日刊スポーツ

【センバツ】健大高崎・斎藤銀乃助が金メダル!母が名前に「銀」を入れた由来を明かす

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏高崎健康福祉大高崎無死、右翼線へ三塁打を放ちガッツポーズする斎藤(撮影・前田充)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝◇甲子園

高崎健康福祉大高崎(群馬)の斎藤銀乃助外野手(3年)は金メダルを誇らしげに掛けていた。

銀乃助が金メダル。「いやぁ、それは…」とさすがに素早い返答に困ったが、努力の勲章に表情はほころんだままだ。

母真希乃さん(45)が名前に「銀」を入れた由来を明かす。

「放っておくと結構黒ずんじゃったり、くすんじゃう。磨き続けなきゃいけないっていう金属なので。自分のことを磨き続けられるようにっていう思いで付けました」

少年時代から好打者として注目されていたが、才能におぼれることはなかった。中学時代も涙を見せることなく、淡々と努力を続けてきた。高校でも。

「野球だけじゃなくて人間のあり方だったり、人から信頼されるような人間になればおのずと…って。野球だけじゃなく、あまり人から見えない部分も自分の中で磨いて」

斎藤は「そういうところが勝負強さにつながったんじゃないかなと思います」とも言う。この日も3回、右翼への三塁打を放って、その後決勝のホームを踏んだ。優勝し、周囲は泣く選手もいたのに「優勝の実感がなくて、ぼーっとしていました」と笑う。まだまだ先がある。銀を磨く。【金子真仁】

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏高崎健康福祉大高崎無死、右翼線へ三塁打を放ち滑り込む斎藤。三塁手西村(撮影・前田充)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 試合後、記念撮影する高崎健康福祉大高崎・箱山(前列中右)と報徳学園・間木(前列中左)ら選手たち(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝旗を手に場内を1周する高崎健康福祉大高崎・箱山(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝旗を手に整列に戻る高崎健康福祉大高崎・箱山主将(撮影・前田充)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝旗を授与される箱山遥人(撮影・石井愛子)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎の箱山主将(左)らナイン(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ佐藤(中央左)ら高崎健康福祉大高崎ナイン(撮影・石井愛子)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏、追加点に喜ぶ高崎健康福祉大高崎・金井(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】健大高崎・佐藤龍月、石垣元気は「心強いっす」ライバルが大舞台で花開く

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ佐藤(中央左)ら高崎健康福祉大高崎ナイン(撮影・石井愛子)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇甲子園◇決勝

高崎健康福祉大高崎(群馬)が、春夏通じて初の甲子園優勝を果たした。報徳学園(兵庫)とのセンバツ決勝は1回に2点を先制されるも、逆転勝利。かつて“機動破壊”で注目を浴びたチームは、低反発バットが導入された今大会で強い適時打を重ねるほど進化した。野球愛好会の顧問からスタートした青柳博文監督(51)は涙。群馬県勢はセンバツ初優勝で、競り負けた報徳学園は戦後初の2年連続準優勝に終わった。

   ◇   ◇   ◇

スライダーを投げ終えたエース佐藤龍月投手(2年)の集中を断ち切ったのは、甲子園の大歓声だった。9回2死二塁、空振り三振。「あまり実感がなくて、数秒後に優勝したんだなっていう実感がわいてきて」。駆け寄る仲間たちの姿に、やっと輪の中心にいることを知った。

ボールの回転数への意識を高めた副作用で左手中指を痛め、この日は投げられても「50球くらいでした」。青柳監督も「うちの方が投手陣の起用的には不利」と悟っていたのに、2日連続で先発した石垣がやってみせた。佐藤が「ダブルエースとしてずっとやってきて、心強いっす」と認めるライバルが大舞台で花開いた。

石垣元気投手(3年)は、失策も絡んだ1回の2失点でも崩れなかった。「マウンド度胸というか、ピンチでも冷静にやろうとメンタルが成長できました」。尻上がりに球威を上げ、8回までしのぎきった。優勝を決めると抱き合った。「もううれしすぎて」と感情を爆発させた。

2人の2年生で45イニング7失点。春を制した。佐藤は故障防止のため、今後はインステップの修正に乗り出す。「何年も夏の甲子園に出られていないので、まずは出ることを目標に、そこで優勝を目指せるように」。進化して、また戻る。【金子真仁】

◆高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立の私立校。01年共学となり現校名に。野球部は02年創部。甲子園出場は今回で春7度目(夏は3度)。部訓は「不如人和」(人の和はすべてに勝る)。主なOBは長坂拳弥(阪神)柘植世那(西武)湯浅大(巨人)清水叶人(広島)ら。学校所在地は、群馬県高崎市中大類町531。

◆ノーアーチV 高崎健康福祉大高崎は本塁打なし。センバツで本塁打を打たずに優勝したのは01年常総学院以来23年ぶり。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 報徳学園対高崎健康福祉大高崎 力投する高崎健康福祉大高崎の佐藤(撮影・石井愛子)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 力投する高崎健康福祉大高崎の佐藤(撮影・石井愛子)

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【センバツ】健大高崎・金井俐樹捕手「春はもう自分がやんなきゃ」箱山遥人に食らいつく

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏、追加点に喜ぶ高崎健康福祉大高崎・金井(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝◇甲子園

高崎健康福祉大高崎(群馬)の背番号12、金井俐樹捕手(3年)は優勝の瞬間、こぶしを突き上げた。

珍しいことではない。三塁ベースコーチを務める。仲間が安打を打った時、走者が生還した時。いつも両腕を突き上げている。

スタンドを見ながら突き上げるシーンも多かった。

「ベンチを一番見てるんですけど、見ている人からしたらスタンドを見ているように見えてるのかなと」

思いもある。

「勝手にスタンドの人たちを巻き込む…巻き込むっていう言い方おかしいですけど、仲間のプレーや自分の行動で、何かを伝えたいので。スタンドの人たちも一緒に巻き込んでいけたら良いなっていうふうに思ってて。だから無意識にスタンドを見てるかもしれませんね」

箱山という絶対的な正捕手がいる。箱山が入学してくると分かっていても、健大高崎を選んだ。中学時代は金井もそれなりに名の知れた捕手だったが、箱山はやっぱりすごかった。

「中学での自信が高校に来て、箱山に取られて。一番下に落ちたというか、挫折を味わったのはあります」

それでも「絶対勝てないと思ったことは一度もないです」と食らいつき、チームのために動いてきた。

ずっと任せっぱなしじゃいられない。

「箱山がここまで本当にやってきてくれて、春はもう自分がやんなきゃいけないので。春の県大会は箱山に負担かけずに戦いたいと思ってます。優勝してホッとした気持ちと、春は絶対自分がやってやるっていう気持ちです」

こういう選手がいることも、優勝校の強さだ。【金子真仁】

◆高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立の私立校。01年共学となり現校名に。野球部は02年創部。甲子園出場は今回で春7度目(夏は3度)。部訓は「不如人和」(人の和はすべてに勝る)。主なOBは長坂拳弥(阪神)柘植世那(西武)湯浅大(巨人)清水叶人(広島)ら。学校所在地は、群馬県高崎市中大類町531。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏高崎健康福祉大高崎無死、斎藤銀乃助の三塁打に喜ぶ金井俐樹(撮影・石井愛子)

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【センバツ】完投負け報徳学園・今朝丸裕喜が涙「夏にもう1回ここに戻ってきて、優勝する」

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 力投する報徳学園先発の今朝丸(撮影・前田充)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝

高崎健康福祉大高崎(群馬)が、春夏通じて初の甲子園優勝を果たした。

報徳学園(兵庫)とのセンバツ決勝は1回に2点を先制されるも、逆転勝利。かつて“機動破壊”で注目を浴びたチームは、低反発バットが導入された今大会で強い適時打を重ねるほど進化した。野球愛好会の顧問からスタートした青柳博文監督(51)は涙。群馬県勢はセンバツ初優勝で、競り負けた報徳学園は戦後初の2年連続準優勝に終わった。

   ◇   ◇   ◇

22年ぶり3度目の優勝を目指した報徳学園は、またしても「壁」に阻まれた。1点差の惜敗で、1933年の明石中以来91年ぶりの2年連続準優勝。先発で8回6安打3失点の力投も完投負けを喫した今朝丸裕喜投手は「悔しいっていうひと言です」。試合後に三塁側アルプス席の応援団にあいさつした際には、目を充血させ悔し涙を流した。

