気持ちを込めた秋田南・渡部勇人の8球 聖地知る敵将が「ずっと見ておけ」と指示した理由/秋田
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秋田南・渡部勇人投手(3年)の思いがこもった8球だった。 19日に行われた高校野球秋田大会準決勝。秋田商戦に、背番号1の渡部は「4番右翼」で出場した。4回までに5点ずつを取り合うシーソーゲーム。5回以降は試合が落ち着いたこともあり、救援の機会が巡らなかった。8回に2点を勝ち越されると、9回に満を持して登板した。 「もう後は俺に任せろって。絶対流れ持ってきてや...
野球をこよなく愛する日刊スポーツの記者が、その醍醐味、勝負の厳しさ、時には心が和むようなエピソードなど、さまざまな話題を届けます。
秋田南・渡部勇人投手(3年)の思いがこもった8球だった。 19日に行われた高校野球秋田大会準決勝。秋田商戦に、背番号1の渡部は「4番右翼」で出場した。4回までに5点ずつを取り合うシーソーゲーム。5回以降は試合が落ち着いたこともあり、救援の機会が巡らなかった。8回に2点を勝ち越されると、9回に満を持して登板した。 「もう後は俺に任せろって。絶対流れ持ってきてや...
春の奈良県王者・天理には熱男がいた。副将でベンチ入りした背番号12の永野快星捕手(3年)だ。 攻守交代時のキャッチボール相手を務める天理の背番号12永野 23日、奈良大会準々決勝でライバル智弁学園に敗れ、高校最後の夏は終わった。永野はキャッチボール相手やベンチ内では懸命に声を出し、ムードを盛り上げた。主将の松本大和内野手(3年)から託された役割があった。「ベ...
部員10人の和歌山南陵が16日に県大会の初戦を突破し、響かせたレゲエ調の校歌が話題を集めた。 現在経営難などを理由に新規生徒の募集は停止中で、全校生徒は3年生のみ18人。今春経営体制を刷新し、甲斐三樹彦理事長(53)が力を注いでいる「寮での食事」も進撃に一役買っている。 食堂で部員の胃袋を支えているのが“野球部の母”だ。今春から柿森千晶さん(47)と長女の優...
社会人野球のレジェンド変則右腕に、並々ならぬ感謝の思いを持った高校球児がいた。都島工(大阪)の三樹凛太郎(みき・りんたろう)投手(2年)だ。13日に行われた大阪大会の刀根山との2回戦(南港中央)で先発し、6回3失点でゲームメークして3回戦進出に貢献した。 「トヨタ自動車の佐竹さんが好きで、かっこよくて独特でおもしろい投げ方やなと思ってまねしてみました。“佐竹...
今年も続々と甲子園切符をかけて各地区の戦いが開幕している。兵庫大会もその1つ。6日に開幕戦が行われ、熱戦が繰り広げられている。 開幕戦の前に行われた始球式に登場したのは親和女3年の西村佳世さんだった。1週間前から練習を始めたとは思えないセンスの良さでノーバウンド投球。「本当にホッとした気分です。気がついたら終わっていて、暴投せずに投げられて良かった」と笑みが...
名称が変わる前はシンプルに「伊勢原球場」と呼ばれていた球場は、米ドジャースタジアムと同じように、斜面を切り開いて作られたスタジアムだ。 眺望もいい。三塁側からは丹沢の山々が見える。その山地の一部にトンネルが掘られた。22年に新東名が開通し、時代とともに景色が変わってきている。 変わらぬものもある。センターの電光掲示板だ。得点などはデジタル表示ながら、選手名な...
5日に行われた高校野球神奈川大会の開会式で、県高野連の布施和久会長(59)が壇上でのあいさつを行った。 茅ケ崎北陵の校長を務める布施氏は、本年度から高野連会長に就任。3分半の初めてのあいさつでの「頑張ってね」の呼びかけが、168チームの高校生たちに響いた。 高校生は誰も生まれていないから、知るよしもない。布施氏は21年前、ドラフト候補投手とともに熱く戦ってい...
閉校した桐生南高の校舎やグラウンドはKIRINAN BASEとして一般に貸し出しされている 「球都(きゅうと)」という言葉がある。 昔から野球が盛んな地方都市で、愛媛・松山市などが挙げられる。中でも群馬・桐生市は2022年に「球都桐生プロジェクト」を立ち上げ、ゴロならぬ語呂を合わせて昨年から9月10日を「球都桐生の日」に制定するほど、野球を中心とした地域創生...
2年ぶり夏の甲子園出場を目指す大阪桐蔭は29日、創志学園(岡山)との練習試合で、13安打をマークし7-1と快勝した。先発した虎党右腕は、夏の大会に「猛虎魂」ともう1つの大事な言葉とともに臨む。 最速149キロ右腕・中野大虎(だいと)投手は、同部屋で2年生バッテリーでもある増田湧太捕手と試合を作り、7回を4安打1失点。増田は「中野は、気持ちの強い子」とし、「夏...
