【内匠宏幸】岡田彰布が腹をくくるか「スタイルがあるもんよ」チカナカの復調が鍵
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球宴といえば、チームの勢いが顕著に表れる。自分が現役記者の時も、それを何度か見てきた。古くは南海ホークス。藤原満、門田博光が活躍した「グリーン旋風」や、山本浩二、衣笠祥男が席巻した「赤ヘル旋風」。そのままレギュラーシーズンの後半戦に持ち込んだ。 その例でいくと今年のセ・リーグ。最も勢いを感じさせたのはDeNAか。牧やオースティン(負傷したのが心配だが)、度会...
日刊スポーツ記者、フリーライターとして約50年にわたって阪神の戦いぶりを見続けてきた内匠宏幸氏。特に岡田彰布氏との縁は深く、6球団競合の末、早大からドラフト1位で阪神に入団した1980年に密着連載を担当。その後も選手、コーチ、第1次監督時代を通じて精力取材を続け、監督としてリーグ優勝を果たした2005年も日刊スポーツ紙面(大阪版)でコラムを連載した。その野球観、猛虎愛に触れてきた内匠氏が「岡田の野球」を追います。
球宴といえば、チームの勢いが顕著に表れる。自分が現役記者の時も、それを何度か見てきた。古くは南海ホークス。藤原満、門田博光が活躍した「グリーン旋風」や、山本浩二、衣笠祥男が席巻した「赤ヘル旋風」。そのままレギュラーシーズンの後半戦に持ち込んだ。 その例でいくと今年のセ・リーグ。最も勢いを感じさせたのはDeNAか。牧やオースティン(負傷したのが心配だが)、度会...
夜空には満月。月下の甲子園のマウンドに輪ができていた。それは8回表のことだった。6回裏に6点を刻み、久しぶりの大勝ペースにベンチの監督、岡田彰布が動いた。 3番手の加治屋につないで2死を取ったところで岡田がベンチから出た。スタンドがざわついた。「ここで投手交代?」。右翼後方からリリーフカーに乗って出てきたのはルーキーの石黒だった。 ドラフト1位の下村でも2位...
ぼやきに愚痴が止まらない。7月17日の試合後(巨人戦)。トラ番との短い会見の中、5回も「チグハグ」というフレーズが出た。 岡田語録は他球団の監督も注目している。それを巨人の監督が明かした。阿部慎之助だ。ゲームのポイントとして挙げたのが6回1死の場面。1点差で一塁走者が大山で、打席に坂本。ここで阿部の頭に岡田の言葉が浮かんだ。「走れ、走れというのに、走れへんか...
毎度ささやかれる「投高打低」のプロ球界。その原因について、ボールが飛ばない…という声を聞く。ベンチではどう見ているのか。阪神監督の岡田彰布に尋ねてみた。 すると監督は首を傾げながら「そんな極端なことはないし、飛ばない、までは感じないけどな」と語っている。 海の向こうでは大谷翔平が今季の29号を放ち、メジャー通算200号を記録した。その時の阪神のチーム本塁打数...
明らかなボールを振り、ストライクは見逃す。「見逃し三振は話にならない」と酷評された佐藤輝に、大変化の動きがあった。 7月10日のヤクルト戦(甲子園)。6回裏だった。大山、佐藤輝の連打で一、三塁のチャンスを迎えた。ここで野口の打球は三遊間に。大きく弾んだことで併殺はない。ヤクルト長岡はセカンドに投げた。これが微妙なプレーになった。佐藤輝の足が先に入ったか、それ...
巨人の状態がいいようだ。7月8日現在、貯金を「4」にした。広島とは厘差の2位。一時は借金を作り、モタモタしていたが、ひとつの補強によって、チームは激変した。新外国人のヘルナンデスの加入で打線が「線」になった。1番の丸、3番のヘルナンデス、4番岡本…。前半は3番に適任者がなく苦しんだが、ヘルナンデスの出現で様変わりした。 中日も踏ん張っている。先週は広島に3連...
阪神の監督として、通算514勝。藤本定義と並び、岡田彰布がトップに立った。2004年から5年。2023年から2年目。トータル7シーズン目で514勝。この時点で年間70勝以上が確定しているわけで、勝率は歴代監督に比べて高い。 「そんな記録というか数字は、まったく気にしてないわ。ホンマやで。それよりタイガースを強くすること。阪神の黄金時代をつくること。これよ。そ...
「鈍感力」が注目されている。これは総理大臣のことである。支持率が危険水域にありながら、小手先の延命工作にこだわり、現実との乖離(かいり)を鈍感力とやゆされている。電気代の補助を打ち出すも、暑い7月ではなく8月から…とはいかに。国民はシビアに見ているのだ。だが、この鈍感力も才能のひとつ、と言われる。それくらいでないと、引っ張っていけない。 国に比べれば、小さな...
