今春、ある種牡馬が「日本へ行く。行き先は未定」という記事が海外メディアに出た。交渉段階で情報が出てしまうことはご法度。取材をしながら、あらためて、種牡馬の導入というのは莫大(ばくだい)なお金が動き、生産界にとって大切な仕事であることを認識させられた。

ディープインパクト、キングカメハメハという2大種牡馬を失った日本。来年の日本は新たに種牡馬生活をスタートする大物であふれている。

アロースタッドに導入された超大物がカリフォルニアクローム(牡8、父ラッキープルピット)。カリフォルニア州生産馬で14年のケンタッキーダービー、プリークネスSの2冠を制し、その後も16年のドバイワールドカップを勝つなど、近年のアメリカを代表する個性派の名馬だ。同種馬場には令和最初のダービー馬ロジャーバローズ(牡3、父ディープインパクト)もけい養される。

社台スタリオンステーションには今年のアメリカ年度代表馬の最有力候補となっているブリックスアンドモルタル(牡5、父ジャイアンツコーズウェイ)、ケンタッキーダービーで1位入線→17着降着のマキシマムセキュリティを出したニューイヤーズデイ(牡8、父ストリートクライ)、そして、ダービー馬レイデオロ(牡5、父キングカメハメハ)がスタッドインする。

ブリックスアンドモルタルはダート中心のアメリカとはいえ、芝G1を5勝。欧州の強豪も参戦するBCターフも制した。ニューイヤーズデイは代表産駒マキシマムセキュリティが快進撃を続けている。レイデオロは父キングカメハメハ、母の父シンボリクリスエスでサンデーサイレンスの血を持たず、3代母はウインドインハーヘアという超良血だ。

日本軽種馬協会にはアニマルキングダム(牡11、父ルロワデザニモー)がやってきた。デビューからオールウェザー、芝を走り、ダート未経験のまま挑んだ11年ケンタッキーダービーを制した異色の馬だ。父の父キャンディストライプスはバブルガムフェローの半兄であり、南米アルゼンチンで大活躍した種牡馬。父ルロワデザニモーはブラジル産馬。半妹サトノダムゼル(父ディープインパクト)は今年の秋華賞に出走している。

ダーレーは今年のドバイワールドカップで史上初の連覇を達成したサンダースノー(牡5、父ヘルメット)、昨年のドバイシーマクラシック覇者ホークビル(牡6、父キトゥンズジョイ)を日本へ配置してきた。

前者はフランスで芝のG1も2勝している万能タイプ。後者はキトゥンズジョイの後継種牡馬として注目の存在になる。キトゥンズジョイはアメリカで芝の活躍馬を多く輩出しただけでなく、欧州では昨年の欧州年度代表馬ロアリングライオン(今年急死)を出し、日本でもジャンダルム、ダッシングブレイズなどの重賞ウイナーを出している。

ブリーダーズスタリオンステーションではサトノアレス(牡5、父ディープインパクト)、アルアイン(牡5、父ディープインパクト)、シュヴァルグラン(牡7、父ハーツクライ)などのG1馬が新たにけい養される。

ディープインパクト、キングカメハメハの死が2020年の競馬に直接的に影響することはないだろうが、2年後、3年後はどうなるのか。ハーツクライは18歳になり、2020年、社台スタリオンステーションの種付け料トップ種牡馬はサンデーサイレンス系の種牡馬ではなく、ロードカナロアになった(2000万円)。

新しい種牡馬の導入は毎年のことではあるが、柱となっていた2頭を失い、大物種牡馬が続々とやってきて、日本の競馬、種牡馬の勢力図はどう変わっていくのか。種牡馬の戦国時代が始まる。

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