“怒っていた”バーネット「野球に集中していたからね」選手を獲得する側になり増えた笑顔

ヤクルトの侍は、今も侍を求めている。2月の沖縄・浦添の春季キャンプ。選手、スタッフの中に、どこか見覚えのある顔があった。とは言っても、確信は持てなかった。短髪、無精ひげの外国人。こちらに近づいてきても、分からなかった。キョトンとしていると、あるスタッフが「バーネットだよ」と教えてくれた。 トニー・バーネット。10年に来日し、2度の最多セーブのタイトルを獲得し...
ヤクルトの侍は、今も侍を求めている。2月の沖縄・浦添の春季キャンプ。選手、スタッフの中に、どこか見覚えのある顔があった。とは言っても、確信は持てなかった。短髪、無精ひげの外国人。こちらに近づいてきても、分からなかった。キョトンとしていると、あるスタッフが「バーネットだよ」と教えてくれた。 トニー・バーネット。10年に来日し、2度の最多セーブのタイトルを獲得し...
何度見返しても、会見場の興奮が伝わってくる。10月24日のドラフト会議当日の関西独立リーグ・堺シュライクスのYouTube。ヤクルトの育成4位で名前を呼ばれた瞬間、松本龍之介捕手(19)は隣にいた大西宏明監督とひしと抱き合った。ややいかつめの19歳の顔が、涙でくしゃくしゃに。右隣にいた畑康裕球団代表ら、居合わせた関係者みんなが泣いていた。 「ドラフトのすごさ...
甲子園が取り持った、ドラマのような一戦だった。 今月14日に京セラドーム大阪で行われた日本生命セ・パ交流戦のオリックス-ヤクルト戦。ヤクルト先発の奥川が、980日ぶりの勝利を挙げた。2022年3月に右肘痛を発症し、そこから左足首骨折、腰痛と相次ぐ故障に苦しんできた23歳が、やっと1軍のマウンドに戻ってきた。ヒーローインタビューで涙にくれた姿とともに、Offi...
キャンプ地では、「お題に答えて」が12球団で行われている。ここでは、紙面に載せきれなかったヤクルトの選手たちの「お題」の答えを紹介する。 前ソフトバンクの嘉弥真は「風呂のこだわり」について「ん~ないでよ(笑い)」と答えた。ただ、「風呂の時間は?」と角度を変えると、沖縄出身らしい答えが返ってきた。「とにかく早いですね。早いと思います。10分? 10分は切ること...
池袋駅に着き、東武東上線へ向かった。普段はなかなか利用しない路線。案内を注視しながら、歩みを進めた。電車に乗り込み、揺られること約30分。みずほ台駅に到着した。そこからタクシーで約5分。住宅地が見えてきた。時刻は午後5時。年の暮れ。日もしっかり暮れていた中、目的地の倉庫は明るさに活気が入り交じっていた。 元ヤクルトで日本ハム、横浜(現DeNA)、西武でプレー...
どこで、何があるか分からない。ヤクルトの新入団選手発表会を見て、そう思った。4日、都内で行われた同会。育成ドラフト1位の台湾・鶯歌工商高・高橋翔聖投手(17)は来年6月に高校卒業のため不参加となったが、その他の6選手が晴れの舞台に登壇した。ドラフト5位のルートインBCリーグ新潟の伊藤琉偉(りゅうい)内野手(21)も、ハキハキと質疑応答に答えていた。 人生、山...
時の流れを感じる。3年ぶりに野球の現場に戻ってきた。7年ぶりのヤクルト担当となる。同学年の荒木貴裕氏(36)は、今季限りで現役引退。それこそ同氏が7年間着けた背番号10は、プロ6年目の宮本丈内野手(28)が引き継ぐことになった。「10」は城石憲之現2軍総合コーチ、森岡良介現1軍内野守備走塁コーチら、歴代のチームリーダーがつけた伝統ある番号。宮本「うれしかった...
28年ロス五輪で野球が正式競技に復活することが決定。今春のWBCメンバーとして世界一を経験したヤクルト高橋奎二投手(26)は出場に意欲を示すと同時に、来季の巻き返しを固く誓いました。 現在は神宮外苑で秋季練習中。「WBC世界一のメンバーとして、すごくいい経験させていただきました。それを今年生かせなかったのは、本当に自分のミスだと思う」と今季を振り返りつつ、「...
ヤクルト奥川恭伸投手(22)がじっくりと、確実に来季の1軍復帰に向けて歩みを進めている。今月1日、イースタン・リーグ最終戦となった日本ハム戦(鎌ケ谷)で1回11球を投げ無安打無失点。大きな1歩となった。 右肘痛からの復帰を目指し、今季は4月からイースタン・リーグで登板。6月27日の同リーグ楽天戦(戸田)まで7試合を投げ、100球近くにまで球数を増やし、順調な...
