ニッカンプロ野球

ヤクルト番記者

“怒っていた”バーネット「野球に集中していたからね」選手を獲得する側になり増えた笑顔

取材に応じるヤクルトのトニー・バーネット駐在スカウト(2024年2月4日撮影)

ヤクルトの侍は、今も侍を求めている。2月の沖縄・浦添の春季キャンプ。選手、スタッフの中に、どこか見覚えのある顔があった。とは言っても、確信は持てなかった。短髪、無精ひげの外国人。こちらに近づいてきても、分からなかった。キョトンとしていると、あるスタッフが「バーネットだよ」と教えてくれた。 トニー・バーネット。10年に来日し、2度の最多セーブのタイトルを獲得し...

嘉弥真はお風呂に、ロドリゲスは日本の食文化に…取材で見えた意外な一面や趣向

ブルペンで投球練習をするヤクルト嘉弥真(2024年2月4日撮影)

キャンプ地では、「お題に答えて」が12球団で行われている。ここでは、紙面に載せきれなかったヤクルトの選手たちの「お題」の答えを紹介する。 前ソフトバンクの嘉弥真は「風呂のこだわり」について「ん~ないでよ(笑い)」と答えた。ただ、「風呂の時間は?」と角度を変えると、沖縄出身らしい答えが返ってきた。「とにかく早いですね。早いと思います。10分? 10分は切ること...

石川雅規「かわいい後輩」坂元弥太郎氏の野球塾参加、10年たっても変わらない関係

講演会後のジャンケン大会でパーを出す、ヤクルト石川(右)。左は元ヤクルトの坂元弥太郎氏(2023年12月28日撮影)

池袋駅に着き、東武東上線へ向かった。普段はなかなか利用しない路線。案内を注視しながら、歩みを進めた。電車に乗り込み、揺られること約30分。みずほ台駅に到着した。そこからタクシーで約5分。住宅地が見えてきた。時刻は午後5時。年の暮れ。日もしっかり暮れていた中、目的地の倉庫は明るさに活気が入り交じっていた。 元ヤクルトで日本ハム、横浜(現DeNA)、西武でプレー...

ドラ5伊藤琉偉、大学中退後は居酒屋でバイト 山あり谷ありの逆転人生を経てBCからNPB入り

ヤクルト新入団選手発表会で抱負を書いた色紙を手にするドラフト5位の伊藤(撮影・菅敏)

どこで、何があるか分からない。ヤクルトの新入団選手発表会を見て、そう思った。4日、都内で行われた同会。育成ドラフト1位の台湾・鶯歌工商高・高橋翔聖投手(17)は来年6月に高校卒業のため不参加となったが、その他の6選手が晴れの舞台に登壇した。ドラフト5位のルートインBCリーグ新潟の伊藤琉偉(りゅうい)内野手(21)も、ハキハキと質疑応答に答えていた。 人生、山...

伝統ある背番号「10」受け継いだ宮本丈 オンリーワンのプレーヤーへ新たな10番の光景刻む

ヤクルト宮本丈

時の流れを感じる。3年ぶりに野球の現場に戻ってきた。7年ぶりのヤクルト担当となる。同学年の荒木貴裕氏(36)は、今季限りで現役引退。それこそ同氏が7年間着けた背番号10は、プロ6年目の宮本丈内野手(28)が引き継ぐことになった。「10」は城石憲之現2軍総合コーチ、森岡良介現1軍内野守備走塁コーチら、歴代のチームリーダーがつけた伝統ある番号。宮本「うれしかった...

ダルビッシュに憧れ侍目指した高橋奎二、次世代の目標なれるようロス五輪見据えつつまずは来季へ

ヤクルト対中日 力投するヤクルト先発の高橋(撮影・狩俣裕三)

28年ロス五輪で野球が正式競技に復活することが決定。今春のWBCメンバーとして世界一を経験したヤクルト高橋奎二投手(26)は出場に意欲を示すと同時に、来季の巻き返しを固く誓いました。 現在は神宮外苑で秋季練習中。「WBC世界一のメンバーとして、すごくいい経験させていただきました。それを今年生かせなかったのは、本当に自分のミスだと思う」と今季を振り返りつつ、「...

