<高松宮記念>◇G1◇24日=中京◇芝1200メートル◇4歳上◇出走18頭

短距離界に新たなスターが誕生した。福永祐一騎手(42)が騎乗した3番人気ミスターメロディ(牡4、藤原英)がG1を初制覇した。好位から抜け出し、1分7秒3で勝利。鞍上は、19日に老衰で死んだ、ダービー初騎乗の相棒キングヘイローの“後押し”にも感謝した。昨年リーディングの藤原英昭調教師(53)はJRA・G1の10勝目。今後は海外挑戦も視野に入る。

福永騎手はすがすがしい表情だった。相棒ミスターメロディは初の芝1200メートルだったが、迷わず好位置を取りにいった。他馬の動きも見ながら直線へ。ここぞとばかりに内の進路を選んだ。「多少、内が荒れていたが、もともとダートを走っていたくらいパワーのある馬。苦にしないと思った」。思い描いた通り、瞬時に加速し、長い直線を一気に駆け抜けた。右手で拳を作り、白い歯を見せた。

ゴール板を過ぎて頭をよぎったのは、19日に老衰のためこの世を去ったキングヘイローだった。自身のダービー初騎乗(98年14着)の相棒は、00年の高松宮記念でG1を制覇した。「G1を勝てる馬だったんだとあらためて思った」。その背中に自分はいなかった。ディヴァインライトに騎乗し首差の2着。かつての相棒の背中を見た。「今でも鮮明に覚えている」。負けた悔しさより、キングヘイローをこの手でG1馬にできなかった後悔があった。

「このタイミングだったので、後押ししてくれたのかなと。僕にとっては大きな糧をくれた馬だけど、お返しができなかったから」

あの日から19年。忘れられない思い出ができた。

前走の敗戦から巻き返しを狙った藤原英師や、厩舎スタッフを信頼していた。「どういう調教をしているか、普段から見て理解している厩舎だから」。G1で同厩舎の馬に乗るのは15回目。これまでは14年マイルCS(フィエロ)の2着が最高成績だった。「この厩舎でG1を勝たないと、と思っていたし、大きなチャンスだった」。喜びはさらに大きくなった。

メロディは今後、海外挑戦も視野に入る。「芝、ダートを問わず、いろんな選択肢のある馬」と楽しみは広がる。新たな相棒にG1タイトルをプレゼントした42歳の名手は、キングヘイローへの感謝を胸に、次の名馬誕生につなげていく。【辻敦子】

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