<ヴィクトリアマイル>◇16日=東京◇G1◇芝1600メートル◇4歳上牝◇出走18頭

グランアレグリア(牝5、藤沢和)が4馬身差の圧勝で、単勝1・3倍の断然人気に応えた。勝ちタイムは1分31秒0。昨年マイルCS以来のJRA・G1・5勝目を挙げるとともに、史上初の古馬の芝マイルG1・3競走の完全制覇を達成した。

藤沢和雄調教師(69)は第1回のダンスインザムード以来となる2勝目。クリストフ・ルメール騎手(41)は昨年のアーモンドアイに続く連覇となった。

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「強すぎたな」。レースを終えたグランアレグリアに藤沢和師が声をかけた。額の白い流星が、馬番と同じ「6」を連想させる女王はまだ走り足りないかのように検量室前を涼しい顔で歩いた。06年に誕生したヴィクトリアM。初代女王を管理した名伯楽もうなる圧勝劇だった。「15年前のダンスインザムードは内から抜けてきたけど、今日は外から。それもずっと持ったままだったからね」。

1頭だけ別次元だった。各馬が追い出し始めた直線半ば、大外を走るグランアレグリアは馬なりのまま。坂を上がってルメール騎手が追い出すと、上がり3ハロン32秒6の末脚で一気に勝負を決めた。「素晴らしかったです。早めに外に出すことができて、直線は自分からギアを上げた。違うレベルでした」。スタンドから声援代わりの拍手を受けながら、横一線の2着争いを尻目に悠々と駆け抜けた。

前走大阪杯で4着に敗れ、負けられない戦いだった。「みんなが応援してくれる特別な馬。前走は馬場が悪かったし、良馬場なら自信があった」(同騎手)。09年ウオッカの7馬身差には及ばないものの、4馬身の差はくしくも昨年アーモンドアイと同じ着差。2頭の比較を問われた鞍上は「両方のレベルが高いです。ただ、アーモンドアイはG1・9勝だし、2400メートルのG1も勝ちました。同じように勝てたら同じレベルと言えますね。グランアレグリアはまだこれからです」と苦笑い。名牝2頭に甲乙はつけられなかった。

牝馬同士で圧倒的な能力差を誇示した。次走は状態次第だが、連覇がかかる安田記念(G1、芝1600メートル、6月6日=東京)へ。秋には天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、10月31日=東京)へ挑戦するプランがある。藤沢和師は「牡馬相手になるけど頑張ってくれると思います」と話し、20日に誕生日を迎えるルメール騎手は「良馬場なら牡馬相手も2000メートルのG1もいける」と胸を張った。緊急事態宣言中の東京競馬場に大歓声はないが、歴史に残る強いグランアレグリアだった。【木南友輔】

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