シーザリオの「日米オークス馬」という肩書にはちょっとした違和感を感じるのが当然だと思う。

日本のオークス(優駿牝馬)が世代の女王決定戦であることに異論はないが、05年にシーザリオが勝ったアメリカンオークスは「アメリカの最強牝馬」を決めるレースではなく、アメリカの「芝の最強牝馬」を決めるレースだった。

米国はダートの本場。オークスと言われ、パッと浮かぶのはケンタッキーダービー前日に行われるケンタッキーオークス。アメリカンオークスはハリウッドパーク(当時)の芝2000メートルが舞台。「日本のオークスとアメリカンオークスを一緒にするのはちょっとなあ・・・」。記者も以前はそう思っていた。

認識をあらためた、というか、「いや、このアメリカンオークスはすごかったんだな」と思ったのは、その後の繁殖牝馬シーザリオの素晴らしい活躍、そしてシーザリオが破った馬たちの存在だ。

シーザリオが4馬身差で圧勝したアメリカンオークスの出走馬、その関係馬の能力を日本の競馬関係者は見逃さなかった。

3着シンハリーズは次走G1デルマーオークスを制覇。07年にキーンランド・ノベンバーセールで190万ドル(1億9950万円)という高額で吉田勝己氏(ノーザンファーム代表)に落札された。ノーザンファームで繋養(けいよう)され、2番子アダムスピークが11年ラジオNIKKEI杯2歳Sを制覇。6番子シンハライトが16年桜花賞2着からオークスを制した。

7着シルヴァーカップは社台ファームが繋養(けいよう)。子は7頭が勝ち上がり、現役のルッジェーロなど4頭が4勝を挙げる活躍を見せている。

アメリカンオークスで果敢に逃げ、9着に沈んだイスラコジーンも米国の繁殖セールで見いだされ、来日している。初子がイスラボニータ。14年皐月賞を制し、ダービーで2着に好走した(※今年初年度産駒がデビューを迎える)。

アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎所属で出走し、11着に敗れたシルクアンドスカーレットはその年の英オークス5着馬。繁殖入り後、ジャイアンツコーズウェイとの間に生まれた牡馬は輸入され、エイシンアポロンと名付けられた。09年朝日杯FSで2着、11年にはマイルCSを制している。

日本のクラシックを制し、G1や重賞で活躍する馬を生んだ母たちが集っていたのが05年アメリカンオークスの本質。正確な表現ではないのは確かだが、「日米オークス馬」という肩書に値する素晴らしいレースだったのだと思う。直線で実況が絶叫した「ジャパニーズ・スーパースター、シーザリオ」。多くの名馬を生んだ名牝シーザリオの血、そして、ともに競った牝馬たちの血はこれからも日本のターフで躍動していく。【木南友輔】

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