ニッカンプロ野球

西武番記者

スカウトにとって担当選手は“わが子”?ドラ1武内夏暉を見つめる十亀剣スカウトに“親”の顔

西武ドラフト1位の武内夏暉(右)と十亀剣スカウト(2024年1月撮影)

“わが子”を見つめるようなまなざしだった。3月13日、中日とのオープン戦(ベルーナドーム)を前に、西武十亀剣スカウト(36)は、外野で練習中のドラフト1位ルーキーの武内夏暉投手(22=国学院大)の姿を目で追い続けた。 「今日は初めて、武内がベルーナドームで投げるので、直接球場で見たいなと思いまして。とにかく、自分のピッチングをしてもらえればと思います」 投手...

春季キャンプで元陸上選手の秋本氏から走り指導 外崎ら盗塁数アップへ意欲

秋本真吾氏(左)(2023年1月25日撮影)

西武の春季キャンプで、今年も「足」に磨きをかける練習が行われた。第1クールの8日と9日の2日間、元陸上選手の秋本真吾氏(41)をスプリングコーチに招き、選手たちは走り方の指導を受けた。昨年に続く2年連続での授業に選手たちは真剣な表情をみせた。 昨季チームの盗塁数は楽天に次ぐリーグ2位の80個だった。チーム最多、キャリアハイの26盗塁を記録した外崎修汰内野手(...

丸刈りのドラフト6位村田怜音「タダのバッティングセンター」で腕磨く

西武村田怜音

大きな期待を背負う西武の新人選手13人の中でひときわ目を引く選手がいる。196センチ、110キロで丸刈り頭のドラフト6位村田怜音内野手(22=皇学館大)だ。武器は恵まれた体格から放たれる長打力。8日、翌日から始まる新人合同自主トレを待ちきれず、室内練習場でマシン相手に打ち込んだ。「(お金がかからない)タダのバッティングセンターなので」と、“打ち放題”の環境に...

「実はこの年末で…」と報告すると中村剛也からは想像もしなかった反応が返ってきた

西武中村剛也(2023年9月撮影)

12月になり、会社から命じられる私の担当任務も変わった。 約2カ月前、11月3日、文化の日を追憶する。都内の某球場に西武中村剛也内野手(40)を探しに行った。中学生の長男の試合をたぶん観戦しているはず-。 スタンドを見渡す。いない。帰ろうかな。視線をずらすと、目立たない日陰にいた。試合終了。軽く敬礼し会釈する。目が合った。プライベートの時間。けげんな顔をされ...

新天地で再スタートする中村祐太と元山飛優 記者も新たな環境で取材に奮闘

渡辺GM(左)と握手を交わす西武元山(撮影・山崎純一)

新たな場所で働くという意味で言えば、もしかしたら選手と似た境遇にあるかもしれないと感じた。私はこれまで勤務していた北海道を離れ、この12月から西武担当に着任。東京生活が始まり、西武が本拠地を構える埼玉・所沢を往復する日々を送っている。仕事を始めてまだ1カ月にも満たない中で、環境に変化があった選手を取材する機会が2度あった。 1度目は現役ドラフトで広島から移籍...

担当記者が池袋~ベルーナドームを8時間以上歩いて65人に会って感じた「個性とは…」

所沢市の学校新道で待っていてくれた西武ファンの皆さん(撮影・金子真仁)

東京・池袋にある西武池袋本店から、埼玉・所沢にある西武の本拠地ベルーナドームまでの約32キロを、11月23日に歩いた。 5月16日には札幌時計台からエスコンフィールドまでの約20キロを歩いた。到着後にそんな記事を書いた。その翌日、渡辺久信GM(58)が声高らかに私の方へ歩いてきた。 「なになに、歩いてきたの!?」 チャンス。当時から池袋~所沢を計画していた。...

「5年後、一番伸びている西武の打者は誰だと思いますか?」山川穂高が即答した選手とは

西武対中日 9回裏西武1死、サヨナラソロ本塁打を放った長谷川(中央)はチームメートにウオーターシャワーで祝福される(2023年6月7日撮影)

今年もベストナインやMVP、新人王、ゴールデングラブ賞の投票資格をいただいた。すでに投票は済ませた。取材を担当する西武からは、ベストナインには投票しなかった。 DHで中村剛也内野手(40)は考えた。ただ、試合数も本塁打数もロッテ・ポランコのほうが今季はふさわしいと思った。 三塁で佐藤龍世内野手(26)の名もちらっと浮かんだ。ただ9月以降での打撃成績上昇による...

