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サンウルブズが1試合限定“復活”「とてもうれしい」日本代表ジョセフHC

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サンウルブズが1試合限定“復活”「とてもうれしい」日本代表ジョセフHC

ジェイミー・ジョセフHC(2019年10月20日撮影)

日本ラグビー協会は6日、日本代表が6月12日に静岡・エコパスタジアムで特別編成チーム「サンウルブズ」と対戦することを発表した。

サンウルブズは、世界最高峰のスーパーラグビーの日本チームで昨年解散した。今回は、6月26日に全英&アイルランド代表ライオンズ戦を控える日本代表のために、強化試合として1試合限定で“復活”する。大久保直弥氏がヘッドコーチ(HC、45=ヤマハ発動機)を務め、チーム編成などは今月中旬以降に発表予定。

コロナ禍の影響で約1年半ぶりの実戦となる、日本代表のジェイミー・ジョセフHC(51)は「代表活動再開後初めてとなる試合をW杯の開催地だった静岡で、サンウルブズと戦えることをとてもうれしく思っています。非常に見どころの多い1戦となることは間違いありません。選手たちにご注目の上、応援よろしくお願い致します」などとコメントした。

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最終組ハーフ終了 菊地絵理香、笠りつ子、渡辺彩香、西郷真央が首位

10番、ティーショットを放ち打球の行方を見つめる菊地(撮影・河田真司)

<国内女子ゴルフツアー:ワールド・サロンパス・カップ>◇第1日◇6日◇茨城GC(6630ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝2400万円)◇無観客開催

最終組が前半9ホールを終え、菊地絵理香、笠りつ子、渡辺彩香、西郷真央の4人が4アンダーで首位に並んでいる。菊地は5バーディー、1ボギーの68で、すでにホールアウト。笠は3ホール、渡辺は8ホール、西郷は9ホールを残してラウンドしている。1打差の5位でラウンド中の比嘉真美子、鈴木愛、西村優菜、ホールアウトしている臼井麗香、金田久美子の5人が追う展開となっている。

史上2人目の国内メジャー3連勝を狙う原英莉花は、6ホールを残して1オーバー。今季賞金ランキング1位の小祝さくらは、前半の17番パー3でまさかの5パットでトリプルボギーをたたくなど、7ホールを残して5オーバーとなっている。

10番、ティーショットを放つ渡辺(撮影・河田真司)

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全組ハーフ終了 渋野日向子が日本勢最高の首位に3打差

渋野日向子(2021年3月28日撮影)

<米女子ゴルフツアー:ホンダLPGA>◇第1日◇6日◇タイ・サイアムCCパタヤオールドC(6576ヤード、パー72)◇賞金総額160万ドル(約1億7280万円)

全組が前半9ホールを終え、同時点での日本勢最高は13ホール目までを終えた初出場の渋野日向子(22=サントリー)で、4バーディー、1ボギーで首位に3打差の3アンダーとしている。

日本勢は渋野のほか、上原彩子、畑岡奈紗、河本結が出場している。上原が12ホール目、畑岡が10ホール目までを終えて1アンダー、最終組スタートの河本がハーフを終えてイーブンパーとしている。

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NTTドコモ・ペレナラ「誰もが知るトッププレーヤー」元同僚リードを警戒

NTTドコモSHのペレナラ(2021年4月25日撮影)

ラグビー・トップリーグ(TL)のNTTドコモは6日、プレーオフのトーナメント準々決勝、8日のトヨタ自動車戦(えがお健康スタジアム)のメンバーを発表し、大阪市内で公開練習を行った。

ここまでチームをリードしてきたニュージーランド代表69キャップのSH、TJ・ペレナラ(29)は、練習中もチームメートと積極的にコミュニケーションをとり、トヨタ戦に向けてチームの雰囲気をつくる。

トヨタ戦のキーポイントとして「規律をしっかりすること。トヨタはフォワードがすごく強いチームなので、ラインアウトなどのペナルティーを与えない。そのためには規律を守ることを大事にしていきたい」と語った。

