今年の上半期、世界に最も衝撃を与えたG1レースは間違いなく、英オークス(4日)、ディープインパクト産駒スノーフォール(A・オブライエン)の圧勝劇だ。起伏に富むエプソムの丘を力強く駆け抜け、2着にレース史上最大着差となる16馬身差。すでに凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月3日=パリロンシャン)へ向けたブックメーカー各社の単勝前売りオッズは1番人気となっている。

27日の宝塚記念(G1、芝2200メートル、阪神)で凱旋門賞に登録を行い、スノーフォールと対戦の可能性がある日本馬。クロノジェネシス(牝5、斉藤崇)、レイパパレ(牝4、高野)、モズベッロ(牡5、森田)の走りはもちろん楽しみなのだが・・・。

スノーフォールを意識すればするほど、血統的には断然、武豊騎手がコンビを組むアリストテレス(牡4、音無)が気になってくる。同馬の4代母の名前は「サンプリンセス」。スノーフォールに抜かれるまで英オークス史上最大着差記録(12馬身差)を持っていた馬、1983年の英オークスをぶっちぎった牝馬の玄孫がアリストテレスになる。

名手ウィリー・カーソンを背にしたサンプリンセスは当時未勝利の身で英オークス(のちのBCマイル勝ち馬や英チャンピオンS勝ち馬も出走)をぶっちぎり、続くキングジョージ6世&クイーンエリザベスSは3着に敗れたものの、ヨークシャーオークス、牡馬相手の英セントレジャーを制覇。凱旋門賞で2着に入っている。

歴史的名牝サンプリンセスの3番子で未出走だった牝馬バレークイーンはカーリアンの子を受胎した状態で来日。日本で生まれた子がデビュー3連勝で96年ダービーを制し、「和製ラムタラ」と称されたフサイチコンコルドだ。フサイチコンコルドの1歳下の半妹が、アリストテレスの3代母グレースアドマイヤになる(その弟に皐月賞馬アンライバルド、近親にリンカーン、皐月賞馬ヴィクトリーなど)。

ディープインパクト産駒スノーフォールの英オークス16馬身差圧勝劇に揺れた21年上半期の競馬界。最大着差記録を塗り替えられた名牝サンプリンセス、その玄孫アリストテレスが宝塚記念で爆走・・・。鞍上が初コンビの武豊騎手(言わずと知れたディープインパクトの主戦)でその期待はふくらむ。

83年英オークスのレース映像、直線で後続をぶっちぎるサンプリンセスを見ていると、大きな流星はどことなく、アリストテレスに似ている感じもする。強敵ぞろいの一戦だが、宝塚記念を制し、その先に「アリストテレスVSスノーフォール」(※ともに凱旋門賞出走なら追加登録が必要)が実現すれば、因縁の対決になるのだが・・・。

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