21日から24日まで、第31回大学野球関西オールスター5リーグ対抗戦がわかさスタジアム京都で行われ、関西6大学が優勝した。 関西の主要大学連盟が、各連盟の選抜メンバーで対戦する大会だ。 各リーグから選ばれた選手で戦うと聞くとNPBと同様の華やかな祭典が思い浮かぶ。そういった側面もある。ただ、そこに加えて出場している連盟の各大学にとっては秋に向けて重要な意味を...
まさに「華がある」選手だった。10日に開幕した第73回全日本大学野球選手権(神宮、東京ドーム)で、プロ注目の九産大(福岡6大学)の背番号1、浦田俊輔内野手(4年=海星)の活躍に目が留まった。 10日、福岡大戦で3安打の九産大・浦田俊輔 身長170センチ、体重70キロと小柄ながら、走攻守で能力の高さが際立っていた。10日の福岡大(九州6大学)との1回戦で「1番...
阪神中野拓夢内野手(27)は交流戦中、自身を慕う後輩にも寄り添っていた。古巣の三菱自動車岡崎は、都市対抗野球が行われる東京ドームへの出場権をかけて5月下旬からの東海地区予選を勝ち抜き、6月5日に第1代表決定戦に臨んだ。 大一番で待っていたのは悲劇的なシーンだった。中野の3学年下で、東北福祉大と三菱自動車岡崎の後輩である斎藤育輝内野手(24)は、延長10回タイ...
記者として取材を始めてから約2週間がたった。 初めて1人で取材に行った5月25日の関西学生野球春季リーグで関大の左腕・米沢友翔投手(2年=金沢)を取材した。3番手として6回裏途中から登板し、7回は3者連続三振の好投を見せていた。 米沢は石川県珠洲市の出身。元日の能登半島地震の際に実家で被災した。地震が起きた瞬間は「頭が真っ白というか考えられなかった」と話した...
駒大苫小牧・松本千拓(ちひろ)学生コーチ(3年)は仲間に寄り添って声をかけ、ノックバットを繰り返し振った。 駒大苫小牧で学生コーチを務める松本君(撮影・青山麻美) 「この目がもう治らないと悟った時は、真っ先に野球のことで頭がいっぱいになりました」 辺り一面に雪が降り積もる2月、南北海道の強豪・駒大苫小牧高校野球部の密着取材に訪れた。 18年春のセンバツ以降は...
プロ5年目の阪神西純矢投手(22)は、母校・創志学園(岡山)の1学年下の後輩からの伝言に静かに耳を傾けてくれた。 言葉の主は立命大の主将、竹内翔汰外野手(4年=創志学園)。関西学生野球連盟で春季リーグの首位打者に輝いたプロ注目の打者だ。 春季リーグ最終戦を終えた後、記者は竹内から西純への伝言を預かった。 「西さんが投げられた試合は基本、全部見させていただいて...
大会を陰で支えた、補助員の選手、女子マネージャーたち(撮影・河野匠) 26日、白鴎大足利(栃木1位)の初優勝で、6日間に及ぶ高校野球春季関東大会が終わった。 表彰式が終わると、ほうきで丁寧にベンチをはく選手たちの姿があった。この日の大会運営の当番校、前橋育英の選手たちだった。熱戦の後のベンチでホコリまみれになりながらも一生懸命。それを見つめていた群馬県高野連...
「あのダルビッシュがなあ…」とつぶやきながら。日本高野連の名物事務局長だった田名部和裕さんは笑っていた。パドレス・ダルビッシュが日米200勝を達成した数日後だった。 19日、日米通算200勝を達成したパドレス・ダルビッシュ(USA TODAY) 快挙を伝える記事の中、日本ハム時代の喫煙事件が取り上げられていた。プロ1年目の春季キャンプ中、たばこをくわえながら...
3月に実施された侍ジャパンの欧州代表との強化試合では、大学生4人が選出されたことが大きな話題を呼んだ。侍を率いる井端弘和監督(49)の方針によるもので、選ばれた明大・宗山塁内野手(4年=広陵)、関大・金丸夢斗投手(4年=神港橘)、西川史礁外野手(4年=龍谷大平安)、愛知工大・中村優斗投手(4年=諫早農)の4選手は、いずれも今秋ドラフトの上位候補として挙げられ...
感謝したい高校生がいる。今春センバツで伝令を務めた日本航空石川・福森誠也投手(3年)だ。 同校は1月の能登半島地震で被災。なかでも避難所を経験した福森に注目が集まった。 帰省時は県外で過ごす選手も多い中、福森は石川・輪島市にある祖母宅いた。毎年恒例。平穏な一家だんらんのその時。震度7の揺れで天井や壁が落ちてきた。津波から逃げるため、家具の倒壊で腰部を骨折した...