一瞬の隙を突かれた。初回に味方打線が2点を先取。右腕は「正直安心した部分も結構ありました」と振り返る。初回2死一、二塁から5番森山に左中間越えの2点二塁打を浴び、同点に追いつかれた。3回1死三塁から高山に右前適時打を浴び勝ち越し点を献上。4回以降はギアを上げ、8回にはこの日最速の149キロを計測したが、手放した流れは戻ってこなかった。

6回の攻撃が勝負の分岐点となった。1点ビハインドで無死二、三塁の好機をつくりながら、ヒッティング作戦が失敗し、まさかの無得点。大角健二監督(43)は「逆転を意識して、一気に2点を取りにいくという欲を出してしまった。私の甘さ、判断ミスでした」と悔やんだ。

17年の監督就任から初優勝を2年連続で目前で逃し「選手たちはよくやってくれました。去年は半分自信、半分悔しい感覚でしたけど、今年は悔しさ、反省100%です」と下唇をかみしめた。今朝丸は「夏にもう1回ここに戻ってきて、優勝するっていう目標を立てて、1日1日の練習をやっていきたい」。夏こそ“シルバーコレクター”を返上する。【古財稜明】

◆2年連続準優勝 報徳学園は昨年に続き準優勝。センバツでは同じ兵庫県勢の明石中が32年決勝で●0-1松山商、33年決勝で●0-1岐阜商と続けて以来、91年ぶり2度目。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を逃し悔しげに引き揚げる報徳学園・今朝丸(右)ら(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 7回裏を投げ終えた報徳学園・今朝丸(左)は大角監督とタッチをかわす(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎に負け肩を落とす報徳学園・今朝丸裕喜(撮影・石井愛子)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 7回裏高崎健康福祉大高崎2死一塁、代走四宮を牽制で刺しガッツポーズする今朝丸(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 7回裏を投げ終えた報徳学園・今朝丸(左)は大角監督とタッチをかわす(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 報徳学園先発の今朝丸(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 力投する報徳学園先発の今朝丸(撮影・前田充)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 力投する報徳学園先発の今朝丸(撮影・前田充)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回裏、マウンドで話す報徳学園・今朝丸(左)と捕手徳田(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 力投する報徳学園先発の今朝丸(撮影・石井愛子)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回裏高崎健康福祉大高崎2死一、二塁、今朝丸(手前)は辻本に左2点適時二塁打を浴びる(撮影・上山淳一)

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【センバツ】健大高崎・佐々木貫汰は最後に歓喜の輪「今までたくさん苦しかったことがあって…」

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ佐藤(中央左)ら高崎健康福祉大高崎ナイン(撮影・石井愛子)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝◇甲子園

高崎健康福祉大高崎(群馬)の初優勝が決まっての取材ルームで、金メダルをうれしそうに眺めている選手がいた。

センターを守る佐々木貫汰選手(3年)だ。両手で持って、隅々まで見ている。「いやぁ、本当に優勝した実感っていうのはまだないんですけど、これを見たら優勝したんだなって、なんか少しずつ」。

優勝の瞬間は右手を上げ、マウンド上の歓喜の輪に最後に飛び込んだ。「今までたくさん苦しかったことがあってこその結果だな、って思って」。

1点リードするも、なかなか動かない試合。「流れが良くない中で、自分がなんとか先頭で出ようと」。得意のセーフティーバントを仕掛け、見事に出塁。後続が倒れ「得点にはつながらなかったですけど」と苦笑いしたものの、その攻める姿勢、何かを変えようとする姿勢が、チームを防戦にしなかった。

高校野球はこれじゃ終わらない。「ここで終わるんじゃなくて、春夏連覇の権利があるのは僕たちだけだと思うので」と小柄な体でちょっと胸を張った。金メダルはもう1個あってもいい。【金子真仁】

◆高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立の私立校。01年共学となり現校名に。野球部は02年創部。甲子園出場は今回で春7度目(夏は3度)。部訓は「不如人和」(人の和はすべてに勝る)。主なOBは長坂拳弥(阪神)柘植世那(西武)湯浅大(巨人)清水叶人(広島)ら。学校所在地は、群馬県高崎市中大類町531。

初優勝の高崎健康福祉大高崎・青柳監督は胴上げされる(撮影・石井愛子)
6回裏報徳学園2死一、三塁、今朝丸裕喜を見逃し三振に抑え雄叫びをあげる石垣(撮影・石井愛子)

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【センバツ】健大高崎・箱山遥人「根性論を大切にしようと」頭を五厘刈りにすることを周囲に提案

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝旗を手に整列に戻る高崎健康福祉大高崎・箱山主将(撮影・前田充)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇甲子園◇決勝

高崎健康福祉大高崎(群馬)が初優勝した。主将としてまとめ上げた箱山遥人主将(3年)の目も赤くなった。

強肩強打の捕手として、大会前から注目された。それだけでは済まない。1月、館山合宿で話していた。「選手宣誓して優勝インタビューして、自分の大会ではないですけど、自分が主役になれるような大会にしたいです」。選手宣誓は抽選に当たらなかったが、それ以外は有言実行した。

背中で引っ張るキャプテンが増えている中、箱山は声と気合でも引っ張っていくタイプだ。勝ちたいから惰性にはしない。

「近年は、フレッシュに冷静に爽やかに。悪く言えばスカした、勝負ごとにこだわれていないチームだったので、そこは感じていたところです」

真っ正面から向き合って、かつて“スーパー中学生”と言われたチームメートをまとめ上げた。

秋の地区予選でいきなり敗れ「史上最弱」とまで言われた。頭を五厘刈りにすることを周囲に提案した。気持ちをそろえた。

「五厘刈りであったり、昭和の執念であったり、泥臭く野球をするという根性論を自分たちは大切にしようとしてやってきて」

昨夏は頭を丸めない慶応(神奈川)が優勝し、話題になった。箱山はその風潮にも疑問を呈した。

「髪が長い学校でも優勝できることを証明したと思うんですけど、髪の毛は関係ないというか。多様性が重視されている中で、髪の毛は何でもいいんだと。自分たちは五厘刈りで臨んで優勝できたので、そこは関係ないと証明できたと思います」

みんな違って、みんないい。初優勝の中心には、視野広く頼もしいキャプテンがいた。【金子真仁】

◆高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立の私立校。01年共学となり現校名に。野球部は02年創部。甲子園出場は今回で春7度目(夏は3度)。部訓は「不如人和」(人の和はすべてに勝る)。主なOBは長坂拳弥(阪神)柘植世那(西武)湯浅大(巨人)清水叶人(広島)ら。学校所在地は、群馬県高崎市中大類町531。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎の箱山主将(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝旗を授与される箱山遥人(撮影・石井愛子)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎の箱山主将(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎の箱山主将(左)らナイン(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 閉会式で優勝旗を手に行進する箱山(撮影・石井愛子)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 試合後、記念撮影する高崎健康福祉大高崎・箱山(前列中右)と報徳学園・間木(前列中左)ら選手たち(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回裏高崎健康福祉大高崎2死一塁、箱山は左前打を放つ(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 6回表報徳学園2死一、三塁、今朝丸を見逃し三振に仕留めガッツポーズする捕手箱山(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 6回表報徳学園1死二、三塁、三塁走者安井を本塁でアウトにする捕手箱山(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎・箱山(手前)ら(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎・箱山(右)ら(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎・箱山(手前)ら(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め、高崎健康福祉大高崎の捕手箱山(右)は試合を締めた佐藤と抱き合う(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】低反発の新基準バット導入で試合時間短縮ならず、ファウル増加で投手球数増

甲子園球場のベンチ前に並ぶ新基準の低反発バット(2024年3月13日撮影)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝

低反発の新基準バットが導入された今大会は「野球の華」と言われる本塁打が激減した。全体の本数は3本で、サクを超えたのは豊川(愛知)のモイセエフ・ニキータ外野手(3年)と神村学園(鹿児島)・正林輝大外野手(3年)の2本。残る1本は大阪桐蔭・境亮陽外野手(3年)のランニング本塁打だった。