トヨタのNO8、キアラン・リード(35)に対しては「誰もが知るトッププレーヤー。いい影響を与える選手なので警戒したい」と言い、オールブラックスの元チームメートに対しても強く意識する。

また、大好きだと公言しているカレー店「CoCo壱番屋」が熊本にも3店舗あると聞き、「よるごはんで たべます」と流ちょうな日本語で答え、練習場を去った。

最高成績をベスト4に塗り替えるために、ペレナラはいざ熊本に向かう。【三宅ひとみ】

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菊地絵理香68の好スコア発進「私も乗っかりたい」前週男女ツアーから刺激

10番、ティーショットを放ち打球の行方を見つめる菊地(撮影・河田真司)

<国内女子ゴルフツアー:ワールド・サロンパス・カップ>◇第1日◇6日◇茨城GC(6630ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝2400万円)◇無観客開催

菊地絵理香(32=フリー)が、5バーディー、1ボギーで68の好スコアでホールアウトした。ホールアウト時点で首位。4年ぶりのツアー4勝目、国内メジャー初優勝を視界にとらえる好発進となった。

3番パー4でボギーが先行したが、終わってみればボギーはこの1つだけだった。直後の4番パー4で第2打を70センチにつけ、最初のバーディーを奪ってバウンスバック。イーブンパーで後半に入ると、13番パー3でティーショットを2メートルにつけてアンダーパーに突入した。15番からは3連続バーディー。16番パー4では9メートルのロングパットを沈め、17番パー3はティーショットを70センチにつけた。好調なショットに引っ張られる形で、グリーン上でもさえを見せた。

ホールアウト後は「目標は3アンダーだった。前半が終わってイーブンだったので、2アンダーに気持ちを切り替えていた。4アンダーはかなり上出来」と、納得の表情で振り返った。「ショットの感触は、すごくいい。アイアンの音も良くて、自分の中でいいイメージで打てる」と手応え十分。技術面に加えて「朝まで雨が降っていて、グリーンがしっかりと止まると思っていたので、ピンを狙って突っこんでいいのかなと思っていた」という、豊富な経験に裏付けられた判断力で、好スタートに結びつけた。

前週の国内男女ツアーは「私も乗っかりたい」という、良い流れを感じる結果だった。男子で6年ぶりに優勝した岩田寛のバッグを担いだのは、一昨年12月に結婚した夫でプロキャディーの新岡隆三郎さん。最終日の夕食には、新岡さんの好きな赤ワインを用意し、帰宅後に祝福した。さらに女子では2学年上で尊敬する上田桃子が優勝。「プロに入ってからずっと、向上心と情熱がずっと、すごく高い位置にあり続けられるのは見習わなければという気持ちにさせてもらえる。桃子さんが第一線で頑張っているので、何かを言い訳にしちゃいけない、私もまだまだ頑張らなきゃいけない気持ちにさせてもらえるので、すごくありがたい存在」。今大会に向かう気持ちを後押ししてもらった。

今大会は原英莉花が、不動裕理に次ぐ2人目の国内メジャー3連勝を達成できるかなどに注目が集まる。だが国内メジャーには縁こそないが、随所で活躍してきた10歳年上の「エリカ」も存在感を発揮。国内メジャーならではの難度の高いコースセッティングも歓迎で「もっともっと難しいセッティングになるとワクワクして楽しくなる。明日(第2ラウンド)からも楽しみ。(優勝は)まで全然考えていないけど、久々にショットの感触、パットの感触とスコアが一致してくれた」と笑顔。まだまだ伸ばし続ける予感を漂わせていた。

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コラム

We Love Sports

どうなるバレーVリーグ、会長交代 目の前を明るく照らすような抜本策は

今月から会長職に就任した日本バレーボールリーグ機構の国分氏

国内最高峰バレーボールリーグのVリーグは、今後どうなるのか。4月下旬に運営の日本バレーボールリーグ機構(Vリーグ機構)のオンライン会見で、嶋岡健治会長の後任に、全日空商事副社長でVリーグ副会長の国分裕之氏が就任すると発表された。リーグの顔が変わっての新たな船出に、取材した1人としては期待よりも不安が募った。

