<ラストフライト 3冠コントレイル引退戦(4)>

昨年の無敗3冠馬コントレイル(牡4、矢作)が、ジャパンC(G1、芝2400メートル、28日=東京)で現役最後のレースを迎える。連載「ラストフライト」は最終4回目。管理する矢作芳人調教師(60)が愛馬への思い、重圧の日々から得た“財産”、そしてコントレイルの未来を語った。【取材・構成=木村有三、藤本真育】

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全国リーディングを過去3度受賞している“名将”矢作師にとっても、コントレイルとともに過ごした日々は、大きな財産だ。

矢作師 やっぱりオーナー、牧場、スタッフ、ジョッキーと、もう一生揺るがないだろうという信頼関係ができた。本当に強固なものになった。それはホースマンとしてもだけど、人間としてもね。3冠という厳しいことに一緒に立ち向かって、成し遂げたことで、その信頼関係が何物にも代えがたい財産になった。

これまでの過程で襲ってきた重圧や、周囲からの雑音は計り知れない。昨年は皐月賞を3カ月の休み明けで制した一方で、菊花賞は前哨戦から中3週のローテを組んだ。今年の宝塚記念は疲れを考慮して回避。その時々で、師には的確なジャッジが求められた。

矢作師 (デビュー前に痛めた)球節との闘いだったから、そんなに(レース)数を使える馬ではないんだよ。逆に言えば、3冠を全部踏破して、全部勝ったのは驚異的だと思う。これだけ数を使うのが好きで、海外も好きという人間が、この使い方になったってことを分かってほしい。

引退レースが終われば、愛馬は来年から種牡馬になる。母ロードクロサイトを米国のセリで見いだした師は、第2の馬生の成功を信じて疑わない。

矢作師 僕は、ディープインパクトはステイヤーっていう考えだから、アメリカのスピードがある母系に、ディープを種付けするのが一番いいと考えていた。理想に近い血統。ディープ後継馬の真打ちになる。

だからこそ、最後の戦いは「まずは無事に」と願いを込める。同時に希代の勝負師として、1着は譲れない。

矢作師 無事にということと結果を求めるということ。どちらも第一命題。今はそのことしか頭にない。『寂しくないですか?』ってよく言われるけど、それはまだ先の話だな。

いよいよ迫るラストフライト。コントレイルを信じて戦い抜く。(おわり)

◆矢作芳人(やはぎ・よしと)1961年(昭36)3月20日、東京都生まれ。父は大井競馬の調教師だった矢作和人氏。開成高卒業後にオーストラリアで競馬を学び、84年JRA競馬学校厩務員課程入学。04年調教師免許取得、05年3月開業。14、16、20年にJRA賞最多勝利調教師。12年ディープブリランテ、20年コントレイルのダービー2勝などJRA・G1・13勝。今年は米国BCフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーで、BCディスタフをマルシュロレーヌで制覇。海外G1・5勝。JRA通算7478戦725勝、うち重賞52勝(25日現在)。

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