス>◇第4戦◇1日◇甲子園耳をつんざく大歓声が甲子園を包む。大山悠輔のサヨナラ安打が出た瞬間だ。日本シリーズ第4戦は死闘の末、阪神がサヨナラ勝ちを決めた。これで2勝2敗。虎党の歓喜は当然だが、その陰で寂しい光景が展開されていた。 オリックスが反撃していた7回表だ。同点にされ、なお1死一、二塁。阪神ベンチはここで2番手・桐敷拓...
<日本シリーズ:オリックス5-4阪神>◇第3戦◇31日◇甲子園勝負の分岐点はやはり5回、伊藤将司のバント処理ミスか。同点で迎えたこの回、1点を勝ち越され、なお1死一塁。ここで打順は9番・東晃平に回った。シーズン中はまず打席に立たないパ・リーグの投手。当然、犠打で来るはず。 はたして東はバント。これが微妙な強さで一塁寄り投手前に転がる。シーズン中の守備率10割...
全体練習が終わり、一塁側アルプス席に座った指揮官・岡田彰布は虎番キャップたちの取材に応じていたときのこと。突然、岡田が「どうなったん?」と監督付広報・藤原通に聞く。「負けました」と藤原。「あ、そう」。岡田は寂しそうに返した。 日本シリーズ第3戦を前に何の話か…と思ったら「早慶戦」の話だ。この日、東京6大学野球リーグ(神宮)で3回戦が行われ、慶大が早大を5-3...
<日本シリーズ:オリックス8-0阪神>◇第2戦◇29日◇京セラドーム大阪なんとも興味深い。こんなことがあるのか。1戦目を8-0で圧勝した阪神。「おお。(自分の)背番号と同じでエエ思たんやけどな」-。指揮官・岡田彰布は背番号「80」のままのスコアに喜んだのもつかの間、第2戦は正反対の0-8で完敗となった。投手を中心にした守りのチームだけにあり得る結果かもしれな...
<日本シリーズ:オリックス0-8阪神>◇第1戦◇28日◇京セラドーム大阪阪神の悪い流れを変えたのは間違いなく佐藤輝明の盗塁だ。村上頌樹、山本由伸と好投手同士の投げ合いで膠着(こうちゃく)状態に陥りつつあった5回。先頭・佐藤輝は詰まりながらも力で中前へ運んだ。そして次打者ノイジーが初球フォークを空振りする間に迷いなくスタートを切る。頭から滑り、右手を伸ばして二...
楽しみなような、不安なような、これまで経験したことのない複雑な気持ちで日本シリーズを迎える。59年ぶりの「関西シリーズ」。64年は1歳だったので記憶はない。野球記者になって日本シリーズ取材はいろいろ経験させてもらったが、当然ながら、こういうのは初めてだ。 虎番キャップたちに囲まれた岡田が「分からんわ」を繰り返したのはそういう意味ではないだろうが、それにしても...
<セ・CSファイナルステージ:阪神4-2広島>◇第3戦◇20日◇甲子園おそるべき「普段着野球」だろう。投手を中心にした守りの野球-。指揮官・岡田彰布が掲げる理想のスタイルはシーズンの戦いと同じでも、そのまま短期決戦に通用すると証明した。 「そら紙一重やったと思うよ」。岡田がそう評したように、CSファーストステージを勝ち上がってきた広島と3試合とも接戦を繰り広...
<セ・CSファイナルステージ:阪神2-1広島>◇第2戦◇19日◇甲子園「足が震えるような応援をお願いします」。大歓声に包まれたお立ち台で木浪聖也はそう言った。日本シリーズ出場へ王手をかけたヒーロー。その話は虎番記者の記事でじっくり読んでいただくとして、ここでは木浪が「関西、関西人は好きではなかった」-という話を書いてみたい。 木浪は青森出身。野球の名門・青森...
<セ・CSファイナルステージ:阪神4-1広島>◇第1戦◇18日◇甲子園「1勝1敗」に持ち込める…という広島ファンの希望を砕いたのは間違いなく森下翔太の一撃だ。1点ビハインドの4回1死走者なしから九里亜蓮のスライダーをとらえ、左翼席へ豪快な同点弾。まだ同点だったが虎党はもちろん、阪神ベンチにも「これでいける」という確信を与えた本塁打だったと思う。 「記録的なア...
CSについて、いろいろな意見があるのは野球ファンなら誰でも同じことだろう。かつてはセ、パ・リーグの優勝球団同士がぶつかるシンプルな形だったが、パで実施していた前後期制、プレーオフなどの時代があって07年からはセと合わせて現在のCS制になっているのは周知の通りだ。 優勝チームが日本一決定戦に出られないケースが起こるなど“弊害”の一方、消化試合が減り、プロ野球を...