日本協会の会長と兼務していた嶋岡氏は、開催まで残りわずかとなった東京五輪へ最大限力を注ぐために辞任を決めたという。「今のポジションでは時間的に不足の部分が出て、じくじたる思いがあった」と話した。

地域密着型の推進や日本のトップアリーナスポーツにする構想を託された国分氏は「選手、監督としては大きな実績はないが、50年にわたるバレーボール愛がある」。企業人として培った経験を生かしていきたいとした。

「このタイミングでの(嶋岡氏の)辞任は職を投げ出しているのではないか」「(バスケットボールの)Bリーグとの違いをどう感じているのか」など、出席した記者からの質問は手厳しかった。「プロ化など見える形での変化が必要になるのではないか」との質問には、国分氏が「プロ化ありきではなく、地域一緒になってできることが大事」と説明。リーグが大きく変貌を遂げると感じられるような回答はなかった。

一説によるとバレーボールの世界競技人口は5億人を超える。サッカーやバスケットボールよりも多いが、国内人気は後者に先を越されている。男子プロバスケットボールのBリーグ1部の観客数は2019-20シーズン114万人に対し、同シーズンのVリーグ男子1部は21万人、女子1部は18万人。参加チームや試合数に違いはあるものの、大きく離されているのが現状だ。

2018年に新リーグが立ち上がったVリーグでは、ホーム・アンド・アウェー方式が導入された。チームにホームゲームの興行権を全面的に委譲して地域密着を推し進め、競技普及と強化を目指した。

ただ、選手の1人は「あの時新リーグになって何が変わったのか。選手たちも分かっていなかった」。プレーしている選手たちにも伝わりづらいリーグ改革が変化の妨げになったのではないかと振り返り、「JリーグやBリーグとか他競技の運営を見習ってほしい。プロ化だって選択肢の1つとしてあってもいい」と話していた。

来季もコロナ禍で迎えるだろう。今季のように一部の試合で無観客になったり、試合延期・中止になったり。選手、ファンに引き続き大きな影響を与えることが予想され、チーム関係者の中にもリーグの未来に不安を感じている声が少なくない。先行きの見えない暗い状況の中、目の前を明るく照らすような抜本策はないのか。担当記者としても考え続けたい。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)

東京五輪がやってくる

海の森水上競技場 コース内で発生判明のカキ対策は?/あの問題どうなった

オリンピック(五輪)会場でとれたカキは食べられないの? 東京五輪のボート、カヌー会場として新設された海の森水上競技場(江東区)。コースに設置された消波装置に、大量のカキが発生していたことが明るみになったのは約5カ月前のことだ。同会場でボートの五輪切符をかけた戦いが6日から始まる。カキ対策はどうなったのか。カキを食材として利用できないのか-。管理する東京都や、カキの専門家に聞いてみた。

消波装置に付着した大量のカキを除去する作業スタッフ(東京都提供)

乳白色の身が豊富な栄養素を含むことから「海のミルク」とも称されるカキ。磯の香り漂う高級食材で、とろりとした独特の食感も魅力の1つだ。

そんなカキが、五輪運営で邪魔者になってしまった。問題発覚の場所は、東京五輪会場として新設された海の森水上競技場だ。水面に設置された消波装置に大量のカキが付着。重みによってその装置は沈み、波の発生を防ぐ機能に支障が出た。

ボート競技ダブルスカル(21年1月11日撮影)

東京都オリンピック・パラリンピック準備局によれば、19年8月、ボート競技の国際大会時に指摘を受けて点検した結果、カキの存在が判明。その後、カキの「旬」となる冬場を迎えるにつれ、事態は深刻化した。東京都は19年12月から20年3月にかけて、合計約14トンものカキを一時的に除去。その費用は約1億4000万円に及んだ。

なぜカキが大量発生したのか。調査した都は、多くの植物プランクトンを含む水質や、海水と淡水が混じり合う塩分濃度がカキの繁殖に適していると推測。今年1月の時点で担当者は、想定外の事態を認めつつも、「頭を抱え込んでいるわけではありません。専門家の意見も聞きながら、今後の対策を検討中です」と話していた。