金属バットが導入された1975年以降、最少は96年の5本だった。その記録を更新する結果になった。「芯で捉えないと飛ばない」と言われた低反発バット。報徳学園・今朝丸裕喜(3年)や高崎健康福祉大高崎・佐藤龍月(りゅうが=2年)ら好投手の投球の影響も大きいだろうが、甲子園に集う観客の楽しみの1つが激減する結果に。決勝を戦った2校も本塁打ゼロに終わったが、日本高野連の井本事務局長は「決勝に進んだ両校はアジャストしていたと思います。シーズンが始まったばかりで、真剣勝負の生きた球を打つ機会は春先はまだ少ない。ここから先、春を超えて夏になるとどんどん真剣勝負というか、場数を踏んでこられる。そうなったらもしかしたらもう少し変わってくるかもしれない。春を経験して夏を迎えられて、というところかなと思います」と、この先の対応力を見守る。

新基準バット導入時は、試合時間の短縮も予想された。当初は1時間半前後と予想する関係者もいた。だが大会が始まってみれば、2時間を切ったのは31試合中12試合にとどまった。この点について井本事務局長は「ファウルの増加を指摘する方もおられました。待球してるわけではなく、打ち損じているわけなので。ファウルが多いから、投手の球数が増えている。試合時間はみなさんが思っていたほど、我々が期待したほどではなかったのかな、と」と検証した。この点も、各校打者の対応力が増してくれば変わる可能性はある。

また報徳学園のように、新基準バットの打球に対応し、好守、堅守を連発したチームがあった。山岡純平-橋本友樹(両2年)の二遊間、三塁の西村大和(3年)の捕球、送球は幾度となく投手を救い、ファンをうならせた。出場選手の中から広島菊池、西武源田のような名手が生まれれば、今大会のレガシー(遺産)になりうる。

大会への注目度を示す指標の1つ、観客数も苦戦した。総入場者数は32万6900人。決勝の動員数3万4200人は昨年の3万人を上回ったが、全体の総数は、17年以降では、動員数に新型コロナ感染拡大を防ぐ上限が設けられた21、22年を除けばワーストの数字に。開幕後、季節が冬に逆戻りしたかのような寒さが続き、グラウンドに雪が舞った日もあった。大会最初の土日にあたる22、23日がともに雨天中止と、雨にもたたられる結果にもなった。

◆大会3本塁打 今大会の本塁打はモイセエフ(豊川)、正林(神村学園)、境(大阪桐蔭=ランニング)の3本。センバツの大会3本以下は木製バット時代の74年(1本)以来50年ぶり。75年の金属バット採用後では96年の5本を下回る最少だった。

◆ノーアーチV 高崎健康福祉大高崎は本塁打なし。センバツで本塁打を打たずに優勝したのは01年常総学院以来23年ぶり。

阿南光対豊川 8回裏豊川1死一塁、モイセエフは右越え2点本塁打を放つ(2024年3月19日撮影)

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U18強化合宿参加メンバー発表、28人がセンバツ出場者/一覧

U18日本代表候補強化合宿・参加選手

日本高等学校野球連盟は31日、今年4月4日から3日間で開催されるU18強化合宿に参加する34人を発表した。

全員が3年生で、28人がセンバツ出場者。なお選出は39人も、春季大会との重複や、負傷の影響で5人が不参加となっている。

24年からU18の指揮を執る小倉全由監督(66)は「選考にあたり、投手力、守備力が高く、機動力のある選手を重要視しました。選手の推薦に関わった都道府県高等学校野球連盟など全ての皆様に心より感謝申し上げます。昨年、世界一となったスタッフから、今後のチーム作りにとって極めて重要な合宿になるとアドバイスをいただいています。この合宿が新しいUー18高校日本代表チームの船出となり、改めて身が引き締まる思いです。選手達に、日本代表候補としての自覚、矜持を伝え、スタッフ皆で日本が目指す野球を共有し合う3日間にしたいと考えています。積極的にコミュニケーションを取り合い、充実した合宿になるよう努めます」と、コメントした。

☆がセンバツ出場選手

【投手】16人

高橋幸佑(北照・3年)

金渕光希(八戸工大一・3年)

桜井椿稀(鶴岡東・3年)

☆桜田隆誠(山梨学院・3年)

☆※坂井遼(関東第一・3年)

高橋駿臥(中越・3年)

☆竹下海斗(敦賀気比・3年)

☆中崎琉生(京都国際・3年)

☆平嶋桂知(大阪桐蔭・3年)

☆間木歩(報徳学園・3年)

☆今朝丸裕喜(報徳学園・3年)

☆山口瑛太(創志学園・3年)

石津慶大(広島新庄・3年)

☆高尾響(広陵・3年)

☆吉岡暖(阿南光・3年)

西尾海純(長崎日大・3年)

【捕手】3人

☆箱山遥人(高崎健康福祉大高崎・3年)

☆※熊谷俊乃介(関東第一・3年)

☆只石貫太(広陵・3年)

【内野手】14人

☆吉川勇大(青森山田・3年)

湯浅桜翼(仙台育英・3年)

☆武田勇哉(常総学院・3年)

石塚裕惺(花咲徳栄・3年)

☆高山裕次郎(高崎健康福祉大高崎・3年)

☆颯佐心汰(中央学院・3年)

※片井海翔(二松学舎大付・3年)

☆※高橋徹平(関東第一・3年)

☆西口友翔(敦賀気比・3年)

☆石見颯真(愛工大名電・3年)

☆豊島虎児(創志学園・3年)

☆土居湊大(広陵・3年)

山畑真南斗(明徳義塾・3年)

☆石田智能(明豊・3年)

【外野手】6人

☆◇吉田翔輝(大阪桐蔭・3年)

☆境亮陽(大阪桐蔭・3年)

☆浜本遥大(広陵・3年)

百々愛輝(英明・3年)

☆木村留偉(明豊・3年)

☆正林輝大(神村学園・3年)

※は春季大会のため辞退

◇は負傷により辞退

小倉全由氏(2023年7月23日撮影)

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【センバツ】報徳学園91年ぶり2年連続準V 6回好機無得点に大角監督「私の甘さ、判断ミス」

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 試合後、整列する報徳学園・大角監督(右)(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:報徳学園-高崎健康福祉大高崎>◇31日◇決勝

報徳学園(兵庫)が、高崎健康福祉大高崎(群馬)に接戦の末に敗れた。2年連続の準優勝は1933年の明石中以来91年ぶり。大角健二監督(43)は「悔しさ100%です」と下唇をかみしめた。

初回2死一、二塁から5番安井康起外野手(3年)の右翼線への適時二塁打で、相手のミスもあり2点を先制。しかし、直後に先発した今朝丸裕喜投手(3年)が2点を失い、同点に。3回1死三塁から高山裕次郎内野手(3年)に勝ち越しとなる右前タイムリーを浴びた。

1点ビハインドの6回には無死一、三塁のチャンスをつくりながら、ヒッティング作戦が失敗し、ビッグチャンスを逸した。大角監督は「一気に2点を取りにいってしまって、欲を出してしまった。私の甘さというか、判断ミスでした」と悔やんだ。

1点ビハインドのまま試合が進み、今朝丸は8回3失点と力投。最後まで追い上げ届かず、無念の2年連続で決勝で敗戦となった。

◆2年連続準優勝 報徳学園は昨年に続き準優勝。センバツでは同じ兵庫県勢の明石中が32年決勝で●0-1松山商、33年決勝で●0-1岐阜商と続けて以来、91年ぶり2度目。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を逃し応援団へあいさつに向かう報徳学園・大角監督(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 応援団へのあいさつを終え、引き揚げる報徳学園・大角監督(手前右)ら(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 準優勝に終わり引き揚げる報徳学園の、左から大角監督、間木、今朝丸、福留(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 9回表報徳学園2死一塁、二盗を決めた代走西川に拍手を送る大角監督(後方)(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】健大高崎が群馬県勢初の春制覇 報徳学園、2年連続準優勝/詳細

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝

センバツ高校野球は決勝戦。高崎健康福祉大高崎(群馬)が報徳学園(兵庫)を3-2で破り初優勝。群馬県勢は初めて春の甲子園を制した。報徳学園は2年連続の準優勝。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎(撮影・上山淳一)

