<朝日杯FS>◇15日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇2歳◇出走16頭

破格の大器だ。1番人気サリオス(牡、堀)が3戦3勝で王座に就いた。好位から難なく突き抜けて1分33秒0のレースレコードV。馬体重538キロでレース史上最重量制覇と記録ずくめの勝利だ。

ライアン・ムーア騎手(36=英国)も将来性を絶賛。来春はクラシックへ駒を進める見通しだ。

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栗毛の538キロが仁川の傷んだ芝を独走した。西日に照らされた進撃の巨体。サリオスだ。ラスト300メートルで先頭へ。刀のように振り下ろされるムーアの右ステッキが、最後まで気を抜かせない。2馬身半差の完勝。馬上の“笑わない男”もわずかに白い歯を見せる。赤帽に左手を添え、代名詞の敬礼ポーズでクールに喜びを表した。

ムーア すばらしい馬に乗せてもらえて光栄。思っていた通りに好位につけて、直線で後続を寄せつけなかった。すごく強い勝ち方。体もできあがっていて賢い。僕が競馬ファンなら、この馬を追いかける。みなさんも追いかけてほしい。

いつもは派手な表現をしない「アイスマン」が、静かな口調で最大限の賛辞を送った。先行馬総崩れの中で、3番手から力の差を見せつけた。1分33秒0はレースレコードだが「最後のコーナーで(外へふくれ)幼さを見せた。もっと速く走れていた」と明かす。底知れない大器だ。

英国の名手は絶大な信頼に応えた。パドックでの堀師の言葉は「自由に乗ってきて」だけだったという。これでJRA重賞14勝中10勝(海外馬除く)が堀厩舎。モーリスでアジアを席巻した黄金コンビがまた1頭、逸材を頂点へ導いた。堀師も「この時期の2歳で、これだけの競馬ができる馬はそういない。もともと総合力が高いけど、変にそれることなく順調に育っている」と目を細めた。

来春は距離を延ばしてクラシックを視界に入れる。ノーザンファームの吉田勝己代表は「すごく強い馬。皐月賞を目指すことになる。距離も問題ないと思う」と見通しを示した。誰もが絶賛する規格外の大器。2歳馬離れした巨体には、限りない可能性が詰まっている。【太田尚樹】

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