朝、ネット速報を見る。そうしたら…、また打っている。ドジャースの大谷翔平だ。2試合連続の先頭打者本塁打。これで今シーズン25号。6月の勢いはすさまじい。 それに比べて…って、比較対象にはならないけれど、タイガースの6月の失速ぶりは目を覆いたくなるもの。とにかく得点できない。点を取れても1点か2点。これで、よくもまあ2位にいるというのも立派といえば立派だが。 ...
6月22日、敗戦後の阪神監督、岡田彰布は冗舌だった。バッテリーの不用意な配球、ミスが続いた守備、さらに公式記録員にまで言及した。その最後、誰も質問しないとなった時、「もうええんか? 近本のこととか…」と言い残し、その場を離れた。 近本のこと? 岡田は何かを言いたかったのだろう。でも1試合3三振に終わっていた1番打者に関する問いかけがなかったことで、このような...
交流戦が終了。リーグ戦再開(6月21日)に向け、練習日となった19日。阪神監督の岡田彰布の動きが大きく報道された。グラウンドで森下を個別指導。それも長い時間にわたってだ。どこのスポーツ紙も「異例」の光景と報じた。岡田が1選手に個人レッスンすることは過去、ほとんどなかった。だから確かに珍しい動きだった。 同じ右打者だから、感じるところがあったのだ。「右バッター...
連敗を止めた6月16日のソフトバンク戦。最後までハラハラの戦いだった。 1回表、前川の満塁ホームランで刻んだ4点。ここからまったく得点できない阪神打線だった。マウンドには才木。4点あれば十分と思ったが、いまの野球では4点差はワンチャンスで「逆」られる。相手はソフトバンク打線だ。 9回裏、岩崎がマウンドにいた。打順は3番から。安心はできない。この回、先頭の栗原...
サトテルに打席が回る。チャンスだ。今度こそ、と祈る。だが、目の前ではまた同じ光景が…。ボール球を振り、ストライクを見逃し、最後はボール球に手を出して、ジ・エンド。この繰り返し、もう見飽きた。 この佐藤輝を含め、得点すらできぬ打線について、監督の岡田彰布はあきれたように言い放った。「対策? そんなんミーティングで言うてる」。相手投手攻略への対策を伝えても、それ...
西武戦は3連勝。これはデカい。一息ついて、さらに勢いもついた。交流戦は残り7試合。難敵のオリックスとソフトバンク。それと雨で流した日本ハム戦。もちろん勝ち越しを願うが、相手は強い。正直、五分で終わってくれれば…と思う。 昨年の交流戦を思い出す。18試合で7勝10敗1分け。借金3で終わった。これを最低の目安にしてほしい。目下4勝7敗である。五分でいけば昨年と同...
6月5日の甲子園。9回表に岩崎が逆転2ランを浴びた。静まり返るスタンド。でも裏がある。淡い期待を抱いて見つめた。すると同点、逆転のチャンスがきた。1死一、二塁。ここで打順は2番に。その時、すでに前川はベンチに下がっていた。 逃げ切りへ、レフト前川を島田に代えた後に訪れた好機。あくまで「たられば」であるが、前川がそのままだったら…と考えてしまう場面になった(代...
ようやく連敗を止めた。それもギリギリの内容。ゲームセットのあと、トラ番に囲まれた監督の岡田彰布は「しんどいわ」と漏らした。 6月2日のロッテ戦。正直、ロッテの選手のことは深く知らなかった。そこで知名度より現実度ということを知った。その前の日本ハム同様、若い選手の躍動感が素晴らしかった。中でも小川、高部、友杉の小気味のいい動きに目を見張った。 とにかく積極的で...
岡田彰布は66歳、新庄剛志は52歳。年の差「14」の2人、阪神での接点はわずかな時間だった。バース、掛布が去った後、ひとり残った岡田も晩年を迎えていた。1992年、そこに現れたのが新庄だった。亀山とのコンビでタイガースに新たな風を吹かせた。 「入団してきた時から、身体能力の高さはずぬけていたわ」。岡田は当時のことを記憶している。「ああ見えて、礼儀正しい男やっ...
「うーん、それはないわ」。このひと言だけで、次の話に移った。 5月24日、甲子園で行われた巨人3連戦の初戦。練習前に阪神監督の岡田彰布と少しの時間、話した。話題は一向に上向かぬ打線について。「ここまで悪いとは…。この状態、まだ続くかもしれんな」と、岡田はさえない顔で漏らした。 こういう状況に陥った時、岡田という人は、大胆になにがしかの手を打つ。これまでもそう...
阪神の監督、岡田彰布は現在66歳。シーズンが終わる11月には67歳を迎える。ファンの皆さんがご存じの通り、球界最年長の監督である。2年連続の優勝、そして日本一へ、その存在は「孤高」といった感じがする。 若返った他球団との監督との接点は薄い。巨人の阿部とはまったく関わりがない。DeNAの三浦とは、三浦の父親が昔、岡田の後援会に入っていたという関係で、知り合って...