CSファーストステージは広島が連勝で勝ち抜きを決めた。「横浜スタジアムで試合するならDeNAやとおもてたけどな。マツダ(スタジアム)になったしな。広島が勝つんちゃうか」。14日付のこのコラムで紹介したように阪神指揮官・岡田彰布が“予言”した通りの結果になった。 この2試合で目立ったのはカープを引っ張る新井貴浩の積極的な采配だろう。広島3連覇の緒方孝市(日刊ス...
<セ・CSファーストステージ:広島3-2DeNA>◇第1戦◇14日◇マツダスタジアム日本シリーズ進出に向けて阪神が戦う相手は広島かDeNAか。いよいよ始まったCS第1戦は延長11回、広島・秋山翔吾がサヨナラ打を放ち、2位の意地でファイナル進出に王手をかけた形となった。 シーズンと違う短期決戦に加え、両軍先発が広島床田寛樹、DeNA東克樹とリーグを代表する左腕...
14日から、いよいよCS期間がスタートする。阪神サイドからすれば、なんだか長い間、待たされたというか、まだしばらく待つのだが、とりあえず16日までにはCSファイナルで阪神が戦う相手が決まる。セ・リーグは2位広島と3位DeNAの対決。両球団のファン、さらに虎党も当然、注目のゲームだ。 「せやけどおまえ、テレビないねんなあ。地上波は? ええ? ケーブルテレビでは...
<ヤクルト5×-4阪神>◇4日◇神宮神宮球場のヤクルト戦が雨で中断しているとき、東京ドームで巨人指揮官・原辰徳が最終戦を終え、あいさつしていた。「辞任します」-。指揮官・岡田彰布とは現役時代からしのぎを削った間柄だ。12球団でも60代の監督は2人だけ。岡田にはそれなりに思いがあるはずだ。 その岡田阪神今季最終戦のサヨナラ負けに「しゃあないな」と話した。そこに...
<広島5-6阪神>◇1日◇マツダスタジアムそれにしても佐藤輝明は面白い。そう思う。3回に先制適時打。5回には敵のミスが出た直後の無死一、二塁で23号3ランをかっ飛ばす。さらに6回の守備では堂林の三ゴロを素手でキャッチ。ピシッと一塁に刺す好守も見せた。誰が見ても、ここまでは100点に近い働きだったと思う。 その流れで迎えた7回だった。5-3と阪神が2点リード。...
<広島2-1阪神>◇30日◇マツダスタジアムDeNAも粘るなあ、という感じだ。CSファーストステージはマツダスタジアムか、横浜スタジアムか。まずは球場の話で、ファイナルで待ち受ける阪神の相手を決める争いではないがやはり注目してしまう。 阪神にとって、どちらが勝ち上がってくる方がいいのか。そこに関しては割とハッキリした数字が出ているような気はする。今季、阪神が...
<DeNA5-3阪神>◇29日◇横浜指揮官・岡田彰布は悩んでいるようだ。「明日(30日)から広島とやるのちょっとイヤよな」。順位に影響するからだ。広島は2位マジックが「2」。残り2試合を自力で2つとも勝てば、マツダスタジアムでのCSファーストステージ開催が決定する。岡田にすれば30日は横浜から広島への移動試合だし、控え選手中心で戦いたいところだが、それでは3...
<阪神2-7中日>◇27日◇甲子園甲子園ラストゲーム後、指揮官・岡田彰布はマイクを手にあいさつした。「ファンの声援がすごい力になったのは間違いありません」-。岡田にしては“よそいき”風の話しぶりだったが感謝の言葉は本物だ。 だが、この試合に限れば虎党はいささか寂しい思いをしたかもしれない。最下位に低迷する中日に圧倒された。先発した富田蓮のテストを含め、何が何...
<阪神2-0ヤクルト>◇26日◇甲子園不振の森下翔太が虎番の若手記者たちに囲まれる。こちらが聞くとすれば「調子悪いよね。疲れもあるのかな」などとストレートになるが同世代の若手たちはもっと丁寧だ。「久々の1番でしたが?」などとオブラートに包む。エラいな、と素直に思う。まあ、どういう聞き方をされても結果が出ていないので森下にすれば特に答えようはない。それでもキチ...
<中日2-1阪神>◇25日◇バンテリンドーム指揮官・岡田彰布は2試合で1点の打線におかんむりだった。詳しくは虎番記者の記事で読んでいただくとして「何も言わんようになったら好き放題打っとるな」などという発言から想像して、サイン、指示がなくなりフリーになったら得点できなくなったことに立腹しているようだ。 延長12回引き分けに終わった24日試合後にはめずらしいコメ...
<中日0-0阪神>◇24日◇バンテリンドーム延長12回、スコアレスドローに終わったこの試合で中日ビシエドが通算1000安打を記録した。その来日初試合は覚えている。阪神戦だった。16年3月25日、京セラドーム大阪。元監督・金本知憲の就任1年目、初公式戦だ。 その試合、ビシエドはメッセンジャーから来日初安打を放つと鶴直人から来日1号ソロもマークする。この活躍もあ...