チーム
報徳
健大

【健】石垣

【報】今朝丸

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 高崎健康福祉大高崎先発の石垣(撮影・滝沢徹郎)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回表報徳学園1死、福留は中前打を放つ(撮影・上山淳一)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回表報徳学園2死一、二塁、安井は右翼に先制2点適時二塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 報徳学園先発の今朝丸(撮影・滝沢徹郎)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回裏高崎健康福祉大高崎2死一、二塁、森山は左翼に2点適時二塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回裏高崎健康福祉大高崎2死一、二塁、森山竜之輔は同点の左適時打を放つ(撮影・石井愛子)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏、高崎健康福祉大高崎・青柳監督(右)は生還した斎藤を迎える(撮影・滝沢徹郎)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏高崎健康福祉大高崎無死、斎藤は右へ三塁打を放つ(撮影・上山淳一)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏高崎健康福祉大高崎1死三塁、高山(手前)の右前適時打で盛り上がる高崎健康福祉大高崎の選手ら(撮影・上山淳一)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏高崎健康福祉大高崎無死、斎藤銀乃助の三塁打に喜ぶ金井俐樹(撮影・石井愛子)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ佐藤龍月(中央)、高崎健康福祉大ナイン(撮影・石井愛子)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎(撮影・上山淳一)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大ナイン(撮影・石井愛子)

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【センバツ】報徳学園が戦後初の2年連続準優勝、今朝丸裕喜は8回3失点も無念の逆転負け

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を逃し悔しげにあいさつに向かう報徳学園の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:報徳学園2-3高崎健康福祉大高崎>◇31日◇決勝

報徳学園(兵庫)が、高崎健康福祉大高崎(群馬)に接戦の末に敗れた。2年連続の準優勝は1933年の明石中以来。

初回2死一、二塁から5番安井康起外野手(3年)の右翼線への適時二塁打で、相手のミスもあり2点を先制。しかし、直後に先発した今朝丸裕喜投手(3年)が2点を失い、同点に。3回1死三塁から高山裕次郎内野手(3年)に勝ち越しとなる右前タイムリーを浴びた。

1点ビハインドのまま試合が進み、今朝丸は8回3失点と力投。最後まで追い上げ届かず、無念の2年連続で決勝で敗戦となった。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 8回の攻撃を前にベンチ前で報徳学園の大角監督の話を聞くナインら(撮影・上山淳一)

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【センバツ】健大高崎が初優勝 群馬県勢初の春制覇 報徳学園2年連続準優勝

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎(撮影・上山淳一)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝

高崎健康福祉大高崎(群馬)が報徳学園(兵庫)を破り初優勝した。群馬県勢は初のセンバツ制覇。報徳学園は2年連続の準優勝。

1回に2点ずつを取り合って迎えた3回裏、健大高崎が1点を勝ち越した。1死三塁から3番高山裕次郎が右前適時打を放った。

守っては先発の2年生右腕・石垣元気が力投。1回に2点を失ったが2回以降8回まで無失点に抑えた。9回は同じ2年生の左腕、佐藤龍月が登板。無失点に抑えて逃げ切った。

報徳学園は2回以降、得点が奪えず。6回には無死二、三塁としたが得点できず。22年ぶりの優勝を逃した。

今大会から低反発バットが導入された。全31試合で本塁打は3本(うち1本はランニング)。金属バットが導入された1975年以降、最少となった。

◆低反発バット導入 今春から新基準となる金属バットが導入。「打球による負傷事故(特に投手)の防止」と「投手の負担軽減による(肘、肩などの)ケガ防止」などが目的。「バットの太さ」が最大径は67ミリから64ミリ、「打球部の肉厚化」では従来の約3ミリから4ミリ以上に変更された。

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏、追加点に喜ぶ高崎健康福祉大高崎・金井(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 1回裏高崎健康福祉大高崎2死一、二塁、森山は左翼に2点適時二塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎・箱山(手前)ら(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】「野球の華」本塁打わずか3本で大会終わる 低反発の新基準バット導入

阿南光対豊川 8回裏豊川1死一塁、モイセエフは右越え2点本塁打を放ちダイヤモンドを1周する(撮影・上山淳一)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝

低反発の新基準バットが導入された今大会は「野球の華」と言われる本塁打が激減した。全体の本数は3本で、サクを超えたのは豊川(愛知)のモイセエフ・ニキータ外野手(3年)と神村学園(鹿児島)・正林輝大外野手(3年)の2本。残る1本は大阪桐蔭・境亮陽外野手(3年)のランニング本塁打だった。

金属バットが導入された1975年以降、最少は96年の5本だった。その記録を更新する結果になった。「芯で捉えないと飛ばない」と言われた低反発バット。本塁打激減が直接的な要因かどうかは今後の検証が必要だが、決勝に勝ち進んだ高崎健康福祉大高崎(群馬)と報徳学園(兵庫)ですら本塁打はゼロだった。報徳学園・今朝丸裕喜(3年)や高崎健康福祉大高崎・佐藤龍月(りゅうが=2年)ら好投手の投球の影響も大きいだろうが、甲子園に集う観客の楽しみの1つが激減する結果に終わった。

大会への注目度を示す指標の1つ、観客数も苦戦した。大会の総数は、決勝の3万4200人を含めて32万6900人。17年以降では、動員数に新型コロナ感染拡大を防ぐ上限が設けられた21、22年を除けばワーストの数字に。開幕後、季節が冬に逆戻りしたかのような寒さが続き、グラウンドに雪が舞った日もあった。気候は観客動員に直結するが、全国的に名前を知られた大会のアイコン的な選手の不在、地元の近畿勢の5校が初戦で姿を消したことも響いた可能性はある。

作新学院対神村学園 3回裏神村学園無死、神村学園・正林は大会2号となるソロ本塁打を放つ(2024年3月22日撮影)
神村学園対大阪桐蔭 5回裏大阪桐蔭無死、ランニング本塁打とする境(2024年3月27日撮影)

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【センバツ】健大高崎が初V「うまくかみあえば…」就任22年目の青柳監督、大会前の言葉が現実に

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎3-2報徳学園>◇31日◇決勝◇甲子園

高崎健康福祉大高崎(群馬)が報徳学園(兵庫)を下し、悲願の甲子園優勝を果たした。同校は春夏通じて初優勝で、センバツでは群馬県勢としても初優勝となった。

この日は初回にミスも絡んで2点を先制されたものの、5番森山竜之輔内野手(3年)の2点適時二塁打ですぐさま同点に。3回には3番高山裕次郎内野手(3年)の適時打で勝ち越した。

投げては2試合連続先発の石垣元気投手(2年)が2回以降は粘り、試合を作った。勝負どころでは140キロ台中盤もマーク。再三のピンチを乗り切った。

同校は群馬・高崎市にある私立校で、00年度までは群馬女子短大付属という女子校だった。01年に共学化し、野球愛好会が誕生。青柳博文監督(51)が02年に監督就任し、正式に野球部に昇格した。

足を使った攻撃スタイルを始めた。「最初は選手もなかなか集まらないし、足をつかってやる以外になかったんですよ。打てないので、1つの攻撃パターンとして作って」。それが“機動破壊”のフレーズで高校球界に認知され、強豪校の仲間入りを果たした。

青柳監督は就任22年目。「選手は本当にいいと思うんですよ。中学時代の実績からいえば全国でも屈指のチームで、タレント軍団って言われて。うまくかみあえば日本一になれる力はあるかもしれません」と大会前に話していた。その同校史上最強軍団をともに作り上げてきた仲間の1人、赤堀佳敬コーチ(30=4月から磐田東監督)が健大高崎で指導する最後の日。全てが結実した。【金子真仁】

報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎・箱山(右)ら(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 優勝を決め喜ぶ高崎健康福祉大高崎・箱山(手前)ら(撮影・滝沢徹郎)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 初優勝を決め歓喜する高崎健康福祉大高崎(撮影・上山淳一)
報徳学園対高崎健康福祉大高崎 3回裏、高崎健康福祉大高崎・青柳監督(右)は生還した斎藤を迎える(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】健大高崎は石垣元気が準決勝に続き先発 佐藤龍月は左手中指負傷で終盤で起用も

高崎健康福祉大高崎先発の石垣(2024年3月30日撮影)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎-報徳学園>◇31日◇決勝◇甲子園