過去にカキなどが付着して沈んだ消波装置(撮影・河野匠)

それから半年近くが経過し、解決の見通しは立ったのか。再び担当者を直撃したところ、「現時点で大きな進展はないですね…」。それでもカキの付着が目立ったコース北側などの消波装置はしばらく陸に揚げていたことで、被害拡大はなかったようだ。

同会場では6日、ボートの東京五輪アジア・オセアニア大陸予選が、強風による中止から仕切り直して1日遅れで始まる。消波装置の再設置に取りかかっていた4月下旬時点で担当者は「競技への影響はありません」と断言。カキ問題解決に向けては、拙速に結論を出すつもりはないとし、「一番大事なのは、この競技場が東京五輪後も長く使われること。維持管理コストも考慮しながら、最も効率的で効果的な方法を探しています」。

日本牡蠣(カキ)協会オイスターズジャパンの三村代表

大量発生したのはマガキという種類で、生食のほか、鍋やフライなどにも使われる。都は廃棄物として焼却処分したが、食材として活用することはできないのか? 日本牡蠣(カキ)協会オイスターズジャパンの三村大輔代表(38)は、下水などが流れ込む東京湾奥は衛生面に大きな懸念があると指摘する。「加熱すれば、ただちに食中毒になる可能性は少ない」としつつも、「何が含まれているか分からない環境で育ったカキを口にすれば、死に至るおそれもあります」。

国内で流通しているマガキのほぼすべては養殖生産で、天然ものはゼロに近い。安全性のみならず、味や品質にも雲泥の差があるとの見方が一般的だ。採れたものを“東京五輪カキ”として販売すれば、収益につながらないだろうか? 三村代表は「まず売れないでしょうね」とにこやかに一蹴。記者の浅はかなアイデアは、海の藻くずと消えていった。【奥岡幹浩】

◆カキの種類 国内の代表的な種類といえるのがマガキ。産卵期は6~9月で、旬の季節は冬。肉質は厚く、濃厚な味わいが特徴とされる。市場に出回るほとんどは養殖生産されたもの。夏に旬を迎えるのはイワガキで、粒が大きく、身は厚くてジューシー。こちらは天然漁獲が中心だが、養殖生産されたものも流通する。ほかにもスミノエガキ、イタボガキなどが存在する。

◆海の森水上競技場 ボートとカヌー・スプリントの競技会場として、東京都の臨海部にある水路を整備し、19年6月に完成披露式が行われた。五輪各会場の建設整備費見直しの中で、当初計画されていた約491億円から約308億円に削減。仮設観客席は屋根の大部分が省略された。水門の管理コストなどから、年間の赤字試算額は約1億6000万円。コースの特徴としては、強い風が吹くことが珍しくなく、波も高くなりやすいとの声が多い。

(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「東京五輪がやってくる」)

東京五輪がやってくる

野老朝雄氏、エンブレムのコロナ風刺の過去を初言及/あの問題どうなった?

自身の作業場で作品への思いを語った東京五輪エンブレム制作者の野老氏(2021年4月19日撮影)

東京2020オリンピック(五輪)・パラリンピックのエンブレム「組市松紋」を制作した美術家、野老(ところ)朝雄氏(51)が5日までにインタビューに応じた。大会延期を受け、あらためて「多様性と調和」を発信する象徴となったエンブレムに込めた思いを紹介。昨年5月の新型コロナウイルス感染拡大下で「わが子」と愛する作品が風刺に遭い、傷つけられた時の心境も初めて打ち明けた。【取材・構成=木下淳】

   ◇   ◇   ◇

都内では、やはりタクシーが最も多いだろうか。東京2020大会の1年延期に伴い、エンブレムが街中で見られる期間も延びた。制作者の野老氏は「不思議な気持ち。去年の夏、ポスターが一斉に剥がされる日を覚悟していたので」と胸の内を語った。延期が決まった昨年3月まで丸刈りだったが、今は長髪。「コロナに対する験担ぎで1度も切っていないんです。感染拡大後、次々とプロジェクトが中止になり人と会う機会も減ったので、髪をそる必要がなくなって。いっそパラリンピックが閉幕する9月5日まで伸ばして結ぼう」と継続している。

