名手で逆襲のエール-。サマースプリントシリーズ第5戦、キーンランドC(G3、芝1200メートル、29日=札幌)で重賞3勝馬メイケイエール(牝3、武英)が巻き返す。

3月のチューリップ賞以来の騎乗となる武豊騎手(52)が札幌に駆けつけ、19日に調教再審査に無事合格。22日札幌記念は白毛馬の3歳牝馬ソダシがV。毛色は鹿毛でもシラユキヒメを祖とする同じ白毛一族がその流れに乗る。

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古馬との初対決に向け、メイケイエールが再び土俵に上がる。19日の調教再審査。通算6戦4勝、うち重賞3勝の実績馬に多くの視線が注がれていた。他厩舎の助手、騎手・・・。3番人気で臨みながら最下位18着に沈んだ前走桜花賞は、ハミ受け不良とみなされた。武豊騎手を背に札幌ダートを単走で4ハロン53秒4-12秒8。桜花賞は負傷離脱のため騎乗できず、コンビを組むのはチューリップ賞以来の鞍上からは笑みがこぼれた。

武豊騎手 合格です。乗るのは久しぶりですけど、落ち着いていたね。もともと気が悪い馬ではなく、競馬に行って抑えが効かないだけなので、心配はしていなかった。いいテンションでいい調整がされている。指示通りのタイムだったし、さすがのフットワークという感じ。

数々の名馬に騎乗してきた名手をして「ポテンシャルは一級品」と言わしめる能力の持ち主だ。2着に5馬身差をつけた新馬戦から小倉2歳S、ファンタジーSと3連勝。ファンタジーSは前半力む面を見せたが、直線でも脚が鈍ることなくレコードV。能力の高さを見せつけた一方で、課題が残った。序盤から行きたがったチューリップ賞は同着1着。序盤から折り合いを欠いて大敗した桜花賞から約4カ月。じっくりと調整され、精神面に成長が見込める。武英師は「今は他の馬に抜かれても、われ関せずで走れるようになっています。競馬のどこかで掛かるのはある程度覚悟はしていますが、掛かり始めるまでの時間が長くなれば」と期待する。武豊騎手も「今の感じなら前ほどではない。1200メートルならまだ制御しやすいと思う。厩舎もじっくり考えて調整してくれている。楽しみ」と好感触の様子だった。

19日の馬場入りの際、師は鞍上から「小倉の新馬戦(20年8月22日)からちょうど1年ですね」と声を掛けられた。節目を覚えていた何げない一言に「心をつかまれました」。敗れたのは阪神JFと桜花賞のみ。スプリント路線のG3で復活の勝利をつかみ、札幌のファンの心もがっちりつかむ。【三嶋毬里衣】

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