山川穂高との“やりとり”野球を続けると決めたなら「がんばれ、山川選手」

サインを求めるファンに応える西武山川(撮影・黒須亮)

西武山川穂高内野手(31)が5日、5月に発覚した自らの不祥事を公の場で謝罪した。不起訴決定を受け、9月4日に1軍ならびに2軍の公式戦無期限出場停止の処分を受けている。9日からのみやざきフェニックス・リーグは処分対象外で、実戦復帰となった。今年の球界を騒がせた「山川穂高」はどうなってしまうのか、注目され続けた。 9月末から10月初旬にかけて、ベルーナドームとカ...

中村剛也と栗山巧が足りない秋の取材 大ベテランが「2人だけ」「2人とも」いる意味

西武中村(左)と栗山

CSが盛り上がる中、担当する西武のフェニックスリーグ取材で宮崎・日南に来ている。 なぜかふと思い出した顔が二つある。中村剛也内野手(40)と栗山巧外野手(40)の同期入団コンビ。私がシーズン最終盤に体調を崩してしまったこともあって、かれこれ3週間前後は取材できていない。たまには話したいなーと、日向灘を見ながら思った。 骨牙コンビと呼ばれる。プロに入って22年...

なんであの選手が1軍に上がらない? その裏に様々な事情…首脳陣はちゃんと見ている

西武松井稼頭央監督

9月に入った。1日時点で、西武は1軍が借金14のパ・リーグ最下位。2軍が貯金19のイースタン・リーグ3位となっている。 西武担当記者として運用しているX(旧ツイッター)のアカウントが、おかげさまでもうすぐフォロワー1万人に達する。たまにダイレクトメールが届く。 「○○選手をなぜ1軍に上げないのか、監督に聞いてくれませんか?」 この問題は難しい。1軍の中心選手...

長期遠征を追い掛ける“ガチ”ファン3人に今の埼玉西武ライオンズはどう映っているか

声援を送るスタンドの西武ファン(2023年3月31日撮影)

8月に入り、西武のペナントレースは残り50試合を切った。白星は明らかに増えてきたが、まだ借金がかさむ。松井稼頭央監督(47)就任1年目は戦力が万全に整わず、特に上位チームへの負け越しが響く。 そんな中、7月には神戸→大阪→北九州→福岡という長期ロードがあった。その旅程全てに首都圏から駆けつけた“ガチ”な西武ファン3人に、北九州での試合前に思いを尋ねた。3週間...

1万2818球から選ぶベストボール スタンド沸かせた佐々木健の1球にあった伏線

7月17日日本ハム戦 西武3番手で登板した佐々木(撮影・滝沢徹郎)

7月26日深夜、帰りの電車でこれを書いている。ペナントレースは87試合を終えている。西武投手陣は現時点で1万2818球を投げている。その1球1球が、ファンの歓喜とため息を生んできた。 1万2818球のベストボールはどれだろう…なんて考えるフリをしてみたが、私には1択だ。 7月17日の日本ハム戦(ベルーナドーム)の7回表、佐々木健投手(27)の1球だ。 2点を...

あえて記者席を飛び出して感じた熱量 野球の真実や本質はグラウンドに、スタンドに、球場にある

北九州遠征にも大勢の西武ファンが駆けつけた(撮影・金子真仁)

夜10時30分すぎ、北九州モノレールの香春口三萩野駅は、ソフトバンクファンであふれた。つい1時間前に連勝に成功した西武ファンの、上機嫌な「チャンステーマ4」の口笛も、少しばかり肩身狭そうに響く。1人の男性が、エレベーターで「よっこいしょ」と運んできた。大太鼓を台車(?)で運んでいる。 西武の私設応援団の男性だ。モノレールでたまたま隣に立った。お互い汗がひかな...

西武担当記者が「松坂世代」を感じながら横浜高校から横浜スタジアムまでを歩いた

西武OB松坂大輔さんらを輩出した横浜高校の長浜グラウンド(撮影・金子真仁)

5月に札幌市時計台からエスコンフィールドまでの約20キロを歩いて出勤した。懲りずにまた歩く。6月4日朝8時、横浜市金沢区の能見台駅前から歩く。 野生のリス(かイタチ)に遭遇しながら丘を越えると、横浜高校の長浜グラウンドがある。雰囲気豊かな坂道だ。20年前、新人記者として初めて訪れた。緊張で吐きそうになった。 西武OBの松坂大輔さん(42)をはじめ、数多くの名...

