ニッカンプロ野球

広島番記者

「ママチャリ」エルドレッドが見いだしたセ打率1位ファビアン 家に帰ればまさかの…

DeNA対広島 6回表広島1死二塁、適時打を放つファビアン(2025年5月10日撮影)

広島の新外国人サンドロ・ファビアン外野手(27)が、広島打線の攻撃にアクセントを加える存在となっている。来日1年目ながら、ここまでリーグトップの打率3割2分9厘をマークする。6番で開幕した打順も今や3番を任され、13試合連続安打中。すでに優良助っ人の印象を受ける。 日本球界で活躍し、ファンに愛された広島の外国人選手たちはみな、強い個性を放っていた。代表例が、...

打者一巡でも動かなかった巨人ベンチとは対照的に8点差でも会沢翼が“間”を取った理由

会沢翼(2025年4月11日撮影)

4月11日巨人戦(マツダスタジアム)。7得点を奪った打者一巡の攻撃を終えたばかりの5回だ。無死二塁で、この日スタメンマスクをかぶった広島会沢翼捕手(36)はタイムをかけ、“間”を取った。マウンドに歩み寄ると、4回まで3安打2失点の森下ではなく、内野陣に語りかけた。 「自分たちが7得点したということは、相手も7点取ることだってある。もう1度、引き締めて行こう」...

開幕4番候補の助っ人モンテロの打席内ではない、コーチも認める美しい構えとは

広島モンテロ(2025年3月1日撮影)

広島の新外国人エレフリス・モンテロ内野手(26=ロッキーズ)の美しい構えに驚いた。 オープン戦出場10試合で打率3割8分1厘、2本塁打、3打点を記録する打撃の構えではない。守備での構えだ。一塁に走者を置いて、投手からのけん制に備える姿勢がいい。重心を低く、グラブを投手に向けて突き出して構える。基本に忠実な姿勢に驚いた。 「いつもコーチから言われてること、練習...

新外国人のそばにいるラスボス感漂う通訳は日本球界経験者でアカデミーのコーチも兼任

フアン・フェリシアーノ通訳(19年5月撮影)

広島の新外国人トリオのそばには、ラスボス感を漂わせる通訳が寄り添っている。1980年4月6日生まれ。日本でいえば「松坂世代」のフアン・フェリシアーノだ。カープドミニカアカデミーから広島に02年に入団し、06年まで日本でプレーした。現役引退後は自身が育ったカープドミニカアカデミーでコーチを務め、19年からヘンディ・クレートと入れ替わるように母国と日本を行き来し...

現役ドラフトで加入の山足達也 キャンプ直前に男の子誕生 32歳で「挑戦」は「新鮮」

10日の広島紅白戦、2回裏白組2死、左前打を放った山足(撮影・加藤孝規)

新天地・広島で迎える春季キャンプの直前、山足家は新しい家族を授かった。宮崎・日南キャンプが始まる直前の1月30日に、男の子が誕生。「少しだけ会うことができました」とお父さんは目尻を下げた。うれしいスタートになった。 昨秋の現役ドラフトで、山足はオリックスから広島に移籍。32歳になるプロ8年目で、また自分の立ち位置をつかむ挑戦が始まる。1軍がキャンプを張った日...

ドラ2佐藤柳之介から目が離せない!新人でただ1人帽子をかぶり練習した理由の裏には高い意識が

新人合同自主トレで、キャッチボールをする広島ドラフト2位の佐藤柳(2025年1月8日撮影)

広島の恒例行事となった合同自主トレが15日、広島・廿日市市内の大野練習場で始まった。 16日からは広島市内のマツダスタジアムと大野練習場の2カ所に分かれて合同自主トレが続いていく。初日から大道ら3投手がブルペン入りするなど、春季キャンプへ向けた強度も上がっている。 6日に大野練習場に隣接する大野寮に入寮し、7日から新人合同自主トレを始めている新人8選手の調整...

189センチ新井監督も「めっちゃデカい」とびっくり2mドラ5菊地ハルンと育成1位小船翼

新入団選手会見で、身長2mのドラ5菊地ハルンを見上げる新井監督

17日に広島市内で行われた新入団会見に同席した広島新井貴浩監督(47)が珍しく小さく見えた。指揮官の身長は189センチで現役時代から体格を維持している。それでも新人選手と並んだ新井監督は小さく見えた。 ドラフト5位の千葉学芸・菊地ハルン投手(18)はドラフト指名時の球界最高身長となる2メートル、体重110キロと恵まれた体格を持つ。育成1位の知徳・小船翼投手(...

