<3強連続インタビュー(2):岡田スタッドグループ岡田牧雄代表>

3強決戦の関係者に迫るJC連載「3強連続インタビュー」第2回は、無敗の牝馬3冠馬デアリングタクト(牝3、杉山晴)を購入、育成した岡田スタッドグループ代表の岡田牧雄氏(68)が登場する。「理想の馬」と公言するアーモンドアイとの最初で最後の対戦、またコントレイルとの無敗3冠馬対決について語った。【取材・構成=網孝広】

  ◇  ◇  ◇

-デアリングタクトは秋華賞で史上初の無敗牝馬3冠を達成した

岡田牧雄代表 秋華賞はパドックを見て負けたと思った。馬券から外すくらいのイレ込み方だった。レースは松山くんが我慢して直線に入ってから追い出した。好判断です。強かった。

-次戦にジャパンCを選んだ理由は

岡田代表 有利な条件というのが一番です。重量が53キロ。3歳牝馬はジャパンCでいい結果が出ている。

-“3強”の中で最初にJC参戦を表明。後に、コントレイル、アーモンドアイも参戦が決まった

岡田代表 アーモンドは来ないかなと思っていた。アーモンドの引退レースで対戦できる。本当にこんなにうれしいことはない。どんなファンより私が一番ワクワクしている。コントレイルの出走もうれしい。戦いたかった。ウチの馬が勝てば年度代表馬になれる。

-アーモンドが理想の馬と公言している。いつから魅力を感じたのか

岡田代表 18年のシンザン記念で“化け物”だと思った。まだまだいいフットワークではなかったけど、手先の力がめちゃめちゃ強かった。他の馬が止まって見えた。筋肉量が少なくて強靱(きょうじん)。ディープインパクトに近い。

-コントレイルとも初対戦。牡牝の無敗3冠馬対決にも注目が集まる

岡田代表 彼はすごい馬。身体能力の高さで2歳戦を勝っていた。ホープフルSの時はパドックを見ても「それほどでもないかな」と思ったけど、ダービーの頃にはガラッと変わって、かなり良くなっていた。完成したらとんでもない馬になると感じた。ただ、彼は2000メートルの馬だと思う。適性ですね。能力が並外れているから3000メートルでも走るけど、2400メートルは彼にとっては甘くない。

-ジャパンCで3歳の3冠牝馬は、12年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイと2戦2勝

岡田代表 53キロは3歳牝馬の特権。そこを生かしたい。中5週で、ローテ的にはウチの馬が一番いい。過去にない、いいパフォーマンスを引き出せると思う。状態はウチの馬が一番いいのでは、と思う。今回に限ってはいろんなアドバンテージがある。使う以上は勝ちにいく。

-デアリングは長谷川牧場の生産馬。日高町の小さな牧場から3冠馬が出た。町の希望になっている

岡田代表 家族経営の小さな牧場から、生産頭数が5頭しかいないような牧場から、こんな馬が出た。勝った時は、町長から農協の組合長から総出でお祝いですよ(笑い)。

-東京芝2400メートルのオークスを強い競馬で勝った。舞台は申し分ない

岡田代表 東京2400メートルが一番いい。オークスの後、松山くんは「こんなに下手な乗り方してすいません」と言っていた。折り合いを欠いて、直線で詰まって・・・。彼にとっては最悪のレース。「オークスのビデオは見たくない」って。負けたら文句も言うけど、勝ったからいいじゃねえかって(笑い)。

-アーモンドはロードカナロア、コントレイルはディープ、デアリングはエピファネイア産駒

岡田代表 ディープには敬意を表する。カナロアもすごい種牡馬だと思う。ただ、若い種馬が活躍すれば時代が変わる気がする。栄枯盛衰というか、そのドラマの方を求めている。3頭の中で一番若いエピファネイアの産駒に頑張ってほしい。若い種馬も、若い調教師も頑張ってほしい。産駒の特徴は(父の父)シンボリクリスエスが濃く出ている。筋肉量はそれほど多くないけど強靱です。

◆岡田牧雄(おかだ・まきお)1952年(昭27)5月14日、北海道静内町(現新ひだか町静内)生まれ。父・蔚男(しげお)さん(故人)が「岡田蔚男牧場」を創業。ミホランザン(73年朝日杯3歳S優勝)などを生産した。次男の牧雄氏が牧場を引き継ぎ、84年に「岡田スタッド」に改称。岡田スタッドのG1初制覇はマツリダゴッホ(07年有馬記念)。他にもスマートファルコン(統一G1・6勝)などを生産、育成した。

◆岡田スタッド 北海道日高郡新ひだか町静内にある牧場で、サラブレッドの生産、育成を行う。岡田牧雄氏は岡田スタッドと、その育成拠点ノルマンディーファームの代表。デアリングタクトの馬主(株)ノルマンディーサラブレッドレーシングの代表は長男の将一氏で牧雄氏は岡田スタッドグループ全体を束ねる立場。

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