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ニッカン芸能!

洋邦問わず、日刊スポーツの映画担当記者がオススメ映画を紹介します。

映画この一本

全ての感情を表現 山田裕貴の目の芝居/ベートーヴェン捏造(日)

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天才音楽家というベートーヴェンのイメージは、でっちあげられたものだった…。耳が聞こえないベートーヴェンと筆談した会話帳を、秘書だったシンドラーが改ざん、廃棄して...

洞察力試されるような余白 だれかと無性に話したくなる/遠い山なみの光(日・英・ポーランド)

(C)2025 A Pale View of Hills Film Partners

見終わった後、だれかと感想を語り合うのはあまり好きではないが、この作品は違った。不穏な流れの中、おそらく人によって解釈が異なり、見終わった後に「結局、こういうこ...

心地いい横浜聡子監督演出/海辺へ行く道(日)

(C)2025映画「海辺へ行く道」製作委員会

からっとした陽光の中に昭和を思い出させる風景が広がり、家の内外にはアートなオブジェが点在する。 アーティスト移住支援をうたう海辺の街を舞台に、14歳の美術部員・...

“ご当地映画”以上の深みがある/蔵のある街(日)

(C)2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会

岡山県倉敷市出身の平松恵美子監督が、コロナ禍で楽しみにしていた行事を奪われた子どもたちのために、サプライズ花火を打ち上げた同市の有志が幼なじみだったことに着想を...

必ず生きて帰る、還す命つなげる「武士道」/雪風YUKIKAZE(日)

(C)️2025 Yukikaze Partners.

終戦から80年。戦争を語り継ぐ人が少なくなっていく中で、戦争の記憶と当時の人々の思いを、今に生きる私たちにつないでくれる作品だ。ほぼ無傷で第2次大戦の終戦を迎え...

第1作から32年 胸アツ思い出す/ジュラシック・ワールド 復活の大地(米)

(C)2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

「スター・ウォーズ」のスピンオフ作品「ローグ・ワン」では、第1作前夜を舞台に胸躍るストーリーを組み上げた。オタク気質のギャレス・エドワーズ監督に委ねれば、シリー...

悲しみ、憎しみ…感情爆発させるシーン印象的/長崎-閃光の影で-(日)

(C)2025「長崎-閃光の影で-」製作委員会

戦後80年を迎え、戦争を題材にした映画が相次いで公開されている。今作は、8月9日に原爆が投下された長崎で、救護の最前線に立たされた看護学生3人を軸に、葛藤を抱え...

終戦知らず2年…本当の「飢え」とは/木の上の軍隊(日)

(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会

第2次世界大戦末期に激戦地となった沖縄・伊江島で、終戦を知らないまま2年間、大木の上で身を潜めていた日本兵2人がいた。そんな信じがたい実話を聞いた作家の故井上ひ...

10代の頃のもどかしさ思い出すリアリティー/レイニーブルー(日)

「レイニーブルー」の1場面

10代の頃のもどかしさ、いらだちを思い出した。みずみずしい描写には説得力がある。これが長編デビューとなる柳明日菜監督が現役高校生だった一昨年、実体験をもとに撮っ...

感情移入しやすい人間味あふれるヒーロー/スーパーマン(米)

(C)&TM DC(C)2025 WBEI

米DCコミックを代表する世界的ヒーロー「スーパーマン」の完全新作映画が、日米同時公開された。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで知られ、新生DCスタ...

下ネタ多いが“国宝級”の品もあり/ババンババンバンバンパイア(日)

(C)2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会(C)奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022

くだらなすぎておもしろい。これだけおバカなギャグがちりばめられていると、なんだか元気が出る。主演は歌舞伎役者の人生を描いた映画「国宝」で神がかった演技を見せた吉...

ジキルとハイドのような演技の綾野剛/でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男(日)

(C)2007福田ますみ/新潮社(C)2025「でっちあげ」製作委員会

綾野剛がまるで一人二役のように主人公の虚実を演じ分ける。彼を追い詰める柴咲コウは終始能面のようで怖い。 03年に起きた福岡市の「教師によるいじめ」事件をベースに...

11歳鈴木唯の才能を見守っていきたい/ルノワール(日ほか)

(C)2025「RENOIR」製作委員会/International Partners

子供の頃、親や周囲の大人から複雑な何かを感じ、触れない方が良いかも? と黙ってやり過ごしたり、のみ込んだ経験、あるのではないだろうか? 見終わった後、恐らくは言...

最前線で闘う人たちの葛藤や緊張感/フロントライン(日)

(C)2025「フロントライン」製作委員会

日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が起きた豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」を舞台に、DMAT(災害派遣医療チーム)のメンバーらが未知のウイルスと闘う...

吉沢亮と横浜流星が女形の動作を体現/国宝(日)

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

歌舞伎名門の当主、半二郎が、地元を仕切る大親分の宴に招かれた。半二郎は座興で女形を披露した美少年に目を奪われる。親分の1人息子喜久男だった。 間をおかず、その場...