そう大会成功を願う一方で開催への機運は高まらない。「感染症拡大の影響でグッズ売り場も一時的に閉鎖されたと聞きました」と実感はしつつ、前を向く。「1920年のアントワープ大会もスペイン風邪を乗り越えましたし(教壇に立つ)東大の学生にはニュートンの話をしたんです。17世紀、4度目のペスト大流行でケンブリッジ大が閉鎖され、帰省していた時に万有引力の論文を書いたことを。学生には重要な機会と思ってほしいし、アスリートも懸命に努力されている。エンブレムも、地方ではまだ見たことがないという方も多いですが、本大会が始まって初めて見られるもの。正直、見ていただきたい」と率直に打ち明けた。

「5歳の誕生日を迎えました」。そう頬を緩め、柔和に話すのは、実子ではなく「組市松紋」のことだ。16年4月25日が、佐野研二郎氏のデザインが白紙撤回されてから8カ月後の新エンブレム発表日。10日前に丸5年が経過した。当時、野老氏が会見で「わが子のよう」と言った作品。取材中も、木材で作ったパーツをパズルのように優しく動かしながら「3種の四角形45個(大9中18小18)は、配置を変えればオリンピックにもパラリンピックにもなる」。その形に「平等」の精神を込めて制作した。

組み替えのパターンはオリンピックが約53万通り以上、パラリンピックが同335万通り以上あると数学者によって立証され、算数や数学の教科書に載るなど広がりも見せている。オリパラのエンブレムでは初の展開で、違う形のものが何通りも姿を変え、輪になることで「多様性と調和」を表現した。くしくも、今年2月に組織委会長が森氏から橋本氏に交代し、クローズアップされた理念と重なって意義が再確認された。

01年の9・11(米同時多発テロ)で「断絶を見た世界を『つなげる』ために」幾何学、紋様(パターン)の制作を続けてきた。「今年で20年も何かの縁」。コロナ禍で人と人が分断された社会へのメッセージにもなる。かつて「地味」とも評された単色も「黒の次に退色しないのが藍色」で、発表から5年たった今も街のポスターの組市松紋は色あせていない。「戦国武将が『勝色』として愛した」日本伝統の色でもあった。

その「わが子」を傷つけられたことがあった。昨年5月。日本外国特派員協会の月刊誌が、エンブレムをコロナに見立てたデザインを表紙に掲載した。「サタイア(風刺)の件は忘れられない。当時、怒りと悲しみで感情的になっていたので、メディアの取材依頼は全て断りました」。あの時に言及するのは初めてだ。

「子供の顔に落書きされたようなもの。頭にきました。生みの親として」と、穏やかな口調に怒気がこもる。「納得いかないのはFCCJ(外国特派員協会)がすぐ取り下げたこと」だった。組織委の抗議を受けて数日であっさり撤回したことが理解できなかった。

協会の釈明会見も生で視聴したが「引いた理由が分からなくて。ジャーナリズムで描いたのであれば命懸けで闘ってほしかった」。偶然、自身もコロナと禁止マークを掛け合わせたり、ウイルスを一刀両断するデザインを考案していたタイミングだった。比べて中途半端な風刺画に「神聖なもの」を汚された気がした。

手掛けた、東京在住という英国人デザイナーに対しては「いつか話をしてみたい。大会を中止しろという意味だったのか、単なる注意喚起だったのか」など聞きたいことは山ほどある。「1年たっても、この話題になったらカッとなってしまいました」と恐縮した野老氏は「大会後に語るべき重要なこと」と強調した。欧米ほど風刺に寛容ではない日本の現状も踏まえた上で「議論する前に終わってしまった。もったいない」と、レガシーになり得る今後の議論発展に期待した。