初の決勝進出となった高崎健康福祉大高崎(群馬)は、30日の準決勝に続いて石垣元気投手(3年)が先発マウンドに上がる。

準決勝では最速150キロをマークした右腕。7回で9安打を浴びながら、4失点でまとめ上げた。背番号1の佐藤龍月投手(2年)が左手中指を負傷しており、青柳博文監督(51)は「これから先もありますから無理せず、ですね」と話し、試合終盤での起用になりそうだ。

また、この日を最後に赤堀佳敬コーチ(30)が同校での指導を終え、4月から磐田東(静岡)の野球部監督に就任することが決まっている。青柳監督は「(選手たちは)コーチに対して恩返しをしようという気持ちです」と話した。

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【センバツ】決勝先発予定の健大高崎エース佐藤龍月「覚悟を持って投げる」群馬県勢初の春V狙う

高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏星稜2死、萩原を空振り三振に仕留め雄たけびを上げる佐藤(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎5-4星稜>◇30日◇準決勝◇甲子園

高崎健康福祉大高崎(群馬)が春夏通じて初の決勝進出を決めた。左手中指を負傷しているエース佐藤龍月投手(2年)が終盤2回を締め、新チームで公式戦無敗だった星稜(石川)に5-4で逆転勝ち。報徳学園(兵庫)は4-2で中央学院(千葉)に勝利し、2年連続で決勝に駒を進めた。決勝は31日午後0時半開始予定。高崎健康福祉大高崎が勝てば群馬県勢初の春V。報徳学園は22年ぶり3度目の優勝を目指す。

格別の光景だ。無意識の雄たけびを生んだのは、この日最速142キロの直球だった。「今までずっと磨いてきたボールだったので」。高崎健康福祉大高崎の佐藤は、真っすぐで締めたかった。先輩箱山のサインを意気に感じ、空振り三振で星稜に土を付けた。

磨いた直球の回転数は、2400回転にまで達した。極めた指先の感覚で知らぬ間に負荷がかかり、準々決勝の試合途中、中指先の血豆がぺろっとめくれた。29日は水ばんそうこうでケア。この日も試合中に血がにじんだ。だからブルペンでは「70%くらい」と焦ったが、解放されたアドレナリンで28球を投げ抜いた。

神奈川・川崎で育ったが「長崎出身なんです」と言う。両親の出会いの地。父正博さん(53)は海上自衛隊に従事し、艦長経験もある。孤独な仕事だ。「マウンドにいる投手みたいなもんですよね。最後は自分で考えるしかない」。アルプスから息子を見つめ「もう気力で行くしかないですよね」と願った。

息子は今大会初のリリーフへ。マウンドは荒れている。「いつもと違う感じはあったんですけど、どんな環境でも投げられるように練習してきたので」。優しい顔をして、海と歩んできた男のマインドをちゃんと受け継ぐ。決勝は先発するつもりだ。

「どれだけ痛くなっても、どんな体になっても、エースナンバーを背負わせてもらっているので、しっかり覚悟を持って投げたいと思います」。孤独だけれど孤独じゃない。仲間とファイナルに挑む。【金子真仁】

◆3年生が投げずに決勝進出 高崎健康福祉大高崎の登板投手はここまで4試合とも石垣、佐藤の2年生。最近では14年準Vの履正社が溝田、永谷の2年生だけで決勝に進んで以来。3年生が投げずに優勝なら04年済美(福井、藤村)以来20年ぶりとなる。

高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏、高崎健康福祉大高崎2番手で力投する佐藤(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏星稜2死、佐藤は最終打者・萩原を空振り三振に仕留め勝利し喜ぶ(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜に勝利しタッチを交わす佐藤(右)と捕手箱山(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜に勝利し、校歌を斉唱する高崎健康福祉大高崎ナイン(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜に勝利し歓喜する高崎健康福祉大高崎ナイン(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 4回表高崎健康福祉大高崎無死二、三塁、加藤の中2点適時二塁打から生還した箱山(右)はチームメートと喜ぶ(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 4回表高崎健康福祉大高崎無死二、三塁、中2点適時二塁打を放った加藤(右)はアクシデントでベンチへ引き揚げる(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 2回裏星稜2死三塁、石垣は中島幹の打球に反応するも捕れず、先制遊撃適時内野安打を許す(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏星稜2死、萩原を空振り三振に仕留めガッツポーズする佐藤(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 指の皮がむけた高崎健康福祉大高崎2番手で登板した佐藤(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 試合後、感極まった表情の高崎健康福祉大高崎・青柳監督(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 決勝進出を決め応援団のもとへ駆け出す高崎健康福祉大高崎の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

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【甲子園データ】健大高崎・箱山遥人&報徳学園・斎藤佑征ともに4番の仕事、4戦連続打点マーク

健大高崎・箱山(左)と報徳学園・斎藤

<センバツ高校野球>◇30日◇準決勝

高崎健康福祉大高崎・箱山、報徳学園・斎藤がともに4番打者で4試合連続打点をマークした。新基準バットの採用で貧打が話題になる中、隠れた打撃記録を継続して決勝に進んだ。

センバツの1大会個人連続試合打点は5試合が最多で、75年の金属バット採用後は5人だけ。打点を挙げる打者は警戒が強まり、常に強力打線で乗り込む大阪桐蔭の選手は記録していない。最近では13年山根佑太(浦和学院)がマークしたが、山根は3番打者だった。4番で記録すると12年の北條史也(光星学院)以来になる。箱山が捕手で記録すれば「ドカベン」こと79年香川伸行(浪商)以来。決勝の見どころの1つは、勝負強い4番の前に走者を出さないことだろう。【織田健途】

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【センバツ】星稜あと1歩で県勢初の決勝逃す「石川から力をもらったような気はします」監督

高崎健康福祉大高崎対星稜 決勝進出を逃し悔しげな表情の星稜・山下監督(右)と芦硲(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:健大高崎5-4星稜>◇30日◇準決勝

星稜があと1歩で県勢初の決勝進出を逃した。2回2死三塁から中島幹の遊撃内野安打で先制するなど序盤で主導権を握ったが、7回に逆転を許し、1点差で惜敗。山下智将監督(42)は「選手たちはよく頑張ってくれましたけど、悔しいです」と下唇をかんだ。これで新チーム始動から続いていた公式戦の連勝は「16」でストップした。

昨秋の明治神宮大会を制し、優勝候補に挙げられて臨んだ大会だった。ただ、秋から絶好調だったエース佐宗が、2月末にインフルエンザに感染。1週間の療養を経て復帰も、本調子に戻らないまま甲子園に入った。この日は1人で投げきり、5失点で完投負け。左腕は「ふがいない投球ばっかりしてしまった。夏に絶対戻ってきて、エースらしいピッチングができれば」とリベンジに燃える。

1月には地元が能登半島地震で被災し、全力プレーで勇気を届けようと臨んだ大会で4強入りまで勝ち進んだが、指揮官は「逆に(石川から)力をもらったような気はしますね」と感謝の思いをつづった。春夏通じて悲願の初優勝へ、石川に戻って鍛錬を積む。【古財稜明】

高崎健康福祉大高崎対星稜 高崎健康福祉大高崎に敗れ引き揚げる星稜の芦硲主将(手前)(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 3回裏星稜1死、芦硲は左翼に三塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 3回裏星稜1死、芦硲は左翼に三塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】健大高崎・石垣元気が「石垣が石垣島になれば」の願い通り粘投 150キロもマーク

高崎健康福祉大高崎対星稜 高崎健康福祉大高崎先発の石垣(撮影・上山淳一)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎5-4星稜>◇30日◇準決勝◇甲子園

今大会初めて、スコアボードのスピードガンに「150」が計測された。高崎健康福祉大高崎(群馬)の石垣元気投手(2年)がマークした。

3回1死三塁、星稜の4番萩原への初球が150キロだった。高く浮いてのボール球。「力んで上ずるのが心配」と青柳博文監督(51)が話していたように、ボール球が目立つケースもあったが、7回4失点でなんとかまとめた。

赤堀佳敬コーチ(30)は前日「何とか石垣がしっかり投げてくれれば」と願い「石垣が“石垣島”のようになってくれれば勝てます」と話していた。それくらいスケールが大きく、見とれるような投球を-。そんな思いをジョークに込めた。

