<桜花賞:追い切り>

JRAは8日、今週以降も無観客で中央競馬開催を続行すると発表した。緊急事態宣言の発出を受けながらも牝馬クラシック第1弾、桜花賞(G1、芝1600メートル、12日=阪神)を含む今週末の開催決行。桜花賞で昨年の2歳女王レシステンシア(牝3、松下)とコンビを組む武豊騎手(51)はこの日、最終追い切りに騎乗した。歴代最多の桜花賞5勝を挙げる第一人者として、競馬界を代表するように、開催続行への決意もにじませた。

桜花賞を含む今週末の競馬開催続行が正式に発表され、武豊騎手の表情はきりっと引き締まった。

「ほっとしています。競馬は自宅で楽しんでもらえるものですし、いいレースを提供したいです」

いぜんとして無観客競馬ではあるが、明るいニュースを発信するのもジョッキーであり競馬関係者の務めだと自任する。そんな決意が言葉ににじんだ。

「今は大変な状況ですが、我々は競馬を通してテレビやラジオで多くの方が楽しんでもらえればと思って、全力で騎乗するだけです。少しでも楽しんでもらって勇気を与えられるレースができればと思います」

多くの国民がそうであるように、騎手や競馬関係者も移動などの制限を受ける。ルメール騎手など、海外帰りで2週間の自宅待機を強いられた関係者もいる。今まで通りの生活は望むべくもないが、それでもジョッキーのやることは変わらない。JRA通算4100勝以上を挙げる名手も、いつも通り、目の前の1勝を狙う姿勢を強調した。

栗東トレセンでは桜花賞でコンビを組む2歳女王レシステンシアの追い切りに騎乗した。自己ベストにして、この日の栗東坂路の1番時計となる4ハロン49秒5-12秒1を、馬なりで楽にマーク。好感触を隠さなかった。

「軽く伸ばしただけであれだけのタイムが出た。あらためてポテンシャルの高さを感じたし、レースが楽しみになった」

現役レジェンドが打ち立てた数々の記録のうちでも、桜花賞の歴代最多5勝は輝く。記録更新がかかる今回も勝利すれば、平成初(89年シャダイカグラ)と令和初の桜花賞を制することになる。「そのチャンスはある。こういう馬に騎乗できるわけですから、チャンスをものにしたい気持ちが強いですね」。積み重ねてきた歴史の1歩を今年もまた踏み出す。

3月に遠征する予定だったドバイ国際競走が中止になるなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてきた。しかしどんなときも「全力で挑むだけ。いい騎乗をして明るくしたいね」と繰り返した。次週の皐月賞にも素質馬マイラプソディに騎乗予定。日本の誇る名ジョッキーが、春のG1シーズンを紡いでいく。【辻敦子】

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