<井上 香港EYE22(5)>

日本馬計14頭が出走する香港国際競走があす11日、シャティン競馬場で行われる。現地出張中の井上力心(よしきよ)記者の連載「井上 香港EYE22」最終回は、日本馬に立ちはだかる外国勢に迫る。注目はやはり香港マイル(G1、芝1600メートル)3連覇を狙うゴールデンシックスティ(せん7、K・ルイ)。主戦のホー騎手や地元メディア関係者への取材でも、歴代最強との呼び声も高い「香港の英雄」の偉大さが伝わってきた。

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出張中、香港馬の調教風景を見ていて感じたのは、エキサイトするようなところがなく落ち着いて調教に臨む馬が多かったこと。それが滞在競馬の強み。都会と自然が入り交じる豊かな環境下で地元馬たちはのびのびと日常を送っている。

ゴールデンシックスティは9日、ホー騎手を背にオールウエザーコースを軽快なフットワークで駆け抜け、地元では負けられんと言わんばかりに好調をアピールした。追い切り後、鞍上は「いい感じで、いい走りだった。前回よりも良くなっていると思う。追い切り後に歩かせたが十分ですね。日曜日が待ち遠しいよ」と満足した様子だった。地元のメディア関係者は歴代最強馬という評価をどう見ているのか? モレイラ騎手とも親しい「ASIAN RACING REPORT」のマイケル・コックス氏にゴールデンシックスティの印象を聞いてみた。

彼は恐らく香港のベストホースだよ。自分の中でも過去の香港の歴史の中でも最強。ヒーイズレガシー

今後何年も歴史に名を残す存在だといい、賛辞を惜しまなかった。「できれば日本の安田記念に行って今までにないことをやってほしいね」と、さらなる伝説を作ってほしいと願う。彼の偉大さが絶大だと言うことを改めて実感した。

ホー騎手は今夏の来日中に何度か取材したが、馬や他の騎手をリスペクトする姿に心を打たれた。今回も相棒に敬意を込めて「ヒーイズソースペシャル。(3連覇がかかるが)ノープレッシャー!」と堂々と言った。コンビの絆はとにかく深い。今年も大きな壁として日本馬の前に立ちはだかりそうだ。(おわり)

■もう1頭も強力な存在

【井上チェック】

香港マイルでもう1頭強力な存在として日本馬を脅かすのが、Z・パートン騎手が騎乗するカリフォルニアスパングルだ。スタート後のダッシュが速く、マイペースの逃げに持ち込めばなかなか止まらない。追ってからも味があり、その粘りは前走ジョッキークラブマイルでゴールデンシックスティをも苦しめた。パートン騎手は日本馬、そして、ゴールデンシックスティに最大限の敬意を表していたが、果たして。

◆マイケル・コックス 香港の地元紙「サウスチャイナモーニングポスト」でエース記者として活躍後に独立。現在はネット系メディア「ASIAN RACING REPORT」を自ら立ち上げ、取材を続けている。過去にはジョアン・モレイラ騎手のJRA通年免許受験をスクープしたこともあり、同騎手からの信頼も厚い。日本の取材経験も豊富で、16年安田記念でも本紙に登場している。

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