静岡時代を取材した鈴木将平、埼玉で実現しそうな中日村松開人との静岡対決が楽しみ

ベンチへ向かいガッツポーズする西武鈴木将平(2023年5月13日撮影)

2015年11月から3年間、静岡支局で勤務した記者として、当時取材していた選手たちの現在は、とても気になるところです。 静岡高出身の西武鈴木将平外野手(25)もその1人。5月19~21日のソフトバンク3連戦(ペイペイドーム)で、わずかな時間でしたが、久々に言葉を交わす機会がありました。 16年ドラフト4位入団の7年目。俊足巧打が持ち味で、今季ここまで31試合...

花咲徳栄・岩井監督の「いつか道は交差する」の願い通り 愛斗や西川愛也が青春かみしめ躍動

西武愛斗

「強引にいけ!」 日本ハム鈴木が投じた88キロのフワ~リとしたスローカーブが、外いっぱいへと流れて落ちていく。西武愛斗外野手(26)は流そうとせず、ヘッドを入れ、レフトへ思い切り引っ張って三遊間を割った。 それを見ながら思い出したのが、冒頭の「強引に行け」だ。母校の花咲徳栄(埼玉)・岩井隆監督(53)が数年前、軟投派投手を攻略するために、あえて選手たちに発し...

球団関係者の横でファンたちが野球談議 大移動の地方遠征でチームの結束強まる空気感じた

桜島を後方に望む鹿児島の平和リース球場で行われたソフトバンク-西武戦(2023年4月9日撮影)

鹿児島・鴨池公園の平和リース球場の一塁側スタンドに上ると、三塁側の後方に桜島が見える。素晴らしい眺めだ。頂上から煙のような雲のようなものが少し。「あれは噴火しているんですよ。東風は珍しいけど、たまに火山灰がこっちに来る時もあるね」と警備陣のおじさんが笑った。 西武は今季、開幕3カード目にして宮崎、鹿児島の地方遠征が入った。鹿児島は今年、すでに個人的に海岸線ド...

ゾクッとした 8分のオーナー訓示で感じた獅子の伝統 その言葉とベテランの姿勢

8日、練習前に訓示する株式会社西武ライオンズ取締役オーナーの後藤氏

西武後藤高志オーナー(74)が8日、首脳陣や選手に訓示を行った。 言葉選びに迷う。何と表現すればいいのか。シンプルでいいのだろうか。 すごかった。 いつしか、偉い人のあいさつといえば台本や原稿をちらっと見ながら…な世の中になっていたと思う。 後藤オーナーは選手たちに囲まれながら、手を前で組んで、自身の思いを自身の言葉で伝えた。朝9時から約8分間。当然、選手た...

赤田コーチと浜屋将太に尋ねた故郷大崎町、全国各地で育った選手が集まりチームになる

12日、特守を終えた西武蛭間拓哉(左)、西川(右)に声を掛ける赤田外野守備走塁コーチ

西武の南郷キャンプを初めて取材した。赤田将吾外野守備走塁コーチ(42)の母校でもある日南学園(宮崎)の近くに宿泊した。「高校時代も行ってましたよ」という学校近くの洋菓子店「キネヤ」のおにぎり型のクレープはうわさ通りの美味で、クリームプリンは至極の一品だった。 赤田コーチは鹿児島・大崎町の生まれ。福留孝介氏や広島松山らも同郷だ。「同じ中学からプロ野球選手が5人...

羽田慎之介と長谷川信哉に先制されたあいさつ プロ野球選手に名刺渡すタイミング難しい

羽田慎之介

テンション高めに打撃練習の外野守備に就く西武山川穂高内野手(31)のもとに、宮古島での自主トレから帰京した高橋光成投手(25)渡辺勇太朗投手(22)があいさつに向かった。 いくつもの笑みがはじける。山川が2人に、同い年の陽川尚将内野手(31)を紹介した。このオフ、現役ドラフトで阪神から移籍。「よろしくお願いします!」。所沢の球団施設に、また笑顔が広がった。 ...