若侍だった田村俊介の現在地 苦しんだシーズンを越えてレギュラーを目指す自分との戦い

広島田村俊介(2024年4月17日撮影)

侍ジャパンが世界一を目指す戦いの中、3月に侍戦士だった広島田村俊介外野手(21)は宮崎・日南の秋季キャンプで自分自身と戦っていた。 ちょうど1年前の秋季キャンプ中に行われた侍ジャパンとの練習試合で井端監督の目に留まり、今年3月の欧州代表戦の侍ジャパンに抜てきされた。広島でも開幕スタメンに起用されるなど、外野の一角を期待された。だが、相手のマークに苦しんだ。低...

明大・宗山のドラ1指名公表は末包昇大に対する期待の表れか 6月の離脱までOPS.810

広島末包昇大(2024年9月18日撮影)

広島はここまで12球団で唯一ドラフト1位指名選手を公表している。明大・宗山塁内野手(4年)の指名公表は広島ファンだけでなく、他球団ファンも驚かせた。チーム編成上、右打ちの打者が不足しているとみられるが、小園や台頭した矢野もいる左の内野手の指名が決まった。それだけの逸材であり、スター性やリーダーシップの面でも高く評価しているという。 球団の1位指名公表によって...

9回9失点45球をすべて受けた石原貴規「何かできた」いつもより帰路遅く 帰宅後も映像を見返す

広島対巨人 9回表巨人無死満塁、モンテスに勝ち越し四球を与え、降板する栗林(撮影・加藤孝規)

眠れない夜になった。広島が2ゲーム差で追う首位巨人との直接対決2戦目の11日、2点をリードした9回に9点を失い、逆転負けを喫した。敗戦投手となった栗林を含め3投手の計45球すべてを受け続けたのは、石原貴規だった。試合後、球場を後にするのが遅いのはいつものことだが、この日はさらに遅かった。 「すぐに切り替えて、また明日とはならない。ピッチャーの人生も背負ってい...

今季6ポジションで出場の二俣翔一が超ユーティリティーに!? 神宮で密かに“捕手”務める

広島二俣翔一(2024年6月20日撮影)

3年ぶりに広島二俣翔一内野手(21)が“捕手”を務めた。 8月17日ヤクルト戦の7回表の攻撃中。6回裏に2番手として登板した松本のキャッチボール相手として、三塁ファウルゾーンで球を受けた。先発マスクの会沢はベンチに待機し、坂倉は一塁で先発出場。捕手登録唯一の控えだった石原も代打出場に備え、ベンチ裏でスタンバイしていた。「キャッチボール相手がいなかったので、僕...

大瀬良なるか防御率0点台 70年阪神村山実は、監督との究極の「二刀流」で0・98

広島大瀬良大地(2024年7月20日撮影)

広島大瀬良大地投手(33)が、球界55年ぶりの快挙へひた走っている。防御率は0・85。このままシーズンを終えて防御率0点台なら、70年の村山実(阪神)以来、2リーグ分立後2度目の偉業だ。 4日現在106イニングを投げ、わずか自責点10という安定感を誇る。現在の大瀬良に最も近い村山の70年の登板を見ると、9月17日巨人戦を終えた107回2/3。このときの防御率...

シーズン中の新戦力獲得ないのは新井監督の覚悟「トントンとうまくいくとは思っていない」

広島新井貴浩監督(2024年7月9日撮影)

補強期限が迫る。例年にない混戦のセ・リーグ。戦力補強を行う球団もある中、広島に新戦力獲得の一報は届かない。そこには、新井貴浩監督(47)の強い意思にある。 広島は今季、開幕早々に2人の新外国人野手が負傷離脱するアクシデントに見舞われた。中継ぎ投手のハーンも出遅れた。昨秋ドラフトで獲得した新人選手も1軍出場したのは、交流戦で初昇格した育成2位の佐藤のみ。ほぼ昨...

【広島】22年まで0盗塁から今季リーグトップ9盗塁 矢野雅哉が新井体制下で急成長できた理由

広島矢野雅哉(2024年4月4日撮影)

新井体制2年目の現時点で、もっとも成長した選手かもしれない。2年前まで1軍に定着していなかった矢野雅哉内野手(25)が今季、広島の遊撃手のレギュラーとして欠かせない選手となりつつある。 入団時から守備力、強肩はチームでもトップクラスと評価されていた。だが「打撃が課題」「足は速い方でも特別速いわけではない」という評価も付け加えられていた。 昨季序盤から遊撃の守...

“打てる投手”は伝統?今季も9番打者打率リーグ1位 .444森下暢仁は.380床田寛樹にライバル心

5月4日、広島対DeNA 3安打を放った森下

広島の打順別打率を見ると、9番が5番目に高い打率2割1分8厘を残している。指名打者制のないセ・リーグでは投手が入る打順。11日に中日が投手柳を8番に入れたが、広島は今季32試合すべて投手が9番に入っている。 ペース配分が必要な先発投手にとって、9番打者は“抜きどころ”ではある。そういった要素を差し引いても、打率2割超は特筆に値する。セ・リーグ6球団で9番打者...

