歴代4位のJRA通算2541勝の名手、蛯名正義騎手(51)が28日、中山で現役生活に別れを告げた。

ウイナーズサークルでの引退式を終えた後には、即席の記者会見も開かれた。34年間の騎手生活、今後、同期武豊騎手(51)との思い出をたっぷりと語った。

-実感は

蛯名騎手 頭では分かっている。これで終わりだって。でも、ルーティン的にずっとやってきたからね。今までは家に帰って、また来週が始まるって感じだけど、それがないときに(引退を)感じるのかな。来週から馬に乗らないから。自分の中に区切りはついているんだけど、その辺のところが実感としてないかな。ないって言ったらおかしいんだけど。長いことやっていて、染みついているので。

-今日1日を振り返って

蛯名騎手 たくさんいい馬に乗せてもらって、ありがたかったです。重賞はちょっと残念だったけど、勝たせてもらった。すごく幸せな騎手人生だったと思います。

-最後のレース(中山記念4着)を終えて

蛯名騎手 馬場に一礼して帰ってきた。これでもう乗ることはないんだな、と。この先、馬場に出るということとか、向正面に行ったりとかがないので、馬上の景色というのがもう見られないんだなっていう思いも込めて、一礼をしてきた。スタンドにも。ファンがいるつもりでね。

-引退式でのあいさつでは涙が出そうになった

蛯名騎手 泣いてないよ(笑い)。この3年間、調教師試験を受けるにあたって、いろいろな方々に支えられてきた。家族は特にそばで見ている。良いときも悪いときもそばにいるからね。大変だったと思うよ。乗り役をやって活躍している頃より大変だったと思う。気を使うし。支えがあったのは非常に助かった。

-デビューも中山

蛯名騎手 デビュー戦はタイムオーバーだったけどね。タイムオーバーから始まっているので、随分変わったよ。(師匠の)矢野進調教師がいて、あそこに所属していなければ今の自分はない。あの頃、うちの厩舎は吉田善哉さんがまだ元気で、御三家って呼ばれていた厩舎の1つだったから。師匠が善哉さんに頼んで無理やり乗せてくれていたんだと思う。育ててもらったというのがあって、今がある。

-武豊騎手も蛯名厩舎の馬に乗りたいと言っていた

蛯名騎手 乗せてもらえるかどうかって言っていたけどね(笑い)。昔、凱旋門賞で同期2人が一緒に乗るということがあるのかって思って参加していた。そのときも2人で「あり得ないよね」って話していた。次、違う形でそういうことができたら。自分の立場が変わって、いろんなこともしていかないといけないだろうし、本当に(調教師として)入学なので、新しい道をつくらないといけない。ワクワクしている。新しいことにチャレンジしていくのに、今までやってきたことをつなげながら、やってきたことが間違いではなかったことを証明していきたい。

-生まれ変わったらまたジョッキーになりたいか

蛯名騎手 いい仕事だよ。大変だけど。勝って(スタンドへ)手を挙げて帰ってきたときに、ワーって声援が返ってきてね。素晴らしい仕事だけど、その分大変な部分もある。でもやっぱり、素晴らしい仕事だと思う。自分はジョッキーになろうと思って、ジョッキーに憧れて、その憧れの仕事をやらせてもらったので頑張り続けてきた。好きなことをやらせてもらえたことは親にも感謝しないといけない。これからの人たちも頑張ってほしいなと思います。

-調教師として「第2の蛯名正義」を育てる気持ちは

蛯名騎手 育てられる力を自分が持たないといけない。自分のことで精いっぱいのようでは逆に迷惑をかけてしまうし、中途半端になるのも嫌だから。ちゃんと自分がそういうことができるような力を持てれば。自分がまず形を作ってからじゃないと。人の人生を左右するので。生半可なことではできないと思う。

-引退したらしたいこと、これまで我慢していたこと

蛯名騎手 アイルランドとかイギリスとかアメリカとか違う視点で行ってみたい。今まではジョッキーという視点の中で行っていたんだけど、別の視点でそういうところも行ってみたい。地方競馬も見てみたいなとか思ったり。すごくいろんなことをしたいなと思っています。競馬場もファンが入れない状況なので、早くコロナが収束してくれればいいなと思う。

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