奥川恭伸が2軍最終戦で1回無失点、負傷で1軍復帰プラン白紙もめげず、復活へ大きな一歩

イースタン・リーグの日本ハム戦に先発したヤクルト奥川は、1回を無安打無失点に抑える(2023年10月1日撮影)

ヤクルト奥川恭伸投手(22)がじっくりと、確実に来季の1軍復帰に向けて歩みを進めている。今月1日、イースタン・リーグ最終戦となった日本ハム戦(鎌ケ谷)で1回11球を投げ無安打無失点。大きな1歩となった。 右肘痛からの復帰を目指し、今季は4月からイースタン・リーグで登板。6月27日の同リーグ楽天戦(戸田)まで7試合を投げ、100球近くにまで球数を増やし、順調な...

田口麗斗、意気に感じた新守護神就任 苦しんだ中継ぎ陣へ「意気揚々と登板して欲しい」

ヤクルト田口麗斗(2023年9月12日撮影)

阪神が18年ぶりに優勝し、ヤクルトの球団史上初となるリーグ3連覇の夢は消えた。14日広島戦(神宮)は8回にリリーフ陣が踏ん張れず3点差を逆転され、CS進出の可能性が消えた。石山、木沢、山本がそれぞれ出した四球が絡み4失点。そのまま5-6で敗れ、3年ぶりのBクラスが確定した。 この日、28歳の誕生日を迎えた守護神の田口麗斗投手が話していたことを思い出した。「今...

名手中村悠平が明かすバントの極意「打球の勢いを殺す。構えは柔らかく」上手いからこそ「練習」

2023年3月31日、送りバントを決める中村

19犠打。ヤクルト中村悠平捕手(33)が26日の試合終了時点で積み重ねてきた数字だ。 規定打席には到達していないが、この数字はリーグトップだ。 涼しい顔で犠打を決め、さっそうとベンチに引き揚げる姿を今季、何度も見てきた。その中村は試合前練習で毎日のように、バント練習に臨む。ある日、聞いてみた。「バントうまいんだからそんなに練習しなくていいんじゃないの?」。私...

新神宮球場は本当に屋根なしで大丈夫? 国立競技場と同じ轍を踏んで欲しくない

神宮球場(2022年7月撮影)

「成田空港に着くと田舎の各駅停車が止まる駅か、バスの終点みたいな感じがします」(日経ビジネス記事引用)。日本最大の国際空港をこう表現したのは、ノンフィクション作家の高野秀行氏だ。確かにシンガポールのチャンギ国際空港や、ドバイ国際空港などアジアのハブ空港を訪れると、その規模と華やかさに圧倒され、我が国への憂慮を禁じ得ない。 日本は2010年、国内総生産(GDP...

23歳とは思えない村上宗隆の貫禄 スタメン外れても大声で漂わせる「ボス感」

ヤクルト対広島 1回表、ベンチから声を出すヤクルト村上(手前右)(2023年7月1日撮影)

今季からヤクルトを担当する記者にとって、不動の4番村上宗隆内野手(23)が71試合目にしてスタメンを外れた光景は、真新しかった。左膝痛が原因のため望ましいことではないが、ベンチでの立ち振る舞いが明らかにスワローズナインの雰囲気を変えた。 神宮のヤクルトベンチに向かって左端にあるカメラ席とを隔てる柵に、もたれながら大声を張り上げる村上。その存在感たるや、とても...

小沢怜史、先発転向で無傷3連勝 監督「リリーフ向き」も先発向きのメンタリティー

ヤクルト小沢怜史(2023年6月28日撮影)

プロ入り8年目でヤクルト小沢怜史投手(25)が初となる完封勝利を手にした。盛岡で行われた28日巨人戦。7回表に雨天コールドとなったが6回3安打無失点でその栄光をつかんだ。 20年にソフトバンクから戦力外通告を受け、トライアウトに参加。ヤクルトと育成契約を結んだ。昨季途中で支配下登録。今季はシーズン途中でリリーフから先発へ転向し、無傷の3連勝を手にした。 それ...

奥村展征の超絶明るい元気印!チーム全体に笑顔の輪…1軍合流で7連敗脱出に好影響を

円陣の中央でチームを鼓舞するヤクルト奥村(撮影・足立雅史)

ヤクルトは泥沼の7連敗から連勝し、白星スタートの5月となった。貧打に苦しんだ打線も、2日巨人戦(東京ドーム)で今季2度目の2桁安打となる13安打と爆発し、チーム打率も2割台に戻した。 7連敗を抜け出したきっかけの1つに、記録に残らないポイントがあった。奥村展征内野手(27)の1軍合流だ。連敗をストップした4月30日阪神戦(東京ドーム)から1軍に合流。今季はま...

