<スプリングS>◇22日=中山◇G2◇芝1800メートル◇3歳◇出走10頭◇1~3着までに皐月賞優先出走権
短期免許で来日中のライル・ヒューイットソン騎手(22=南アフリカ)が、挑戦5度目でJRA重賞を初制覇した。
6番人気ガロアクリーク(牡、上原)を初の重賞タイトルに導き、皐月賞(G1、芝2000メートル、4月19日=中山)に名乗りを上げた。直線で抜け出し、迫る2着ヴェルトライゼンデを1馬身4分の1振り切った。勝ち時計は1分49秒8。3着サクセッションまでが皐月賞の優先出走権を手にした。
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イケメンジョッキーのヒューイットソンが、日本語で答えた。レース後のインタビュー。「ありがとう」。7日の中山で日本初騎乗を果たしてから15日。テン乗りのガロアクリークを鮮やかに勝利に導いた。南アフリカ所属騎手のJRA重賞制覇は史上初。「追い切りで感触が良くて自信を持って乗りました。日本のG2を勝ったのは、すごく光栄」と胸を張った。
道中は中団待機。3~4コーナーをサクセッションと併走する形で外から進出すると、直線では残り1ハロン付近で先頭に立った。1番人気ヴェルトライゼンデが迫ると、もう1段ギアを上げて突き放した。上原師は「3着は外さないで、ときつく言っておいたけど褒めたいですね」と喜んだ。直線の狭いところでも、パートナーをひるませることなく抜け出し、メンバー最速上がりの33秒8。母国の南アフリカで17~18年、18~19年と2季連続リーディングに輝いていた22歳の若き名手は、瞬発力も引き出した。
記念の1勝を挙げ、皐月賞もガロアクリークとコンビを組む。2歳時より子供っぽさが抜け、落ち着きも出て成長は確か。「次の大きなレースに向かえるのはうれしい。2000メートルは限界かもしれないが、能力でカバーしてくれると信じている」と言った。上原厩舎といえば、11番人気のスプリングS3着→10番人気で皐月賞制したダイワメジャーがいる。スプリングSの着順こそ違うが、師は「ダイワメジャーと同じで人気薄のスプリングSから。楽しみですね」。ホープフルS2着ヴェルトライゼンデを破ったのは大きい。大舞台でも決して侮れない存在だ。【久野朗】