バスケットボールB1リーグの三遠が、快進撃をみせている。今季折り返し目前の第16節を終えて24勝4敗。中地区で首位に立ち、全24クラブ中でも東地区のA東京に肩を並べる勝率で1、2位を争う。チームを指揮する2季目の大野篤史監督(46)が、20-21季に千葉Jをリーグ制覇に導いた手腕で、チームを強豪へとよみがえらせた。その大野氏がこのほど、本紙静岡版のインタビューに応じ、チーム状況などについて語った。【取材・構成=倉橋徹也】
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名将の采配で、昨季まで低迷したチームが、白星の山を築いている。ここまでに8連勝を含み、勝率8割5分7厘の圧倒的強さだ。
大野氏 試合を通じて成長が感じられ、チームの成熟度が上がっている。常に自分たちができるベストを尽くしていて、いまの成績には満足している。
戦術などについて多くは語らない指揮官が、大切にしていることがある。
大野氏 勝ちにこだわること。全員がその意識をもって戦うこと。そして、支えてくださっている皆さんに喜んでもらうこと。これは私がコーチをするうえで不遍的なテーマです。
強い三遠が帰ってきたことと昨年のW杯熱もあり、豊橋ホーム開催の第7節(対横浜BC)では最多更新の4555人が観戦に訪れた。同第14節(対信州)では4854人とさらに更新。大野氏の思いが観客にも伝わっていることだろう。昨季は主力のけがに泣かされ23勝37敗。中地区6位、リーグ16位からの復活だ。
大野氏 昨季が失敗だったとは思っていない。ただアクシデントが多かった。今季は健康でいられることが、一番いい要因だと思う。コミュニケーションがよくとれていて、選手同士いい雰囲気でやっている。大きなけがなくやれている。
他チームから脅威に感じられるチームとなった。高3時、三遠でプロキャリア(特別指定選手)を始動させた横浜BCのエースでW杯日本代表の河村勇輝(22)は第7節後、「昨シーズンから素晴らしいチームだと思っていた。けが人が出なければ優勝を目指せるレベルにあった。今季も始まる前から要注意で、戦ってみて本当に強いと再認識した」と語っている。指揮官は不遍の思いを胸に今季後半戦への抱負を述べた。
大野氏 毎回毎回、目の前の試合を大事に戦い、60試合のシーズンを通して、できる限りの成長を遂げられるようにしたい。
今季天皇杯こそ3次ラウンド進出を逃したが、このままならBリーグ発足の16-17季を最後に遠ざかっていたチャンピオンシップ(CS)進出が夢ではない。14-15年のbjリーグ時以来、4度目のCS優勝に向かって突っ走り続けたい。
◆大野篤史(おおの・あつし)1977年(昭52)8月12日、石川県生まれ。日体大から2000年に三菱電機へ加入し、JBL初代新人王を受賞。日本代表にも選出された。パナソニック所属後に引退。主にSGやSFなどでプレーした。指導者転身後はパナソニックや広島でアシスタントコーチを務め、16年にB1千葉J監督に就任。17年から天皇杯3連覇、20-21季にはクラブ初のリーグ制覇を果たした。22年から現職。趣味はゴルフ。血液型B。
- 第7節で戦況を見守る三遠の大野監督(後方右、昨年11月8日)
- 選手らを指導する三遠の大野監督(中央、昨年10月3日)