ニッカンプロ野球

広島番記者

矢野雅哉、名手菊池涼介の助言とサポートから二塁手としても成長中「とにかく試合に出たい」

広島矢野雅哉(2023年9月30日撮影)

プロ野球開幕が迫る中、広島はまだ4番も決まっていない。 昨オフに西川がオリックスへFA移籍し、中軸を担った経験のある選手は秋山くらいで、外国人選手も未知数。今年も対戦相手や自軍選手の調子によってスタメンを入れ替えながら打線を組んでいくことになるだろう。昨季終盤にケガ人が相次いだことから、シーズン序盤でもレギュラー陣を休ませることも十分考えられる。 昨季リーグ...

クレート通訳の温かく厳しい視線「1人でもできるようにならないと」練習生の成功の鍵か

ヘンディ・クレート通訳(2019年4月21日撮影)

天福球場の右翼後方にある雨天練習場の前で、温かくも厳しい視線を向ける人物がいた。ヘンディ・クレート通訳(40)だ。今季もドミニカ選手とともに1月末に来日。春季キャンプにもコルニエルのほか、2人の練習生の通訳として同行している。 この日、担当するコルニエルが雨天練習場で練習する中、タイミングを見ながらグラウンドの様子をうかがっていた。視線を送る先には、育成契約...

今年から護摩行に同行する末包昇大と中村奨成に「1度考え直して」と会沢翼が求めたもの

2020年1月、護摩行で経を唱える広島会沢

いつまでも正月気分ではいられない。各地で始動する選手たちの自主トレ公開も今後予定されている。広島では毎年、自主トレ公開予定の中に護摩行の公開日も設けられている。今年は会沢翼捕手(35)、堂林翔太内野手(32)に加え、末包昇大内野手(27)と中村奨成捕手(24)が新たに同行する。燃えさかる炎の前でお経を唱える荒行だ。今年で8年連続で8度目となる会沢は、2人をす...

中崎翔太が一変させたブルペンの雰囲気「ザキさんの存在が大きかった」若手の躍進支える

広島中崎翔太(2023年10月撮影)

シーズンが終われば、プロ野球選手は残した数字で語られる。シビアな世界ではある。ただ、貢献度は数字だけでは表せない。今季勝ちパターンとして好成績を残した矢崎、島内は口をそろえて「ザキさんの存在が大きかった」と言う。3連覇時は抑えを務め、通算427試合登板の中崎翔太投手(31)は、若い中継ぎ陣の精神的支柱だった。 中崎は今季、開幕2軍も、5月16日に昇格すると、...

FA移籍する西川龍馬の赤ユニホーム売り上げが11月に上がった理由はある人物の大量購入

広島ファン感謝デーに参加した西川龍馬(中央)(2023年11月23日撮影)

FAでオリックスへ移籍する西川龍馬外野手(28)にとって、12月上旬のイベントが最後の広島のユニホーム姿となった。多くのファンにとっては、11月23日ファン感謝デーが赤いユニホームの見納めだった。 シーズンオフ、移籍する選手のユニホームは売れ残る。だが、西川の広島のユニホームは11月、売り上げが上がった。それは特定の人物による大量購入があったからだ。11月下...

ファン感謝デーでFA移籍の西川龍馬が送り出される空気感にこれまでにない温かみ

新井監督(中央)ら広島ナインと記念写真に納まる西川(前列右)(撮影・加藤孝規)

23日、マツダスタジアムで行われた「カープファン感謝デー2023」では、これまでにない空気を感じた。4年ぶりにマツダスタジアムで開催され、有観客で行われたことだけが理由ではなかった。そう感じたのは、FAでの移籍が決まっていた西川龍馬外野手(28)への反応だった。 これまでも移籍が決まっていた選手たちがファン感謝デーに参加したことはあった。ただ、ここまで温かく...

薮田和樹の最終登板は外野にグラウンドキーパーのみのシート打撃 床田のオファーから実現

トライアウトに向けてシート打撃に登板した広島薮田和樹(撮影・前原淳)

シーズンオフの静かなマツダスタジアムに、ユニホーム姿の3選手がグラウンドに出てきた。床田寛樹投手(28)と野間峻祥外野手(30)。そして今オフ、戦力外通告を受けた薮田和樹投手(31)だった。さらに昨季限りで現役を引退した白浜裕太スコアラー(38)もキャッチャー防具を着けて姿を見せた。 打撃ケージが用意され、ケージ後ろには庄司隼人スコアラー(32)もスピードガ...