黒原拓未3球降板から防御率2点台に 復調を見守ったチームメートの“いつも通り”

広島黒原拓未(2024年4月16日撮影)

チームの連敗を止める、マツダスタジアムでの勝利を締めくくったのは、広島黒原拓未投手(24)だった。16日のDeNA4回戦。9点をリードした9回を2者連続含む3三振で締め、防御率は2・57となった。 今季初登板を終えた時点で、黒原の防御率は「記録なし」だった。開幕2戦目の3月30日DeNA戦に先発も、わずか3球で危険球退場。死球を与えた相手が前日に華々しくデビ...

矢野雅哉、名手菊池涼介の助言とサポートから二塁手としても成長中「とにかく試合に出たい」

広島矢野雅哉(2023年9月30日撮影)

プロ野球開幕が迫る中、広島はまだ4番も決まっていない。 昨オフに西川がオリックスへFA移籍し、中軸を担った経験のある選手は秋山くらいで、外国人選手も未知数。今年も対戦相手や自軍選手の調子によってスタメンを入れ替えながら打線を組んでいくことになるだろう。昨季終盤にケガ人が相次いだことから、シーズン序盤でもレギュラー陣を休ませることも十分考えられる。 昨季リーグ...

クレート通訳の温かく厳しい視線「1人でもできるようにならないと」練習生の成功の鍵か

ヘンディ・クレート通訳(2019年4月21日撮影)

天福球場の右翼後方にある雨天練習場の前で、温かくも厳しい視線を向ける人物がいた。ヘンディ・クレート通訳(40)だ。今季もドミニカ選手とともに1月末に来日。春季キャンプにもコルニエルのほか、2人の練習生の通訳として同行している。 この日、担当するコルニエルが雨天練習場で練習する中、タイミングを見ながらグラウンドの様子をうかがっていた。視線を送る先には、育成契約...

今年から護摩行に同行する末包昇大と中村奨成に「1度考え直して」と会沢翼が求めたもの

2020年1月、護摩行で経を唱える広島会沢

いつまでも正月気分ではいられない。各地で始動する選手たちの自主トレ公開も今後予定されている。広島では毎年、自主トレ公開予定の中に護摩行の公開日も設けられている。今年は会沢翼捕手(35)、堂林翔太内野手(32)に加え、末包昇大内野手(27)と中村奨成捕手(24)が新たに同行する。燃えさかる炎の前でお経を唱える荒行だ。今年で8年連続で8度目となる会沢は、2人をす...

中崎翔太が一変させたブルペンの雰囲気「ザキさんの存在が大きかった」若手の躍進支える

広島中崎翔太(2023年10月撮影)

シーズンが終われば、プロ野球選手は残した数字で語られる。シビアな世界ではある。ただ、貢献度は数字だけでは表せない。今季勝ちパターンとして好成績を残した矢崎、島内は口をそろえて「ザキさんの存在が大きかった」と言う。3連覇時は抑えを務め、通算427試合登板の中崎翔太投手(31)は、若い中継ぎ陣の精神的支柱だった。 中崎は今季、開幕2軍も、5月16日に昇格すると、...

FA移籍する西川龍馬の赤ユニホーム売り上げが11月に上がった理由はある人物の大量購入

広島ファン感謝デーに参加した西川龍馬(中央)(2023年11月23日撮影)

FAでオリックスへ移籍する西川龍馬外野手(28)にとって、12月上旬のイベントが最後の広島のユニホーム姿となった。多くのファンにとっては、11月23日ファン感謝デーが赤いユニホームの見納めだった。 シーズンオフ、移籍する選手のユニホームは売れ残る。だが、西川の広島のユニホームは11月、売り上げが上がった。それは特定の人物による大量購入があったからだ。11月下...

ファン感謝デーでFA移籍の西川龍馬が送り出される空気感にこれまでにない温かみ

新井監督(中央)ら広島ナインと記念写真に納まる西川(前列右)(撮影・加藤孝規)

23日、マツダスタジアムで行われた「カープファン感謝デー2023」では、これまでにない空気を感じた。4年ぶりにマツダスタジアムで開催され、有観客で行われたことだけが理由ではなかった。そう感じたのは、FAでの移籍が決まっていた西川龍馬外野手(28)への反応だった。 これまでも移籍が決まっていた選手たちがファン感謝デーに参加したことはあった。ただ、ここまで温かく...

薮田和樹の最終登板は外野にグラウンドキーパーのみのシート打撃 床田のオファーから実現

トライアウトに向けてシート打撃に登板した広島薮田和樹(撮影・前原淳)

シーズンオフの静かなマツダスタジアムに、ユニホーム姿の3選手がグラウンドに出てきた。床田寛樹投手(28)と野間峻祥外野手(30)。そして今オフ、戦力外通告を受けた薮田和樹投手(31)だった。さらに昨季限りで現役を引退した白浜裕太スコアラー(38)もキャッチャー防具を着けて姿を見せた。 打撃ケージが用意され、ケージ後ろには庄司隼人スコアラー(32)もスピードガ...