プロ野球って夢を与える職業だな。今年のゴールデンウイークはそう感じた。 ここ数年、アマチュア野球の取材に関わることも多く、「ドラフト候補」と呼ばれていた選手が実際にプロに入る姿を何人も見るようになった。同時にプロ野球の取材もすると、活躍できる選手はごくわずかだなと感じる。 ゴールデンウイーク中に阪神大学リーグの取材機会があった。大体大OBで巨人、メジャーで活...
近大前監督の田中秀昌氏(67)が、日本高野連の技術振興委員に26日付で就任した。高校野球界の振興やマナーの向上、高校日本代表の選考や指導陣の人選など、活動範囲は多岐にわたる。 田中氏にとって、高校野球は古巣。1985年に母校・上宮(大阪)のコーチになり、1991年に監督に。2003年に東大阪大柏原の監督となり、2014年4月に近大の監督に就任するまで高校野球...
今春から導入された新基準の低反発バットの影響で、センバツ大会の本塁打数が激減した。金属バットが導入された1975年以降最少の3本にとどまった。それにより、「高校通算本塁打数」も今後は増えにくく、大幅に減少していくことになるだろう。入学直後から低反発バットを手にする新1年生にとっては、モヤモヤするのではないか、と個人的にふと思った。 これまで記事で選手を紹介す...
息子もまた父と同じように甲子園の三塁ベースをめがけてヘッドスライディングした。そして黒土にユニホームを汚した。 高崎健康福祉大高崎(群馬)の初優勝で幕を閉じた2024年のセンバツ。31試合の中で、特に印象に残ったシーンがあった。阿南光(徳島)の福田修盛外野手(3年)が熊本国府との2回戦で初回に決勝の適時三塁打を放ち、ヘッドスライディングをした場面だ。父章さん...
今年もプロ野球が開幕した中、新しくスタートを切ったチームがある。佐賀インドネシアドリームズ。独立リーグの九州アジアリーグに、今季から準加盟した。 日本の野球史において、画期的なチームと言っていい。名前が示すとおり、選手はインドネシア人選手が中心で多くが同国の代表経験者だ。さらに、フィリピン、シンガポール、スリランカ、日本の選手も加わる。まさに多国籍軍団が佐賀...
野球界にはけっこう、航空業界と接点がある人が多い。だから1月2日、羽田空港で起きた事故への衝撃も大きかった。「ほんっとに肝が冷えたよ…」。真顔で振り返る人もいた。 センバツ高校野球が行われている甲子園にも、そんな声があった。日本航空石川の森山尚良(たから)マネジャーだ。彼女はCAになることを夢見て、千葉県から同校に進学した。 八戸学院光星対星稜 星稜に負け肩...
第96回選抜高校野球大会が18日、甲子園で開幕した。前回大会では選手全員による行進、声出し応援などが4年ぶりに復活。今年の開幕前にはキャプテントーク、甲子園練習が5年ぶりに実施された。コロナ禍を経て、徐々に本来の姿に戻ってきた。取材も100%ではないが、ほぼコロナ前の状況に戻りつつある。 個人的には高校球児の熱い戦いが生み出す「ドラマ」を心待ちにしている。プ...
東京6大学リーグには、甲子園を経験した野球エリートが大集結する。厚い選手層で繰り広げられるレギュラー争いは熾烈(しれつ)で、生き残りは至難の業。甲子園を経験し、明大でもがく瀬千皓(せ・ちひろ)外野手(2年=天理)に話を聞いた。 瀬は高校時代は4番。21年ドラフトで日本ハムから1位指名された達孝太投手(19)とともにセンバツ4強へけん引した、右の強打者だ。明大...
低反発となった新基準の金属バットはどのような影響を与えるか。本当に野球は変わるのか。注目が集まる春の戦いとなる。 練習試合などを通して感じたことを監督や選手に問いかけるとさまざまな影響が出ているようだ。広く意見が一致したのは「飛ばない」こと。これは狙い通りである。ただ、そのほかにも出ている影響が見えてきた。 守備での影響を危惧したのは宇治山田商の村田治樹監督...
東京都内は雪化粧をまとうような寒さが続くが、季節は球春に近づいていく。プロ野球より一足早く、18日に第96回選抜大会が開幕する。 1995年1月17日の阪神・淡路、2011年3月11日の東日本と、大震災の直後にセンバツは開幕を迎えた。今年の1月1日、能登半島を大きな揺れが襲い、多くの方が被災した。新年が始まったばかりの元日が、またつらい1日になった。甚大な被...
5年前のセンバツ王者は今春、社会人野球の道に進む。東邦(愛知)の1番打者で関西学生2季連続首位打者の同大・松井涼太外野手(22)は都市対抗16回出場の東邦ガスに入社する。同社には同期に19年夏の優勝投手で早大・清水大成投手(22=履正社)や昨年までヤクルトでプレーしていた吉田大喜投手(26)が在籍。記者は、この春初めてセンバツの取材に赴く。松井に、高校時代と...