北海道・登別出身の石垣を初めて見たのは、日本の反対側だった。沖縄・久米島で行われた中学硬式野球の大会に北海道選抜として出場していた。雨の降る中、120キロ前後の力のある球を投げ続けた。青柳監督とも「(素質の良さは)間違いないですね」と共通認識を持った。

練習設備が充実する同校は、中学生の人気を高めていた。石垣も、そこにほれた1人。母美樹さん(45)は「私は当初、北海道にいてほしかったんですが」と振り返るものの、石垣の決意は固かった。

よく寝て元気に育った中学生は、ライバル佐藤との出会いもあり、高校でより洗練されてきた。年末には“本当の”石垣島でキャンプを行い、石垣も下半身をさらに充実させた。この日の重圧を経験し、また一段階上へ行く。

念願の決勝進出。赤堀コーチにとっては「久米島で見た登別出身の石垣が“石垣島”になった」という1日だ。大会が終われば、同コーチは磐田東(静岡)の監督に就任する。別れは近い。石垣ら中学時代から知る選手たちの活躍に、目を真っ赤に染めていた。【金子真仁】

◆センバツの球速 150キロ以上を出したのは19年の奥川恭伸(星稜)、河野佳(広陵)以来。スピードガンが普及した80年以降、新2年生では13年安楽智大(済美)以来2人目。

高崎健康福祉大高崎対星稜 1回裏星稜無死、吉田を遊ゴロに仕留め笑顔を見せる高崎健康福祉大高崎先発の石垣(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎・石垣の母美樹さん(撮影・斉藤成美)

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【センバツ】「8番左翼」報徳学園・辻本がV打「勝てる時は、下位が仕事をする」大角監督

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、辻本は右前適時打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:報徳学園4-2中央学院>◇30日◇準決勝

「8番左翼」で出場した報徳学園・辻本が勝ち越しに成功した。1回戦の愛工大名電戦以来の安打だ。

4回1死二、三塁で相手エース蔵並のフォークを右前に運んだ。「自信を持って打席に立って、最悪自分が打てなくても間木が打てる」。言葉通り、続く9番の先発間木が一塁手の前へボールを転がし、追加点となるスクイズに成功。大角健二監督(43)は「勝てる時は、下位(打線)が仕事をする。あのタイムリーは大きかった」とたたえた。

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、辻本は右前適時打を放つ(撮影・上山淳一)
中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、辻本は右前適時打を放つ(撮影・上山淳一)

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【センバツ】報徳学園Wエース必勝リレーで決勝 今朝丸裕喜「『絶対俺に任せろ』という気持ち」

中央学院対報徳学園 決勝進出を決め応援団のもとへ走る報徳学園今朝丸(左)と間木(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:報徳学園4-2中央学院>◇30日◇準決勝

報徳学園(兵庫)がダブルエースの必勝リレーで逃げ切り、2年連続のセンバツ決勝進出を決めた。中央学院(千葉)との準決勝に先発した間木歩主将(3年)が9回2死まで2失点でしのぎ、最後は今朝丸裕喜投手(3年)が締めた。大角健二監督(43)は節目の甲子園10勝。星稜(石川)は高崎健康福祉大高崎(群馬)に逆転負けを喫し、4強で聖地を去った。決勝は31日午後0時30分から行われる。

報徳学園が執念の継投で22年ぶりの優勝に王手をかけた。2点リードの9回2死二、三塁。先発で117球を投げ完投目前の間木から、最速151キロ右腕の今朝丸にスイッチ。大角健二監督(43)が「勝負にこだわった形」で、2球で左飛に打ち取り、逃げ切った。

メンタル強化に力を入れて臨んだ今大会。ひょうひょうと投げる今朝丸にとって、最高潮の緊張感で迎えたマウンド。「最後の9回、あと1人の場面で『絶対俺に任せろ』という気持ちで投げて、結果につながってくれてよかった」と動じなかった。間木は交代した場面で「くっそー」と嘆いた。「悔しいっていう一言。流れが変わってしまうかもしれない場面で他の人に渡してしまうのは、ピッチャーとしてやってはいけないこと。本当に悔しい思いでいっぱいでした。最後まで投げきれなかった悔しい思いの中で、チームを勝ちに導けたのはよかった」。競い合う2人の姿が原動力だ。

昨年は準決勝で大阪桐蔭に勝利。その余韻に浸り、山梨学院との決勝で敗戦した。今大会も準々決勝で大阪桐蔭を再び撃破し、指揮官は「今できることに集中しよう。ここまで来たら1つの試合に一喜一憂している場合じゃない」とナインに語りかけていた。気持ちの切り替えに成功し、同校春40勝と大角監督の甲子園10勝をダブルで達成。「あくまでも数字。それよりもこのチームを1つでも多く勝たせたい。結果はどっちでもいいです。うちらしい守り勝つ野球をしたい」。決勝で昨年のリベンジを果たす。【中島麗】

◆前年準優勝校の決勝進出 昨年決勝で山梨学院に敗れた報徳学園が決勝進出。センバツで準優勝の翌年に決勝進出は05年愛工大名電以来8度目。過去7度は6勝1敗と雪辱Vが目立ち、前年準V校の6連勝中。

◆報徳学園は長打1本 報徳学園はここまで4試合で計36安打のうち、長打は安井の二塁打1本だけ。75年の金属バット採用後、優勝校の最少長打は78年浜松商の4本(二塁打、三塁打が各2本)だが、塗り替える可能性もある。両チームとも本塁打はなく、春のノーアーチVなら01年常総学院以来になる。

中央学院対報徳学園 9回表中央学院2死二、三塁、岩崎を左飛に打ち取りガッツポーズする今朝丸(撮影・滝沢徹郎)
中央学院対報徳学園 9回表中央学院2死二、三塁、今朝丸(手前右)は最後の打者岩崎を左飛に仕留め勝利を喜ぶ(撮影・上山淳一)

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【センバツ】V経験の父から激励「気持ちがすごく楽に」星稜・芦硲主将の親子Vへの夢は続く

高崎健康福祉大高崎対星稜 決勝進出を逃し悔しげな表情の星稜・山下監督(右)と芦硲主将(撮影・滝沢徹郎)

<涙は夏のため>

<センバツ高校野球:健大高崎5-4星稜>◇30日◇準決勝

センバツが100年を迎えた。敗れて甲子園を後にする敗者には、今夏の甲子園へとつながっていくドラマがある。「涙は夏のため~新しい夢のため~」と題し、さまざまな角度から敗れたチームの物語を紡ぐ。

     ◇     ◇     ◇

思わず涙があふれ出した。星稜の芦硲(あしさこ)主将は試合後、敗戦の悔しさをかみ殺し、報道陣への質問に堂々と応じていた。ただ、97年に天理(奈良)の二塁手としてセンバツ制覇の経験があり、大阪・河内長野市の自宅から応援に駆けつけていた父太輔さん(44)の話題を振られると、「すみません…」と急に言葉に詰まり、我慢していた表情が一気に崩れた。

5-0で快勝した阿南光(徳島)との準々決勝は4打数無安打に終わり、3試合で打率0割9分1厘。思うような結果が出ず、責任を感じて思い詰めていた。そんな時、準決勝前日の29日の夜、父からスマホに1通のメッセージが届いた。

「自分の結果は気にせず、チームのために頑張れ。お前が暗くなったらあかん。日本一の主将になれよ」

激励の言葉に「気持ちがすごく楽になりました」。準決勝では1点リードの3回1死から左越えの三塁打。2点を追う7回には先頭で中前打を放ち、2安打1得点1盗塁と奮闘も「こんなに応援してもらったのに。勝って恩返ししたかったんですけど、申し訳ないです」と悔やんだ。

「父はまだまだ届かない存在。夏に絶対甲子園に帰って来て、日本一になります」。親子Vへの夢は、まだまだ続く。【古財稜明】

高崎健康福祉大高崎対星稜 3回裏星稜1死、芦硲は左翼に三塁打を放ち二塁を回る(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 3回裏星稜1死、芦硲は左翼に三塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】健大高崎が初決勝へ エース佐藤龍月は中指負傷も好救援「アドレナリンが出ました」

高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏星稜2死、佐藤は最終打者・萩原を空振り三振に仕留め勝利し喜ぶ(撮影・上山淳一)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎5-4星稜>◇30日◇準決勝◇甲子園