島内颯太郎の成長の裏にある新井監督の言葉と無言の起用法、そしてイジられる日々

広島対DeNA ファイナルS進出を決め、新井監督に選手代表としてスピーチを指名された島内(右)(2023年10月15日撮影)

結果的にマツダスタジアム最終戦となった15日のCSファーストステージ第2戦後、新井貴浩監督(46)はセレモニーで1人の選手をマイクの前に立たせた。今季勝ちパターンでただ1人、フルシーズン完走した島内颯太郎投手(27)を呼び寄せた。 「私のあいさつの前に、選手を代表して、今日もナイスピッチングでした。最優秀中継ぎ投手、島内より皆さまに一言御礼を申し上げます」。...

引退試合を1人のものにしなかった一岡竜司 ブルペンでの球数“16”に込めた仲間への思い

広島対阪神 引退セレモニーで胴上げされる広島一岡(2023年10月1日撮影)

広島のレギュラーシーズン最終戦となった1日阪神戦は、一岡竜司投手(32)の引退試合となった。登板した6回。大きな声援を背に、8球すべて真っすぐ勝負で見逃し三振を奪った。現役最後の投球を終えると、新井監督にうながされるようにマウンドに残り、ともに3連覇に貢献した中崎に白球を託した。 「ザキ(中崎)にボールを渡すときと(試合後セレモニーでの花束贈呈の大瀬良)大地...

上本崇司と堂林翔太が残り5試合で51年ぶり記録達成の可能性 鍵を握るのは2位確定時期?

9月23日、巨人対広島 4回表広島無死、上本は左前打を放つ

残り5試合となった広島の戦いで、ひそかに注目していることがある。それは「9番・上本」「9番・堂林」の起用はあるか、だ。 何を言っているんだと思われるかもしれないが、上本と堂林は今季ここまで1番から8番までの打順で先発出場している。 今季オリックスの中川が記録し、昨季は新庄監督率いる日本ハムで6選手が全打順出場となっている。全打席出場は指名打者制のパ・リーグで...

日本球界のタイミングに適応したデビッドソンに記者もタイミングの難しさを教えられた

6日、DeNA戦の11回裏、デビッドソンはサヨナラ本塁打を放ちベンチに向けて指をさす

何事も“タイミング”が大切だ。「日本に来て最初に苦しんだのがタイミングをずらされることだった」とシーズン序盤、苦戦した広島マット・デビッドソン内野手(32)は異なるリーグへの適応の難しさを語っていた。だが、打席を多く重ねた後半戦は、すでに10本塁打、打率2割6分5厘と、離脱者相次ぐ打線をけん引している。6日DeNA戦では、来日2度目の4番で延長戦に終止符を打...

末包昇大の構えはまるで巨人のあの選手 カブス鈴木流打法に取り入れた構え方と新相棒

広島末包昇大

試合前練習を同じ場所から見て変化を感じることもあれば、角度を変えながら見ることで変化を感じることもある。先日、フリー打撃を打者の正面の角度から見ていると、広島末包昇大外野手(27)の構えが、ある選手の姿が重なった。リラックスした構えから振り出す姿は、巨人長野とそっくりだった。 練習後本人に聞けば「最近すごく言われます。意識しているから似てきたのかもしれません...

灼熱の2軍本拠地・由宇で若手投手にノックを打ち続けた意外な人物の姿に驚かされた

2023年7月11日、巨人戦の試合前練習を見守る黒田博樹球団アドバイザー

日差しをさえぎるものはなく、風も通らない広島2軍本拠地・由宇球場に、似つかわしくない姿があった。3日、山口・岩国市にはグレーと黒のシックなジャージー姿の黒田博樹球団アドバイザー(48)がいた。 9時過ぎから投球練習する若手投手を指導すると、気温が上昇した11時過ぎには、サブグラウンドで自らノックバットを握った。現役時代、打撃が得意ではなかった印象が残っていた...

秋山翔吾の「準備力」なぜ試合前の守備練習が長く、プレーボール直前に素振りをするのか

広島秋山翔吾(2023年6月28日撮影)

8連勝した25日ヤクルト戦後も、広島秋山翔吾外野手(35)は反省を口にした。 「(若手に)偉そうに『まず守備頑張れよ』なんて言ってたわりにね。2人にはちゃんと謝っときます。もう1回しっかり連係も取るし、自分のスキルも上げて、ああいうことがないようにやらなきゃいけない」 1-2の5回。1死からヤクルト村上の右中間への打球をファンブルし、三塁進塁を許した(結果は...