島内颯太郎の成長の裏にある新井監督の言葉と無言の起用法、そしてイジられる日々

広島対DeNA ファイナルS進出を決め、新井監督に選手代表としてスピーチを指名された島内(右)(2023年10月15日撮影)

結果的にマツダスタジアム最終戦となった15日のCSファーストステージ第2戦後、新井貴浩監督(46)はセレモニーで1人の選手をマイクの前に立たせた。今季勝ちパターンでただ1人、フルシーズン完走した島内颯太郎投手(27)を呼び寄せた。 「私のあいさつの前に、選手を代表して、今日もナイスピッチングでした。最優秀中継ぎ投手、島内より皆さまに一言御礼を申し上げます」。...

引退試合を1人のものにしなかった一岡竜司 ブルペンでの球数“16”に込めた仲間への思い

広島対阪神 引退セレモニーで胴上げされる広島一岡(2023年10月1日撮影)

広島のレギュラーシーズン最終戦となった1日阪神戦は、一岡竜司投手(32)の引退試合となった。登板した6回。大きな声援を背に、8球すべて真っすぐ勝負で見逃し三振を奪った。現役最後の投球を終えると、新井監督にうながされるようにマウンドに残り、ともに3連覇に貢献した中崎に白球を託した。 「ザキ(中崎)にボールを渡すときと(試合後セレモニーでの花束贈呈の大瀬良)大地...

上本崇司と堂林翔太が残り5試合で51年ぶり記録達成の可能性 鍵を握るのは2位確定時期?

9月23日、巨人対広島 4回表広島無死、上本は左前打を放つ

残り5試合となった広島の戦いで、ひそかに注目していることがある。それは「9番・上本」「9番・堂林」の起用はあるか、だ。 何を言っているんだと思われるかもしれないが、上本と堂林は今季ここまで1番から8番までの打順で先発出場している。 今季オリックスの中川が記録し、昨季は新庄監督率いる日本ハムで6選手が全打順出場となっている。全打席出場は指名打者制のパ・リーグで...

日本球界のタイミングに適応したデビッドソンに記者もタイミングの難しさを教えられた

6日、DeNA戦の11回裏、デビッドソンはサヨナラ本塁打を放ちベンチに向けて指をさす

何事も“タイミング”が大切だ。「日本に来て最初に苦しんだのがタイミングをずらされることだった」とシーズン序盤、苦戦した広島マット・デビッドソン内野手(32)は異なるリーグへの適応の難しさを語っていた。だが、打席を多く重ねた後半戦は、すでに10本塁打、打率2割6分5厘と、離脱者相次ぐ打線をけん引している。6日DeNA戦では、来日2度目の4番で延長戦に終止符を打...

末包昇大の構えはまるで巨人のあの選手 カブス鈴木流打法に取り入れた構え方と新相棒

広島末包昇大

試合前練習を同じ場所から見て変化を感じることもあれば、角度を変えながら見ることで変化を感じることもある。先日、フリー打撃を打者の正面の角度から見ていると、広島末包昇大外野手(27)の構えが、ある選手の姿が重なった。リラックスした構えから振り出す姿は、巨人長野とそっくりだった。 練習後本人に聞けば「最近すごく言われます。意識しているから似てきたのかもしれません...

灼熱の2軍本拠地・由宇で若手投手にノックを打ち続けた意外な人物の姿に驚かされた

2023年7月11日、巨人戦の試合前練習を見守る黒田博樹球団アドバイザー

日差しをさえぎるものはなく、風も通らない広島2軍本拠地・由宇球場に、似つかわしくない姿があった。3日、山口・岩国市にはグレーと黒のシックなジャージー姿の黒田博樹球団アドバイザー(48)がいた。 9時過ぎから投球練習する若手投手を指導すると、気温が上昇した11時過ぎには、サブグラウンドで自らノックバットを握った。現役時代、打撃が得意ではなかった印象が残っていた...

