<ミュジドラS>◇12日=ヨーク(英国)◇G3◇3歳牝◇芝約2050メートル◇出走7頭

日本生まれのディープインパクト産駒スノーフォール(牝3、A・オブライエン)が重賞初制覇を果たした。鞍上はライアン・ムーアで勝ちタイムは2分15秒18。好スタートからハナを奪い、直線は横一線の追い比べで後続を突き放した。

スノーフォールはアイルランドのクールモアグループ所有馬で、エイダン・オブライエン師が管理。母の父がガリレオで、母ベストインザワールドの1歳上の全姉が凱旋門賞馬ファウンドという血統。2歳シーズンは7戦1勝で、10月のG1フィリーズマイルでは3位入線したと思われたが、同じ厩舎のマザーアース(英1000ギニー制覇)とゼッケンが入れ替わっていたことが判明し、最終的に8着で着順が確定。このレースが3歳シーズンの始動戦だった。

ミュジドラSはヨーク競馬場のダンテ開催(フェスティバル)初日に行われる牝馬の重賞で過去には89年のスノーブライド(奇跡の馬ラムタラの母)など6頭の英オークス馬がこのレースをステップに誕生している有力な前哨戦。スノーフォールから3馬身4分の3差2着には母ミッデイの良血馬ヌーンスター(牝3、M・スタウト、父ガリレオ)が入り、3着ティオナ(牝3、R・ヴァリアン、父シーザスターズ)も母がG1という良血だった。

この勝利を受け、6月4日の英オークス(G1、芝2410メートル、エプソム)へ向けたスノーフォールの評価は急上昇。ブックメーカーのパディーパワー社は単勝前売りオッズをレース前の34倍から8・0倍まで引き上げている。1100メートルのデビュー戦からこれまではマイル(1600メートル)以下の距離でしか走っていなかったが、2000メートル超のミュジドラS圧勝劇で、あらためてその能力を証明したことになる。

レーシングポスト電子版は関係者の談話を紹介。ライアン・ムーア騎手は「ハナに行く作戦ではなかったけど、彼女は状況に応じてハナヘ行き、上手にスムーズに走ってくれて、最後の脚も使ってくれた。いい牝馬ですし、乗りやすいし、強い競馬をしてくれた。昨年は強い馬相手に戦ってきて結果は出ていませんでしたが、能力を持っていることを証明し、大きなレースに向かっていける馬です」と絶賛している。クールモアグループの関係者、バックリー氏も「すごくうれしいです。エイダン(オブライエン師)はスノーフォールをエプソム(英オークス)に連れて行きます。彼女の母の姉はファウンドですし、ディープインパクト産駒です。距離は問題にならないでしょう」と英オークス制覇に意欲を見せている。

クールモアグループが所有したディープインパクト産駒は過去にも欧州のG1戦線で活躍。牝馬では昨年のファンシーブルーが仏オークス、ナッソーSを勝利。牡馬は18年に無敗で英2000ギニーを制したサクソンウォリアーが英ダービーに挑戦し、圧倒的人気を集めながら無念の4着に敗れている。ディープインパクト産駒が今度こそエプソムの丘を先頭で走り抜けるのか。今後のスノーフォールの走りに注目したい。

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