ジャパンCを最後に現役最強牝馬アーモンドアイ(牝5、国枝)が引退する。連載「アーモンドアイを支えた男たち」では携わった関係者にスポットを当てる。第3回は帝国ノーザンファーム吉田勝己代表(72)。

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なぜここまで強いのか。帝国ノーザンファーム吉田勝己代表の答えは明快だった。

「2400メートルを走りきれる」

父ロードカナロアの初年度産駒。マイル以下に勝ち馬が集中するスピード特化型の血は、2200メートルのG1を制した母フサイチパンドラの子に世界有数の“速さ”を加えた。「お母さんにスピードを上乗せした感じ。それも日本の競馬に合ったのかも」。歴史的名牝誕生の背景を分析した。

後にも先にも、こんな名馬は出てこないかもしれない。背筋が伸びる強さの一方で、常にヒヤヒヤさせられる。「こんなに心配させられる馬はいない」。19年のドバイターフ直後。熱中症のような症状を見せないよう、馬体に水をかける指示を大声でする吉田代表がいた。17年10月に8冠牝馬の母はこの世を去った。至宝の無事は将来の生産界を変える。そんな思いが強い。

ジャパンCを最後に、繁殖牝馬としてアーモンドアイは牧場に戻る。吉田代表は「毎回、想像を超えてくれる。競馬を一般の方々にも広げてくれました。本当、宝物ですよ」と目尻を下げた。子どもたちはどんな走りをするのか。夢を託した馬の走りをねぎらいながら、ターフで産駒の活躍する姿を思い描く。【松田直樹】

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