秋山翔吾の「準備力」なぜ試合前の守備練習が長く、プレーボール直前に素振りをするのか

広島秋山翔吾(2023年6月28日撮影)

8連勝した25日ヤクルト戦後も、広島秋山翔吾外野手(35)は反省を口にした。 「(若手に)偉そうに『まず守備頑張れよ』なんて言ってたわりにね。2人にはちゃんと謝っときます。もう1回しっかり連係も取るし、自分のスキルも上げて、ああいうことがないようにやらなきゃいけない」 1-2の5回。1死からヤクルト村上の右中間への打球をファンブルし、三塁進塁を許した(結果は...

好投続ける今季負けなしのストッパー矢崎拓也が、突然登場曲を変えた意外すぎる理由

7月6日、阪神戦で登板した広島矢崎拓也

再び、この選手の話を書こうと思う。6月26日に掲載された【プロ野球番記者コラム「【広島】立場が変わっても自分のままでいられる理由~」】で思考法を紹介した広島矢崎拓也投手(28)。6日阪神戦でまた、わが道を行く選択をした。 4点リードした本拠地マツダスタジアムの9回、「ピッチャー、矢崎」のコールの後に流れてきたのは矢沢永吉の「トラベリン・バス」だった。矢崎の登...

立場が変わっても自分のままでいられる理由…新守護神・矢崎拓也の変化との向き合い方

6月24日、巨人戦の試合後に会沢と握手を交わす矢崎(左)

環境や立場が変わると、背伸びしたり、虚勢を張ったりして失敗することがある。新境地になじむまでというのは多少の時間を要すものなのかもしれない。だが、今季大きく立場を変えても、自分のままでいる選手がいる。広島の矢崎拓也投手(28)だ。 5月9日から抑えを任され、ここまで11セーブを記録する。21年まで入団5年で通算登板数は22試合。先発、中継ぎ固定されず、主戦場...

新井監督が大切にする「フェーストゥフェース」デビッドソン復帰初日に2軍練習場で指導

練習を見守る広島新井監督(2023年5月撮影)

3日のソフトバンク戦前、広島新井貴浩監督(46)は今季初めてグラウンドに姿を見せなかった。試合後、報道陣から問われると「私だって、プライベートな時間もあるんですよ」と笑いに変えたが、違った。シーズンの先を見据え、行動していた。 あの日の朝、指揮官はマツダスタジアムのある広島市ではなく、廿日市市にいた。左肩痛が癒え、この日から実戦復帰するデビッドソンに会うため...

西川龍馬の打撃技術は前言撤回の曲打ちだけにあらず わざと空振りもまた天才たるゆえん

広島西川龍馬(2023年5月4日撮影)

長くプロ野球を取材していると、疑う視点をおろそかにしてしまうことがある。慣れとは恐ろしいもので、怖いものだ。常に新しい視点で見なければいけないと、選手や監督首脳陣から気付かされる。5月16日DeNA戦、広島西川龍馬の打席がそうだった。 7回1死二塁。1ボールから坂本裕哉の直球系の球を空振りしたスイングに違和感を覚えた。打ちに行っているのに、打ち気がないように...

ケムナ誠がマウンドで笑わなくなった 今季は「鉄仮面」その理由は

広島ケムナ誠(2023年4月26日撮影)

いつも笑顔の広島ケムナ誠投手(27)が今年、マウンドで笑わなくなった。三振を奪っても、3アウトを取っても、どこか怒りをにじませながらマウンドを降りていく。 根っからの明るさで、自ら報道陣に歩み寄って話しかけ、あいさつ時は常に笑顔がついてくる。たとえ打たれても前向きさを忘れない姿勢がある。昨季まではマウンド上での表情豊かだったように映っていた。だが、今年はマウ...

中継ぎ陣が共有する「栗林へ」の思い 苦しい投球続く守護神の存在感が有形無形の力に

広島対DeNA 9回表DeNA2死一、二塁、代打楠本に勝ち越し適時打を浴び天を仰ぐ栗林(撮影・加藤孝規)

<広島3-4DeNA>◇23日◇マツダスタジアム広島の守護神、栗林良吏投手(26)が苦しいシーズンを送っている。リーグ1位の7セーブを挙げる一方で防御率4・66。23日DeNA戦では、自己ワーストを更新するシーズン3敗目を喫した。ただ、新井監督の信頼は揺るがない。「心配していない」と言い切る。今季の戦いぶりをみれば、指揮官のそんな思いも分かる気がする。 開幕...