エンブレムを手掛け、人生は変わったか。「コロナ後は右往左往しましたけど『つなげる』ことを自分は息絶えるまでやるんだ」と再認識した。続けて「オリンピックの勉強もするようになりましたし」と言い「エケケイリア」を挙げた。交戦が相次いだ古代ギリシャの「休戦協定」。近代オリンピックでは94年のリレハンメル大会から国連が休戦決議を採択し、この東京大会にもつながっている。

「大発明。冬季もあり戦争をしにくくなった。平和の祭典。ただ、そこには健康も含む、ということを今は思い知らされています」

コロナ禍のエケケイリアとは、他者との分断の解消だろう。「仲の悪い人も大会の最中だけは仲良く」。エンブレムも「個」である四角形の角が点で接していくうちに「群(グループ)」になり「律(ルール)」を守って円(輪)になる。

開幕まで3カ月弱。野老氏は、使い捨てプラスチックを再生利用して作る表彰台のデザインも任されている。こちらは19年6月の計画発表から延期をへて、お披露目を待つ段階。「表彰台は、特別な存在が立って初めて美しいものとして成立する。そこにアスリートが立つ姿を見たい」。開催されて、次代にバトンを渡す大会になることを「象徴の親」として願っている。

◆野老朝雄(ところ・あさお)1969年(昭44)5月7日、東京都生まれ。父は建築家の正昭氏、母はインテリアデザイナーの春子さん。東京造形大で建築を専攻し、英国留学をへて江頭慎氏に師事。代表作は大名古屋ビルヂング「下層部ファサードガラスパターン」や東京体育館前「HARMONIZED TOWER」など。紋様や柄デザインの第一人者。サーフィン日本代表の公式ウエア、プライドハウス東京のロゴも手掛けた。11日に美術出版社より初の作品集「野老紋様集2001-2021→」を出版。17日は「グラフィックトライアル2020-Baton-」でオンライントークイベントを開催。

(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「東京五輪がやってくる」)

自身の作業場で作品への思いを語った東京五輪エンブレム制作者の野老氏(2021年4月19日撮影)
ピッチマーク

【コラム】稲見萌寧の勢い加速「夏場にピークを」コース外の動きも活性化

稲見萌寧

今年9戦で4勝をあげている稲見萌寧(21=都築電気)の勢いが止まらない。4月は06年の大山志保、19年の鈴木愛に次ぐ史上3人目の月間3勝を達成。昨年と統合されている今季の獲得賞金も1億円を突破した。昨年までの優勝は19年7月のセンチュリー21レディース、20年10月のスタンレー・レディースと年1度ペースだったが、今年は9試合中、トップ10を逃したのはわずか2試合のみ。初日で出遅れようが最終日までには常に上位へと浮上し、ツアーを盛り上げている。

そんな活躍に呼応するようにコース外の動きも活性化している。4月29日にはIT大手の楽天とスポンサー契約を結ぶことを発表。楽天はこれまでサッカーの元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキーや米プロバスケットボール、NBAのスター選手であるステフィン・カリー、男子バスケの河村勇輝、馬場雄大の4人とパートナーシップ契約を結んでいるが、同社によると「パートナーシップ契約はスポンサー契約よりも広い取り組み」とのこと。ゴルフ界の枠を超え、他競技のアスリートらとも交わしていなかったスポンサー契約を初めて結んだことに、強い期待が感じられた。

同社はチーム単位ではプロ野球の楽天やJ1のヴィッセル神戸の運営なども行っており、稲見も田中将大やイニエスタらの名前を挙げた上で「私で大丈夫なのかなと思ったりもしますけど、うまく貢献できたらいいなと思います」と意気込んだ。

4月26日には従来のスポンサーでもある日本生命サポートのもと、同社公式YouTubeチャンネル内のコンテンツとして「稲見萌寧のゴルフチャンネル」がスタート。第1回ではショットの練習方法や実戦での取り組みなどを公開した。加えて4月27日発売のゴルフ雑誌「週刊パーゴルフ」では初の表紙にも抜てき。稲見は以前、YouTube参戦を問われた際に「自分はあまり面白いこととかできない。私は裏で練習で頑張ります」と話すなど、積極的には前に出ないタイプ。関係者によると徐々に周囲の反応も変わってきているといい、昨今の成績が目に見える形となってきている。