「見えないふりする子ちゃん」の心の機微/見える子ちゃん(日)

(C)2025『見える子ちゃん』製作委員会

目を引くタイトルである。突然、霊が見えるようになった主人公の女子高生・四谷みこ、そのものを表しているが、みこは恐れおののくも、霊から逃げたり立ち向かったりはせず...

見ているこちらも命の危険感じる/ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング(米)

(C)2025 PARAMOUNT PICTURES.

気づくと、両手を握りしめ身を乗り出していた。約3時間、主演トム・クルーズの仰天アクションの連発に緊張感はMAX。絶体絶命のピンチを乗り越えるたびに「よしっ!」と...

62歳デミ・ムーアVS.クアリー体張った競演/サブスタンス(英)

(C)The Match Factory

女性を外見でしか評価しない男どものルッキズムを切り刻み、返す刀で自らの老いへの恐れも隠さない。年齢を理由に一線を追われるスター女優役にデミ・ムーアが体を張ってい...

特異な映像体験を味わえる/新世紀ロマンティクス(中)

(C)2024 X stream Pictures All rights reserved

昨年のカンヌ映画祭で、中国人で初の6度目のコンペティション部門出品を果たした、ジャ・ジャンクー監督の新作だ。ミレニアムに沸く01年から、コロナ禍を経験した22年...

重い話だけど明るく明るく 心を「うぉっしゅ」してくれる作品/うぉっしゅ(日)

映画「うおっしゅ」(C)役式

ソープ嬢の孫が認知症の祖母の介護に奮闘する物語。ソープランドと介護は何ら接点がないように思えるが「人の身体を洗うこと」という共通点を通し、介護、認知症、SEXワ...

鈴鹿央士が想像以上のコメディーセンス/花まんま(日)

(C)2025「花まんま」製作委員会

早く両親を亡くし、10代から工場勤めをしてきた兄のもとで育った妹に、嫁ぐ日が迫っている。演じるのは鈴木亮平と有村架純。これはもう、泣くための映画ではないか。 だ...

性別、年代を超え胸を揺さぶる伊東蒼/今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は(日)

(C)2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会

お笑いコンビ・ジャルジャル福徳秀介が、20年に発表した小説家デビュー作の実写化作品で、昨年の東京国際映画祭でコンペティション部門に出品された。 映画化の話が持ち...

リアルすぎる刑務所/シンシン SING SING(米)

(C)2023 DIVINE FILM,LLC.All rights reserved.

舞台はニューヨーク州のハドソン川沿いにあるシンシン刑務所。灰色の巨大な壁と、狙撃手が配置された八角形の監視塔に囲まれた監獄は最重警備のセキュリティーを誇り、殺人...

ジェームズ・ボンドのモデルvsナチスの活劇/アンジェントルメン(米)

(C)2024 Postmaster Productions Limited. All Rights Reserved.

ナチスドイツが西ヨーロッパを席巻し、英国が孤立を深めた第2次世界大戦の序盤戦、大西洋を挟んだ米国の参戦を阻んでいたのはUボートの存在だった。 この給油網を破壊す...

ゾーイ・サルダナの圧巻パフォーマンス/エミリア・ペレス(仏・米・メキシコ)

(C)2024 PAGE 114-WHY NOT PRODUCTIONS-PATHEFILMS-FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO:(C)Shanna Besson

今年の米アカデミー賞で12部門13ノミネートは最多で、カルラ・ソフィア・ガスコンがトランスジェンダー女性として初の主演女優賞にノミネートされたことも話題を呼んだ...

生きることの壮絶さと葛藤/少年と犬(日)

(C)2025 映画「少年と犬」製作委員会

犬と暮らしていると、ドキッとすることがある。胸の内を、すべて見透かされたような目を向けられると、くぎを打ち込まれたように動けなくなり、「実はな…」。つらい思いを...

名作ほうふつとさせるモノクロ 女性目線で裏側から光/ドマーニ! 愛のことづて(伊)

(C)2023 WILDSIDE S.r.l-VISION DISTRIBUTION S.p.A

パオラ・コルテッレージ(51)は、歌やモノマネも得意なイタリアの人気女優だが、出演作では常に「社会のゆがみへの問いかけ」を意識してきたという。 初メガホンの今作...

匠の技 笑福亭鶴瓶の目の芝居/35年目のラブレター(日)

(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会

「感動の実話を映画化」という宣伝文句があふれ、食傷気味なのは記者だけではないだろう。そんな思いなど1ミリも抱くことなく、人として生きること、家族や身近な人を思い...

王道物語ではないパワフルな生きざま/アノーラ(米)

(C)2024 Focus Features LLC.All Rights Reserved. (C)Universal Pictures

うねる肢体に不敵な微笑。妖艶なダンスが男をとりこにする。米ニューヨークのナイトクラブで働く若きストリップダンサー、アニーことアノーラ(マイキー・マディソン)が主...

うつろな表情、絶妙なやさぐれ感 広瀬すずの代表作になる/ゆきてかへらぬ(日)

(C)2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会

うつろな表情、絶妙なやさぐれ感…広瀬すずの代表作になると思う。 詩人の中原中也と評論家の小林秀雄。ともに文学史に名を刻む2人が、奔放に生きた女優長谷川泰子をはさ...