阪神が18年ぶりに優勝し、ヤクルトの球団史上初となるリーグ3連覇の夢は消えた。14日広島戦(神宮)は8回にリリーフ陣が踏ん張れず3点差を逆転され、CS進出の可能性が消えた。石山、木沢、山本がそれぞれ出した四球が絡み4失点。そのまま5-6で敗れ、3年ぶりのBクラスが確定した。 この日、28歳の誕生日を迎えた守護神の田口麗斗投手が話していたことを思い出した。「今...
19犠打。ヤクルト中村悠平捕手(33)が26日の試合終了時点で積み重ねてきた数字だ。 規定打席には到達していないが、この数字はリーグトップだ。 涼しい顔で犠打を決め、さっそうとベンチに引き揚げる姿を今季、何度も見てきた。その中村は試合前練習で毎日のように、バント練習に臨む。ある日、聞いてみた。「バントうまいんだからそんなに練習しなくていいんじゃないの?」。私...
「成田空港に着くと田舎の各駅停車が止まる駅か、バスの終点みたいな感じがします」(日経ビジネス記事引用)。日本最大の国際空港をこう表現したのは、ノンフィクション作家の高野秀行氏だ。確かにシンガポールのチャンギ国際空港や、ドバイ国際空港などアジアのハブ空港を訪れると、その規模と華やかさに圧倒され、我が国への憂慮を禁じ得ない。 日本は2010年、国内総生産(GDP...
今季からヤクルトを担当する記者にとって、不動の4番村上宗隆内野手(23)が71試合目にしてスタメンを外れた光景は、真新しかった。左膝痛が原因のため望ましいことではないが、ベンチでの立ち振る舞いが明らかにスワローズナインの雰囲気を変えた。 神宮のヤクルトベンチに向かって左端にあるカメラ席とを隔てる柵に、もたれながら大声を張り上げる村上。その存在感たるや、とても...
プロ入り8年目でヤクルト小沢怜史投手(25)が初となる完封勝利を手にした。盛岡で行われた28日巨人戦。7回表に雨天コールドとなったが6回3安打無失点でその栄光をつかんだ。 20年にソフトバンクから戦力外通告を受け、トライアウトに参加。ヤクルトと育成契約を結んだ。昨季途中で支配下登録。今季はシーズン途中でリリーフから先発へ転向し、無傷の3連勝を手にした。 それ...
ヤクルトは泥沼の7連敗から連勝し、白星スタートの5月となった。貧打に苦しんだ打線も、2日巨人戦(東京ドーム)で今季2度目の2桁安打となる13安打と爆発し、チーム打率も2割台に戻した。 7連敗を抜け出したきっかけの1つに、記録に残らないポイントがあった。奥村展征内野手(27)の1軍合流だ。連敗をストップした4月30日阪神戦(東京ドーム)から1軍に合流。今季はま...
ヤクルトのドラフト1位ルーキー吉村貢司郎投手(25)のプロ初勝利がまたお預けとなった。9日阪神戦(甲子園)で2試合目の先発マウンドに上がり5回4安打3四球1失点と試合はつくったが、本来の調子ではなかった。 初回先頭の阪神近本にいきなり四球。そして3番ノイジーにも四球。制球力に定評がある吉村らしからぬ立ち上がり。3回には先頭の近本に右翼線へ二塁打を打たれ、続く...
球界最年長の男にWBC優勝はどう映ったのか-。 「世界トップレベルのゲームを見たということで、すごく刺激もらいましたし、いろいろなヒントがあると思いながら見ていました」 ヤクルト石川雅規投手(43)のそれは「探究心」というひと言では片付けられないものがある。1次ラウンドで日本打線が苦しめられたチェコのサトリア投手が投げたチェンジアップについても「すごいチェン...
グッズショップのレジにヤクルトの投手キャプテンは立っていた。沖縄・浦添キャンプのあるオープン戦開始前。田口麗斗投手(27)は店員に交じり会計作業を手伝いつつ、サインや写真撮影に1人ひとり応じていた。記者が試合開始ギリギリまで確認した限りでも、1時間30分以上は店頭に立ち続けた。 「時間は関係ないですよ。みんなが、なかなかやれないことを(自分は)やらないととい...
球界最年長の石川雅規投手(43)が今年もキャンプ序盤から精力的に動いている。毎年恒例の初日ブルペンから始まり、2日目もブルペンに入った。その姿は後輩たちのお手本になっている。 若い選手たちは「石川の声」を重宝する。WBC日本代表の高橋奎二投手(25)は「石川さんにはいろいろな人の話を聞きなさいとよく言われる。良い選手に良いことを聞いて自分のためになることがあ...