心配されるのは多忙による体調面だろう。19年から本格的にツアー参戦し、ここまで上位争いを続けながら連戦をこなすのは初めて。大会中の会見では疲労の蓄積を口にすることも増え、先週のパナソニック・オープン(4月30~5月2日)時には休み週をつくることも「検討しています」と話した。

一方で「夏場にピークをもっていきたい」とも語っており、稲見の関係者も「まだまだチャンスはあるし、ここからです」とさらなる飛躍を期待している。直近の目標は、まだ制覇したことのない国内メジャーでの優勝。その第1戦でもあるワールド・サロンパス・カップ(5月6~9日)が明日開幕する。これまで通りの調子で国内メジャーのタイトルも手にするのか。決戦の行方に注目していきたい。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

東京五輪がやってくる

卓球水谷隼はノーパン継続 五輪も「もちろん」/あの問題どうなった?

卓球東京オリンピック(五輪)代表の水谷隼(31=木下グループ)がインタビューに応じ、下着をはかずにプレーする理由を明かした。リオ五輪シングルスで銅メダルを獲得した後、競技中はノーパンであることを告白し、話題になった。今も変わらずにプレーする理由は何か? 水谷なりのこだわりを語った。

 ◇  ◇  ◇

水谷は16年リオデジャネイロ五輪で、日本卓球界初の五輪シングルスのメダル(銅)を獲得した。48回のラリーを制すなど熱戦を繰り広げた3位決定戦。サムソノフ(ベラルーシ)を撃破した瞬間、両手を突き上げながら大の字に倒れ込み、喜びを表現した。

16年8月、リオデジャネイロ五輪・卓球男子シングルス3位決定戦で勝利し銅メダルを決めて倒れ込む水谷

その際、話題になったのがユニホームの下に下着をはいてなかったこと。その習慣は今も継続しているのか? 「今も変わりませんよ」とサラリ。理由について「まずはパンツの締め付けがキツイ。あと毎試合汗をかくので洗濯が面倒なんですよ」と語った。

青森山田中の時から習慣で、大人になったからといって簡単には変えられない。「卓球って多くて1日7試合やる時もあった。汗をかいたパンツは次の試合ではいたら気持ちが悪い。でもユニホームの短パンは汗吸わないんで大丈夫なんです」。

今まで「ポロリ」の経験はないのか? リオの銅メダル時も国際映像のスローモーションでは絶妙なアングルでヒヤヒヤした。「意識的に僕が見えないように倒れてるんですよ。そっちもプロっす(笑い)」。

ただ青森山田中高、明大と直系で5年後輩の丹羽孝希に水谷が聞くと「『そんな伝統はない』って言うんですよね」と笑う。五輪代表では丹羽も張本智和も下着ははいているという。「僕が青森山田を卒業するぐらいでちょうど、その伝統が終わっちゃったんですよ」。むしろ水谷より上の世代は「山田以外の選手もノーパンでしたね」と解説した。

欧州のリーグに所属した際はユニホームの内側に通気性の良いインナーパンツが付いていた。水谷には持ってこいの機能だと思うのだが「はいたらもう1枚あるのが気持ちが悪い。だから切って捨てるんですよ」と笑った。

東京五輪でも下着をはかずに出場するのか? 「もちろんそうっすね」とキッパリ。「卓球に限らず東京に出る選手でパンツをはいてない選手はなかなかいないでしょうね」と聞くと「消えていくんでしょうね、ノーパン派の伝統が」と、しみじみと語った。

夕日を背にポーズをとる東京五輪・卓球男子日本代表の水谷(撮影・菅敏)

◆水谷隼(みずたに・じゅん)1989年(平元)6月9日、静岡県磐田市生まれ。5歳から父信雄さんが代表を務める豊田町スポーツ少年団で競技を始め、青森山田中-青森山田高-明大。07年全日本選手権シングルスを17歳7カ月で当時、史上最年少制覇。172センチ。家族は妻、長女。血液型B。

(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「東京五輪がやってくる」)