ドラ1吉村貢司郎、初勝利逃すも見せた順応性 試合中自らの調子判断し「振り子投法」を封印

9日阪神戦で5回1失点に抑えたヤクルト先発の吉村貢司郎

ヤクルトのドラフト1位ルーキー吉村貢司郎投手(25)のプロ初勝利がまたお預けとなった。9日阪神戦(甲子園)で2試合目の先発マウンドに上がり5回4安打3四球1失点と試合はつくったが、本来の調子ではなかった。 初回先頭の阪神近本にいきなり四球。そして3番ノイジーにも四球。制球力に定評がある吉村らしからぬ立ち上がり。3回には先頭の近本に右翼線へ二塁打を打たれ、続く...

球界最年長の石川雅規の目に映ったWBC優勝「吸収できるものは吸収」あふれる知的好奇心

神宮外苑で投球について意見交換するヤクルト石川雅規投手(左から3人目)と左から小川泰弘投手、吉村貢司郎投手、1人おいてサイスニード投手(撮影・三須一紀)

球界最年長の男にWBC優勝はどう映ったのか-。 「世界トップレベルのゲームを見たということで、すごく刺激もらいましたし、いろいろなヒントがあると思いながら見ていました」 ヤクルト石川雅規投手(43)のそれは「探究心」というひと言では片付けられないものがある。1次ラウンドで日本打線が苦しめられたチェコのサトリア投手が投げたチェンジアップについても「すごいチェン...

田口麗斗が考案「くじ引き」キャッチボール 若手投手陣にとって成長の鍵になりそう

ヤクルト田口

グッズショップのレジにヤクルトの投手キャプテンは立っていた。沖縄・浦添キャンプのあるオープン戦開始前。田口麗斗投手(27)は店員に交じり会計作業を手伝いつつ、サインや写真撮影に1人ひとり応じていた。記者が試合開始ギリギリまで確認した限りでも、1時間30分以上は店頭に立ち続けた。 「時間は関係ないですよ。みんなが、なかなかやれないことを(自分は)やらないととい...

球界最年長の石川雅規、毎年恒例の初日からブルペン…立ち振る舞いは後輩たちのお手本に

ブルペン投球するヤクルト石川(2023年2月1日撮影)

球界最年長の石川雅規投手(43)が今年もキャンプ序盤から精力的に動いている。毎年恒例の初日ブルペンから始まり、2日目もブルペンに入った。その姿は後輩たちのお手本になっている。 若い選手たちは「石川の声」を重宝する。WBC日本代表の高橋奎二投手(25)は「石川さんにはいろいろな人の話を聞きなさいとよく言われる。良い選手に良いことを聞いて自分のためになることがあ...

ドラ4坂本拓己、覚悟決めた故郷から入寮まで30時間の旅 不安より期待で新生活迎える

7日、ヤクルト戸田寮に入寮するドラフト4位坂本拓己

氷点下の奥尻港は雪が降り積もっていた。2023年1月6日。午前8時15分発のフェリーに乗り込む。ヤクルトのドラフト4位坂本拓己投手(18=知内)は翌日の新人入寮に向けて、1日前に故郷を後にした。 最初の目的地は江差港。2時間20分の船旅だ。航行中、何をするわけでもなく、ただただ冬の日本海を船窓から眺めた。165勝を挙げた佐藤義則さん以来、奥尻島から46年ぶり...

V旅行で見た「村神様」の野球とのギャップ 小さなゴルフボールに悪戦苦闘「頼む!!」神頼み

18番、ラフからの2打目がミスショットとなり声を上げるヤクルト村上宗隆(2022年12月14日撮影)

12月13~19日に行われたヤクルトのハワイ優勝旅行を取材しました。高津臣吾監督(54)をはじめ、村上宗隆内野手(22)ら選手たちのシーズン中では見られない、リラックスした表情を見ることが出来ました。 13日朝にハワイ到着。ホテルチェックイン前から大好きなゴルフに出かけた高津監督でしたが、「めっちゃ混んでて15番までしか回れなかった」と、午後5時開宴の優勝祝...

ムードメーカー奥村展征、来季節目の10年目“本業”でのレベルアップにも期待

白濱亜嵐(右)のライブに飛び入り参加し踊るヤクルト奥村(撮影・鈴木正人)

ヤクルトのムードメーカー奥村展征内野手(27)が、11月27日の「ファン感謝DAY」を大いに盛り上げました。 同30日の契約更改では150万円増の年俸1200万円でサイン(金額は推定)。9年目の今季は1軍にほぼフル帯同。43試合の出場で打率1割4分6厘、0本塁打、2打点にとどまりましたが、持ち前の明るさと元気で「チームスワローズ」になくてはならないピースとな...