氷点下の奥尻港は雪が降り積もっていた。2023年1月6日。午前8時15分発のフェリーに乗り込む。ヤクルトのドラフト4位坂本拓己投手(18=知内)は翌日の新人入寮に向けて、1日前に故郷を後にした。 最初の目的地は江差港。2時間20分の船旅だ。航行中、何をするわけでもなく、ただただ冬の日本海を船窓から眺めた。165勝を挙げた佐藤義則さん以来、奥尻島から46年ぶり...
12月13~19日に行われたヤクルトのハワイ優勝旅行を取材しました。高津臣吾監督(54)をはじめ、村上宗隆内野手(22)ら選手たちのシーズン中では見られない、リラックスした表情を見ることが出来ました。 13日朝にハワイ到着。ホテルチェックイン前から大好きなゴルフに出かけた高津監督でしたが、「めっちゃ混んでて15番までしか回れなかった」と、午後5時開宴の優勝祝...
ヤクルトのムードメーカー奥村展征内野手(27)が、11月27日の「ファン感謝DAY」を大いに盛り上げました。 同30日の契約更改では150万円増の年俸1200万円でサイン(金額は推定)。9年目の今季は1軍にほぼフル帯同。43試合の出場で打率1割4分6厘、0本塁打、2打点にとどまりましたが、持ち前の明るさと元気で「チームスワローズ」になくてはならないピースとな...
ヤクルト村上宗隆内野手(22)が14日、都内の日本記者クラブで会見を行いました。公の場で初めてメジャー挑戦の意欲を示したことが大きく報道されましたが、それ以外にも球団スポンサーから贈呈される「3億円の家」など、多岐にわたる質問に約50分間、丁寧に対応。根強い郷土愛も披露してくれました。 日本選手最多のシーズン56本塁打を放ち、史上最年少で3冠王に輝いた「村神...
それにしてもプロ野球は夢がある。 東芝・吉村貢司郎投手(24)が、2度の指名漏れを経てドラフト1位でヤクルトから指名を受けた。国学院大時代に続き、社会人2年目の昨年ドラフトで指名されなかった。そこからわずか1年後に“ドラ1”になるのだから、運命というのは分からない。指名直後から鳴りやまぬスマホに、一晩では返しきれなかったという。 ドラフト翌日に指名あいさつを...
ヤクルトのドラフト1位ルーキー山下輝(ひかる)投手(23)が、27日の「SMBC日本シリーズ2022」の第5戦(京セラドーム大阪)で、球団新人では初の先発を務めました。5回を84球、7安打3失点の粘投で勝利投手の権利を持って降板し「初めての日本シリーズですごく緊張しました。とにかく1人1人攻めていこうという気持ちで一生懸命投げました」。試合は9回サヨナラで敗...
ヤクルトのドラフト1位ルーキー山下輝(ひかる)投手(23)が、9月30日広島戦(マツダスタジアム)でプロ初勝利をマーク。2年連続の日本一を目指すチームにまた1枚、新たなピースが加わりました。 法大出身の188センチ左腕。昨年ドラフト指名後に左前腕の疲労骨折が判明し、リハビリからのプロ生活スタートとなりましたが、シーズン最終盤で見事に結果を出し「苦しいことが多...
ヤクルト村上宗隆内野手(22)が55号本塁打を放った時の紙面企画として、9日に前ヤクルトの山川晃司投手(25)の話を聞いた。現在は独立リーグ、日本海オセアンリーグの富山でプレーしている。村上の前の「背番号55」だが、ここだけ聞くと「なぜ投手が55?」という疑問が出そうなので、山川選手について少し補足したい。 厳密に言うと、55の時は投手ではなかった。15年、...
正式な野球の記録ではないが、言い得て妙な用語に「サイクル本塁打」がある。1試合に「ソロ、2ラン、3ラン、満塁」と、4種類の本塁打を放つことだ。巨人が今季9月7日のDeNA戦で、4人がかりで成し遂げた。吉川がソロ、ウォーカーが満塁、ポランコが3ラン、仕上げは中田が2ラン。おまけにポランコがもう1本放ち2ラン。球団15年ぶり9度目の出来事だった。 NPBで、1人...
ヤクルト久保拓真投手(26)が、9月9日広島戦(神宮)でプロ初勝利を挙げました。九州共立大から18年ドラフト7位入団。今年7月から1軍に定着し、2連覇を目指すチームの中で、貴重な中継ぎ左腕として役割を果たしています。 9日広島戦では、同点の6回から2番手でマウンドへ。2安打を浴びながらも、最後は1死一、三塁から併殺で無失点で切り抜けると、その裏に2点を勝ち越...
先日、お酒の席でこんな会話が聞こえてきた。「1番と言えば?」「青木~」。ヤクルト打線について話しているようだ。青木が1番。なくはないか、と思いながら聞いていた。「2番宮本」。なくはない。「3番は~、岩村」。ここで気付いた。宮本が丈ではなく慎也だということに。05年のオーダーだった。 野球が好きな人や実家で中継が流れていた人には、「懐かしの1番」とか「最強の4...