<NHKマイルC>◇9日=東京◇G1◇芝1600メートル◇3歳◇出走18頭

ドイツ生まれの王者が誕生した。2番人気シュネルマイスター(牡、手塚)がゴール寸前でソングラインを差し切り、JRA・G1初制覇を飾った。勝ち時計は1分31秒6。

JRA所属のドイツ産馬によるJRA・G1制覇は史上初、デビュー4戦目での同レース制覇は最少キャリアタイとなった。今後は休養に入り、秋は古馬相手にマイル路線を進む見込みとなっている。

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突如、勝ち運が巡ってきた。シュネルマイスターの眼前にいたソングラインが内へよれた。ルメール騎手は絶好機を見逃さなかった。鞍上は「ラストエフォート! もうちょっと頑張ってとお願いしました」とちゃめっ気たっぷりに振り返った。ゴールまで、残り数完歩。敗色濃厚の大一番で必死のゲキが届いた。同じ勝負服の相手に写真判定。鼻差だけ前に出ていた。

未知の領域での勝利だ。持ち時計を4秒以上も詰め、レコードに0秒2差の超高速決着。さすがに馬も序盤は戸惑った。道中はこれまでで最も後ろの9番手にいた。ルメール騎手も「最初はびっくりしたと思う」とおもんぱかる。そこからは激流でも脚がたまった。「少しずつリズムがついて、呼吸も良かった。直線はソングラインをマークしていたので、完璧なリードホースでした」。とてつもない素質が運を引き寄せた。

JRA所属のドイツ産馬による初のG1優勝。最少タイとなるデビュー4戦目Vは可能性の塊だ。ルメール騎手は「ドイツの馬は2歳でそんなに速くないけど、だんだん良くなる。例えば、デインドリーム」と1頭の牝馬の名前を挙げた。11年凱旋門賞馬。2歳時にフランスのローカル競馬場でしか勝てなかった馬は1年後には世界一のレースを制した。「ポテンシャルが高い馬が多い。この馬もこれからもっと良くなる」。新たな血が日本競馬を活性化させる。

弥生賞2着後に皐月賞を見送り、マイル路線へ。的確な番組選択がドイツ生まれの新王者誕生へと導いた。手塚師は「日本にいない血統。G1という勲章を取ったので、未来は明るいですね。春はここを目標に、最高の結果でした。ひと夏を越して成長した姿をファンに見せたいです」と胸を張った。ルメール騎手も「能力は絶対ある。パワーアップしたら、ハイレベルなレースでも勝てる」と将来に期待した。秋以降は古馬を相手に、最強マイラーの道を行く。【松田直樹】

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