高崎健康福祉大高崎(群馬)が春夏通じて初の決勝進出を果たした。

石垣元気投手(2年)が今大会初先発。星稜打線に打たれながらも7回4失点(自責3)でまとめ、8回から左腕エースの佐藤龍月投手(2年)にスイッチした。

佐藤は準々決勝の試合途中、左手中指を負傷。この日は7回にブルペン投球を始め「ブルペンでは70%くらいの感じでした」とマウンドに向かったが「アドレナリンが出ました」と2イニング28球を投げ抜き、勝利に導いた。

直球と鋭いスライダーを武器にする佐藤には中学時代、50校近い高校から誘いがあったが、兄がプレーする高崎健康福祉大高崎へ進んだ。カブス今永を目標に、現時点では高卒でのプロ入りを目標に掲げている。

センバツでの決勝進出に「自分の中では今までの試合は通過点で、優勝するために今までずっと努力してきたので、まず切符を勝ち取れて良かったです」と話し「どれだけ痛くなっても、どんな体になっても、エースナンバーを背負わせてもらっているので、しっかり覚悟を持って投げたい」と強い思いを示した。【金子真仁】

高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏、高崎健康福祉大高崎2番手で力投する佐藤(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】中央学院、終盤粘りを見せるもあと一歩及ばず 二刀流の颯佐心汰「夏は日本一を」

中央学院対報徳学園 4回表中央学院2死二塁、颯佐は左越え適時三塁打を放つ(撮影・上山淳一)

<センバツ高校野球:報徳学園4-2中央学院>◇30日◇準決勝<センバツ高校野球:報徳学園4-2中央学院>◇30日◇準決勝

甲子園初勝利から3連勝と快進撃を続けた中央学院(千葉)の春が終わった。この試合も野手と投手の二刀流の活躍をみせた颯佐心汰内野手(3年)は「あとちょっとの大切さ。それが足りなかったのかなって思います」と淡々と振り返った。

粘り強さは見せた。1点先制され、迎えた4回表。2死二塁から初球の真っすぐを強振。打球はレフト頭上を越え、颯佐は50メートル5秒8の俊足で一気に三塁を陥れ同点に追い付いた。「報徳学園の間木投手は初球ストレートが多かった。打った瞬間は自分の脚力を計算して、迷いなく行けると思いました」。しかしその裏、2番手の蔵並龍之介投手(3年)が再び報徳学園打線につかまり2点勝ち越しを許し、この回の途中から緊急登板した。「気持ちの準備はできていました」。4回1/3を投げ3安打1失点。力強い真っすぐとキレのいい変化球をテンポよく投げこみ、逆転に臨みをつなげた。

5回が終わり、グラウンド整備で相馬幸樹監督(44)が選手たちに言った。「このままじゃ人生変えられないぞ。欲を持ってやらないとダメだ、向かっていけ、迷うな!」。選手たちは前を向いた。しかし、これが決勝進出の壁なのか-。8回に2点差に迫り、9回も一打同点と粘りを見せ、報徳学園の好投手、今朝丸裕喜投手(3年)を引きずり出したが、あと1歩及ばなかった。中央学院の奮闘に、甲子園球場は割れんばかりの拍手に包まれた。

昨秋、県大会予選で破れ、敗者復活戦を勝ち抜き県大会出場で優勝。そして関東大会8強入りにセンバツ4強入りと、一気に駆け上がった。颯佐は「憧れの舞台だったので4試合もできて素直に楽しかったです。春の忘れ物がある…夏は日本一を目指したい」と力強く話した。

敗戦にうつむく選手たちを前に、相馬監督が話した。「やっぱり、負けると悔しい。上の層のレベルを肌で感じたと思うので、とにかく欲をもって練習して欲しい。野球にのめり込んでくれたら、この壁は破れる。それを子どもたちは分かったんじゃないかな」。夏へー。全国で戦える自信と、優勝を目指す原動力。大きな財産を得た中央学院の選手たちは、再びこの場所を目指す。【保坂淑子】

中央学院対報徳学園 4回表中央学院2死二塁、颯佐(左)は左越え適時三塁打を放つ(撮影・上山淳一)
中央学院対報徳学園 4回表中央学院2死二塁、颯佐は左翼に適時三塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】健大高崎は打線の奮起必須 報徳学園は今朝丸裕喜の先発有力/第11日見どころ

高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜に勝利しタッチを交わす佐藤(右)と捕手箱山(撮影・上山淳一)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎-報徳学園>◇31日◇決勝◇甲子園

センバツ決勝には東西で前評判の高かった2校が残った。

高崎健康福祉大高崎(群馬)が勝てば春夏通じて甲子園初優勝、報徳学園(兵庫)が勝てば22年ぶり3度目のセンバツ優勝になる。

高崎健康福祉大高崎は最速150キロ右腕の石垣元気投手(2年)が30日の準決勝で116球を投げ、決勝は背番号1の佐藤龍月(りゅうが)投手(2年)の先発が有力視される。左手中指を負傷しており、継投の可能性は高い。

投手陣の状態が100%でないだけに、打線の奮起が初優勝に必須となる。主砲の箱山遥人捕手(3年)ら上位打線は振れてきている。下位からもチャンスを作れれば勝機は高まる。

報徳学園は昨春の準優勝メンバーが7人残り、選手層は厚い。特に間木歩投手、今朝丸裕喜投手(ともに3年)の右腕2枚看板は今大会もそれぞれ大崩れなく、決勝まで来た。準決勝で間木が117球投げており、決勝は今朝丸の先発が有力だ。

守備は堅実で、準々決勝の大阪桐蔭戦も少ないチャンスを生かして4-1で勝利した。打線も4番斎藤佑征内野手(3年)を中心にきめ細かく攻めてきた。

投手陣のコンディションを考えると報徳学園がやや有利になるか。高崎健康福祉大高崎は先制して優位に進めたい。準決勝で出てしまった走守のミスは、決勝では致命的になる。

◆群馬対兵庫 甲子園で過去の対戦は群馬県勢の4勝6敗(春は2勝5敗)。報徳学園とはいずれも春の3度対戦し、09年高崎商0●2、17年前橋育英0●4、23年高崎健康福祉大高崎2●7と3連敗。

◆昨年の対戦 報徳学園が11安打で快勝。2回に3連続押し出し四球で逆転し、4回には堀、石野の連打で2点を追加。8回には石野の2ランで突き放した。高崎健康福祉大高崎は2年生の箱山、高山が二塁打を放つも反撃及ばず。

中央学院対報徳学園 決勝進出を決め応援団のもとへ走る報徳学園今朝丸(左)と間木(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】星稜・山下智茂名誉監督が奮闘見守る「石川の球児たちの目標も高くなる」

山下智茂元監督

<センバツ高校野球:健大高崎5-4星稜>◇30日◇準決勝

星稜の山下智茂名誉監督(79)が、スタンドで奮闘を見守った。

長男が指揮を執るチームは決勝進出を逃したが、センバツでは石川県勢で初めて4強まで進んだ。「震災の年に記録を破ったというのは大切なこと。石川の球児たちの目標も高くなる」と、意義を話した。現在は石川県輪島市の母校、門前で指導している。入学者数は3倍以上に増加したそうで、町おこしの役割も担う。「最初は能登に希望を与えてほしいと思っていたが、地域の人がすごく応援してくれた。背中を押されながら戦っていた」と目を細めた。

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【センバツ】報徳学園OB金村義明氏「本当によく守っている」2年連続決勝進出の後輩に目を細め

高崎健康福祉大高崎対星稜 三塁側アルプスから報徳学園の後輩たちの2年連続決勝進出を見届けた金村義明氏。右はOBの広島小園の母こず江さん(撮影・堀まどか)

<センバツ高校野球:報徳学園4-2中央学院>◇30日◇準決勝

1981年夏の甲子園優勝投手で近鉄などで活躍した金村義明氏(60=野球評論家)が後輩の2年連続決勝進出を見届けた。

三塁側アルプス席にOBの広島小園の母こず江さんと並んで座り、守備陣が打球をさばくたびに「いいねえ」と笑顔に。伝統の堅守に「新しいバットになって守備がより重要になりましたけど、本当によく守っている。二遊間といい、三塁といい、うまいですね」と目を細めた。投手陣も「昨年を経験して、いっそう足腰が鍛えられた感じ。いいボールを投げていますよ」と決勝進出の原動力を挙げていた。

