<飛行機雲に乗って~福永3冠騎手(2)>

ジョッキーに任せた、悔いなきレースを。25日京都の菊花賞(G1、芝3000メートル)で史上3頭目の無敗3冠に挑むコントレイル(矢作)と主戦・福永祐一騎手(43)に迫る連載「飛行機雲に乗って~福永3冠騎手」の第2回は、コントレイルを生産したノースヒルズ前田幸治代表(71)のリモートインタビュー。鞍上との思い出を振り返り、絶大な信頼を口にした。

-菊花賞を前にした気持ちは

前田代表 まずは、無敗で菊花賞に向かえることに大変感謝しております。ホースマンとして、生産馬でこのような偉業に挑戦できることは、大変光栄なことと思っています。150年を超える日本近代競馬史の中で、3冠馬は7頭しか誕生していません。無敗どころか3冠達成ということ自体が偉業であって、並大抵のことではないと重々承知しております。

公私ともに親交の深い福永騎手が「ずっとスターホースと巡り合いたいと思っていた」と騎手としての夢を語っていましたが、我々ノースヒルズも、世界に通用する馬づくりを目指してやってきました。矢作調教師も、国内外で果敢な挑戦を続けておられます。

今年、歴史的な偉業に臨む挑戦権をコントレイルは得ています。我々ノースヒルズのモットーは「チャレンジング・スピリット」です。今は何よりも、人馬ともに、無事にレース当日を迎えること、そして、コントレイルらしい走りを見せてくれること、それだけを切に願ってはおりますが「チーム・コントレイル」で、このビッグチャンスをつかみたいです。

-福永騎手とのコンビでは07年オークスをローブデコルテで制しています

前田代表 福永騎手との初めてのG1勝利ということで、大変うれしかったです。また、外国産馬でのクラシック優勝は初ということで、JRA史にも名を残しました。1番人気のベッラレイアを猛追して鼻差での勝利でしたが、ゴールまでの直線、追い上げるローブデコルテと福永騎手を懸命に応援しました。内外と離れていたので、ゴールの瞬間は勝ったか、とは思ったのですが、周囲の方たちがすぐに「おめでとう」と祝福の声をかけてくださって、良かった、勝ったんだ、と安堵(あんど)したことを思い出します。

-福永騎手の魅力は

前田代表 騎手としてさらなる高みを目指すために、常にトライする気持ちをもっているようにお見受けしています。もはやベテランの域に入ってきていますが、自分が興味関心をもったことについては、恐れずチャレンジする勇気をもっているように思います。かつ、冷静沈着、分析型の部分も持ち合わせていますし、これまでの経験もふまえ、自信をもって騎乗されていると思います。普段、プライベートでお会いする時は、今も昔も変わらず、明るく朗らかで楽しい人柄です。ご家庭もあって、公私ともに充実しているご様子で、頼もしい限りです。

-菊花賞では、どんな騎乗を期待するか

前田代表 騎乗に関して望むことは、何もありません。人馬ともに、悔いのないレースを、コントレイルらしい走りを、と願うだけです。

-来年以降の海外遠征についてのプラン、希望は

前田代表 何事も、コントレイルの体調を第一優先にして、矢作師と相談して決めたいと思います。我々ノースヒルズとしては、欧米、ドバイ、香港、オーストラリアなど、世界には取りたいレースがたくさんありますけれど、コントレイルと1戦1戦経ていく中で、適性やチャンスがあれば、その時に考えればいいことだと思っています。今は、目前の一戦に集中しているだけです。(明日は矢作師が語る福永騎手)

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