5月19日のヤクルト戦を勝ち、このカードを2勝1敗で勝ち越した。これで3カード連続の勝ち越し。着実に貯金を殖やしている阪神だ。今年は大きな連勝はないが、大型連敗もない。「そら大きな連勝があればいいけど、そうはうまくいかん。だから逆に大きな連敗をしないことが大事。まずは1つ、1つの積み重ねよ」。監督の岡田彰布は現状を見つめ、地道な選択にシフトしている。 苦しい...
延長11回を戦った末、1-0で中日に勝った15日。試合後の監督、岡田彰布のコメントで気になったのがこれだった。近本の決勝タイムリーについてトラ番に聞かれた時、こう語っている。「後ろが打たんからのー」。この試合、近本は3番。その後ろは4番大山。この日、5打数無安打。当たりがパッタリ止まった4番に対し、岡田は圧をかけた。 佐藤輝の2軍行きばかりが注目されている中...
やはり「旬」を迎えていたんだ。そう感じる井上のバッティングだった。 先のDeNAとの3連戦。阪神監督の岡田彰布は得点能力が一向に上がらぬ打線に対し、手を打った。それがプロ5年目の井上を2軍から上げ、そして3戦とも先発で起用した。 過去4年、資質はあると評価されながらも、1軍では結果を出すことはできなかった。典型的な「2軍の大砲」。そんな感じで過ごしてきた。そ...
2024年シーズン、球界全体で「投高打低」の傾向が顕著に出ている。それは個人成績に表れている。セ・リーグでは3割打者が2人だけ(5月8日現在) ヤクルトのサンタナの打率3割3分9厘が飛びぬけて、あとは中日・細川が3割6厘で続く。そこから2割台になり阪神・中野が2割8分3厘3毛で4位。これはパ・リーグも同様で、3割以上が3人だけ。ここまで極端なデータは珍しい。...
連敗を止めた5日の巨人戦。ヒーローは近本。文句はない。でももっと大きく扱ってほしいと思ったのが投げる方。ブルペン陣の奮闘、でもその割にスポーツ新聞の扱いが小さい、小さすぎる。これが不満だ。 今シーズンも試合の「7回」がキモになる。阪神の場合、僅差で勝っている展開で、ゲラ、岩崎(逆もある)につなぐ7回。5日のゲームで任されたのが3番手の桐敷だった。ヒットは打た...
スポーツ新聞の打撃成績表を見る。そこにカタカナ表記が極端に少ないことに気づく。特にセ・リーグだ。5月1日現在、規定打席到達打者の中、外国人選手は2人だけ。オスナとサンタナのヤクルト勢が上位にいる。 今年も新しい外国人選手が入ってきた。3月、4月はやはり日本人投手の投球に慣れずに苦戦することは多いが、今年は特にその傾向が強い。やはりヤクルトの2人でわかるように...
4月28日の甲子園。連休で満員のスタンドが少しザワついた。1点リードの8回裏。1死二塁になったところで、ファンの目はネクスト・バッタースボックスに注がれた。そこで構えていたのは佐藤輝。2死になったところで、ベンチから監督の岡田彰布が出た。「代打佐藤輝」を告げる。そのアナウンスがあった瞬間、猛烈な歓声が上がった。 阪神対ヤクルト 8回裏阪神2死二塁、代打を告げ...
シーズンの約6分の1を消化した時点で首位に立つ。それもどん底の状態を脱してからの右肩上がり。これが阪神の底力…。現在、連勝も更新中で、4月24日の雨の横浜で9回逆転劇。これで7連勝である。 この連勝中に引き分け試合が2度もある。監督の岡田彰布はこれに胸を張る。確かに勝ちきれなかったこともあるけど、負けないチームになっていること。これがデカい。 例えば24日の...
中日との初戦(4月19日)、試合前の練習を終えたあと、ヘッドコーチの平田勝男が近づいてきた。「いやー、よく粘ったかいがありました。監督が言っていた通り、チームがガラリと変わりましたからね」。長く続いた底の状態を抜けた。ポイントになったのは? こちらの問いに平田は即座に返してきた。「あのゲームです。よく引き分けたから。負けていたら、どうなっていたか。巨人と引き...
1985年4月17日、甲子園でのバックスクリーン3連発…。バースが打ち、掛布が打った。直後の打席、大騒ぎの中、岡田彰布は実に冷静だった。 「バース、カケさんに打たれたあと、槙原は何を投げてくるか。必ずスライダーがくる。そう確信していた」。岡田は振り返っている。狙い球を絞り、その通りの甘めの球がきた。打って当然とばかり、岡田が狙い打った打球は、センターのクロマ...
その日の打順はどう決まる? これは各球団によって違いがある。阪神の場合は? 例えば星野仙一が監督だった2002、2003年は試合前、当時の打撃コーチだった田淵が原案を作成し、それをヘッドコーチの島野に提出。よほどのことがない限り、変更することなく星野に示される。そこで星野が「よっしゃ」となれば、GOサイン。試合に臨むことになる。 前回の岡田体制でも同様の手順...