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【センバツ】健大高崎が春夏通じて初の決勝進出「気負わず群馬県に優勝旗持ち帰りたい」青柳監督

高崎健康福祉大高崎対星稜 決勝進出を決め応援団のもとへ駆け出す高崎健康福祉大高崎の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<センバツ高校野球:高崎健康福祉大高崎5-4星稜>◇30日◇準決勝◇甲子園

高崎健康福祉大高崎(群馬)が春夏通じて初の決勝進出を果たした。

エースの佐藤龍月投手(2年)が左手中指の負傷で長いイニングを投げられない状況で、石垣元気投手(2年)が7回4失点で何とか踏ん張った。青柳博文監督(51)も「試合を作ってくれたので感謝しています」と評価。最後の2イニングを佐藤が投げ、指先を赤くしながらも28球を投げ、逃げ切った。「痛みに耐えてよく投げてくれました」と感謝を重ねた。

打線も7回に適時打を集中させての逆転勝利。「気負わず、群馬県に優勝旗を持ち帰りたいです」と31日の決勝へ意気込んでいた。

高崎健康福祉大高崎対星稜 試合後、感極まった表情の高崎健康福祉大高崎・青柳監督(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜に勝利し歓喜する高崎健康福祉大高崎ナイン(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜に勝利し、校歌を斉唱する高崎健康福祉大高崎ナイン(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜に勝利しタッチをかわす高崎健康福祉大高崎の佐藤(右)と捕手・箱山(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 指の皮がむけた高崎健康福祉大高崎2番手で登板した佐藤(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏星稜2死、萩原を空振り三振に仕留めガッツポーズする佐藤(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏星稜2死、萩原を空振り三振に仕留め雄たけびを上げる佐藤(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 高崎健康福祉大高崎先発の石垣は先頭打者・吉田を遊ゴロに仕留め笑顔を見せる(撮影・上山淳一)
高崎健康福祉大高崎対星稜 2回裏星稜2死三塁、石垣は中島幹の打球に反応するも捕れず、先制遊撃適時内野安打を許す(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 4回表高崎健康福祉大高崎無死二、三塁、中2点適時二塁打を放った加藤(右)はアクシデントでベンチへ引き揚げる(撮影・滝沢徹郎)
高崎健康福祉大高崎対星稜 4回表高崎健康福祉大高崎無死二、三塁、加藤の中2点適時二塁打から生還した箱山(右)はチームメートと喜ぶ(撮影・滝沢徹郎)

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【センバツ】報徳学園が2年連続の決勝進出 健大高崎は初の決勝/詳細

<センバツ高校野球>◇30日◇準決勝

センバツ高校野球は準決勝2試合。第1試合は高崎健康福祉大高崎(群馬)が逆転で星稜(石川)を破り初の決勝進出。第2試合は報徳学園(兵庫)が中央学院(千葉)を破り2年連続の決勝進出を決めた。決勝戦は明日12時半から行われる。

第2試合:中央学院2-4報徳学園

チーム
中央
報徳

【報】間木、今朝丸

【中】臼井、蔵並、颯佐

中央学院対報徳学園 報徳学園先発の間木(撮影・滝沢徹郎)

中央学院対報徳学園 中央学院先発の臼井(撮影・滝沢徹郎)

中央学院対報徳学園 1回裏報徳学園2死二塁、斎藤は先制の中前適時打を放つ(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 1回裏報徳学園2死二塁、二走・橋本(左)は斎藤の中前適時打で先制生還する(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 4回表中央学院2死二塁、颯佐は左越え適時三塁打を放つ(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 4回表中央学院2死二塁、颯佐(左)は左越え適時三塁打を放つ(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、辻本は右前適時打を放つ(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、辻本は右前適時打を放つ(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、間木はスクイズを決める(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、三走・徳田(右)は間木のスクイズで生還する。捕手・飯山(撮影・上山淳一)

中央学院対報徳学園 9回表中央学院2死二、三塁、岩崎を左飛に打ち取りガッツポーズする今朝丸(撮影・滝沢徹郎)

中央学院対報徳学園 試合後、報徳学園先発の間木(右)は、2番手で試合を締めた今朝丸とハグする(撮影・滝沢徹郎)

第1試合:星稜4-5高崎健康福祉大高崎

チーム
健大
星稜

【星】佐宗

【健】石垣、佐藤

高崎健康福祉大高崎対星稜 星稜先発の佐宗(撮影・滝沢徹郎)

高崎健康福祉大高崎対星稜 高崎健康福祉大高崎先発の石垣(撮影・滝沢徹郎)

高崎健康福祉大高崎対星稜 2回裏星稜2死三塁、中島幹は先制の遊適時内野安打を放つ(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 2回裏星稜2死三塁、中島幹は先制の遊適時内野安打を放ち喜ぶ(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 4回表高崎健康福祉大高崎無死二、三塁、加藤は中2点適時二塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

高崎健康福祉大高崎対星稜 7回表高崎健康福祉大高崎2死三塁、高山は左に適時二塁打を放つ(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 7回表高崎健康福祉大高崎2死三塁、高山は左適時二塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

高崎健康福祉大高崎対星稜 7回表高崎健康福祉大高崎2死三塁、高山(右)は左適時二塁打を放ちガッツポーズする(撮影・滝沢徹郎)

高崎健康福祉大高崎対星稜 7回表高崎健康福祉大高崎2死二塁、二走・高山(左)は箱山の左前適時打で生還する。捕手・能美(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 7回表高崎健康福祉大高崎2死二塁、二走・高山(4)は箱山の左前適時打で生還する。右は次打者の森山(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 7回裏星稜1死二塁、服部(左)は左に適時二塁打を放ち喜ぶ(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 8回、高崎健康福祉大高崎2番手で登板の佐藤(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 9回裏星稜2死、萩原を空振り三振に仕留めガッツポーズする佐藤(撮影・滝沢徹郎)

高崎健康福祉大高崎対星稜 高崎健康福祉大高崎に敗れ、選手たちと引き揚げる星稜の山下監督(手前)(撮影・上山淳一)

高崎健康福祉大高崎対星稜 高崎健康福祉大高崎に敗れ、引き揚げる星稜ナイン(撮影・上山淳一)

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【センバツ】報徳学園が2年連続決勝進出 4戦36安打中35本が単打のスモールベースボール

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、間木はスクイズを決める(撮影・上山淳一)

<センバツ高校野球:報徳学園4-2中央学院>◇30日◇準決勝

報徳学園(兵庫)が中央学院(千葉)を破り、2年連続の決勝進出を決めた。明日31日の決勝戦で22年ぶり3度目の優勝を目指し高崎健康福祉大高崎(群馬)と対戦する。

先発の間木歩が9回途中まで2失点の好投。9回2死二、三塁で救援の今朝丸裕喜が一打同点のピンチを抑えた。攻めてはスクイズも絡めて4点を奪った。

1回、2死二塁から4番斎藤佑征の4試合連続の適時打となる中前打で先制。4回表に同点に追いつかれたがその裏、8番辻本侑弥の適時打、9番間木のスクイズで2点を勝ち越し。5回にも6番山岡純平の適時打で4点目を奪った。スクイズを含む5本の犠打を決め確実に得点をもぎとった。

この試合は8安打を放ったすべて単打。今大会4試合で36安打を放ったが35本が単打で、長打は初戦の二塁打1本だけ。犠打は12。飛ばない低反発バット導入元年。スモールベースボールで2年連続の決勝進出を決めた。

中央学院は8回に2点差に迫り、9回も一打同点と粘りを見せたが一歩及ばず。甲子園初勝利から3連勝で4強入りを果たしたが初の決勝進出を逃した。

◆前年準優勝校の決勝進出 昨年決勝で山梨学院に敗れた報徳学園が決勝進出。センバツで準優勝の翌年に決勝進出は05年愛工大名電以来8度目。過去7度は6勝1敗と雪辱Vが目立ち、前年準V校の6連勝中。

中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、辻本は右前適時打を放つ(撮影・上山淳一)
中央学院対報徳学園 4回裏報徳学園1死一、三塁、辻本は右前適時打を放つ(撮影・上山淳一)

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