今週から秋の東京開催が始まる。開幕週の日曜メインは毎日王冠(G2、芝1800メートル、8日、1着馬に天皇賞・秋優先出走権)が行われる。
安田記念連覇のマイル女王ソングライン(牝5、林)が出陣する。秋の目標に掲げる米G1のBCマイル(芝1600メートル、11月4日=サンタアニタパーク)に向けた注目の始動戦になる。
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ソングラインが歴史的名牝への道を歩んでいる。84年のグレード制導入後、安田記念連覇は92、93年のヤマニンゼファー、08、09年ウオッカ以来史上3頭目の快挙だった。そしてヴィクトリアM→安田記念の連勝は09年ウオッカ以来史上2頭目の偉業。最強牝馬アーモンドアイもグランアレグリアもできなかった離れ業をやってのけた。日本の最強マイラーが目指す舞台、BCマイル制覇もこの馬なら・・・。そうワクワクさせる秋がやってきた。
始動戦の毎日王冠へ向け、調整は順調だ。2週前、1週前追い切りと戸崎騎手が騎乗し、美浦ウッドで併せ馬。1週前は3頭併せの真ん中で豪快にパートナー2頭を突き放した。「(春と比較して)ガラッと成長したわけではないけど、雰囲気の良さを感じています。(距離も)特に問題ないと思いますよ。乗りやすい馬ですからね」と鞍上は好感触を口にする。最終追い切りにもまたがる予定で、3週連続でジョッキーを乗せるスタイルはヴィクトリアMの時と同じ調整過程だ。林師は「ヴィクトリアMの時と同じコンセプトでやっています。フィジカル、メンタル、テクニカルの心技体をチェックしていただいている。いい意味で変わらず順調にきています」と話す。
「(毎日王冠選択の)一番の理由は左回りの東京ですし、ここ2戦の競馬を見ると1800メートルでも十分対応できるのでは、と思っています」と林師。秋シーズンへの意気込みを問われ「初戦からいい競馬ができたら、と思いますし、気持ちは変わらず、挑戦者のつもりで臨みたい」と気を引き締める。昨年もBC挑戦のプランはあったが、セントウルSの敗戦(5着)もあり、立ち消えとなった。2年越しのターゲットへ、大事な秋初戦になる。【木南友輔】
◆今年のBC(ブリーダーズカップ) 米国西海岸のサンタアニタパーク競馬場が舞台。BCクラシック(ダート2000メートル)にウシュバテソーロ、デルマソトガケ、BCターフ(芝2400メートル)にシャフリヤール、BCフィリー&メアターフ(芝2000メートル)にウインマリリンが遠征予定。毎日王冠組はソングラインのほか、ウインカーネリアンがBCマイル(芝1600メートル)への遠征を検討している。
◆日本馬の米BC制覇 21年にデルマー競馬場で行われたBCフィリー&メアターフ(芝2200メートル)をラヴズオンリーユーが勝利。日本調教馬として初のBC制覇だった。同年、同じ矢作厩舎のマルシュロレーヌはBCディスタフ(ダート1800メートル)を制した。
《black bold《■エルトンバローズ、左回り克服》
エルトンバローズはこの春から覚醒して3連勝中。4月の未勝利勝ちから3カ月足らずで重賞のラジオNIKKEI賞を制した。「前回は西村淳騎手がうまく乗って、この馬の良さが生きる競馬をしてくれました。開幕馬場もよかったですね」と田中助手。今回も開幕週で馬場状態は絶好。まだ1戦のみの左回りを克服すれば、強豪古馬相手でも互角以上の走りを見せそうだ。
《black bold《■フェーングロッテン、開幕週に良績》
フェーングロッテンはG2、G3で堅実に走っていたが、前走のG3七夕賞はまさかの14着に敗れた。宮本師は「前回は馬に気がなかったね。たまにそういう面を見せるんですよ。中間からそんな感じがあったんです」と敗因を分析済みだ。この中間では気難しさも出さず順調にきており「いい体になった」と師は手応えを口にしていた。もともと開幕週の馬場に良績がある馬。大敗からの巻き返しが期待される。