強力エールがG1制圧を後押しだ。フェブラリーS(G1、ダート1600メートル、17日=東京)でJRA女性騎手としてG1に初参戦する藤田菜七子騎手(21=根本)に援軍が登場した。ニュージーランドのリサ・オールプレス騎手(43)はメールで応援メッセージを送信。憧れの騎手からのエールにやる気になる一方、“レジェンド”武豊騎手(49)は対抗意識を燃やす。

小雪ちらつく栗東トレセンで新コンビを待ち望む馬がいる。重賞連勝中のコパノキッキングは全休日の11日、馬房で穏やかな1日を過ごした。調教役の新谷助手は「状態は悪くないし、前走(根岸S1着)から上積みはあると思う。距離に何とか対応できれば」と期待感を募らせた。レースで鞍上に迎えるのは唯一のJRA女性騎手、藤田菜七子。勝負の1週間が静かに幕を開けた。

世界広しといえど、情報は瞬く間に拡散される。JRA女性騎手として初めてG1に挑戦するニュースも海を渡った。南半球のニュージーランド。藤田騎手が尊敬するリサ・オールプレス騎手からもメッセージが届いた。「ナナコがレースで頑張ってくれることを心の底から願っています」。リサは11-12年、15-16年シーズンの2度、ニュージーランドのリーディングを獲得したスーパーウーマン。百人力に値する強力な援軍だ。


並んだ力こぶの絵文字が背中を押す。レースでの対戦は16年10月に5回対戦し、リサが4回先着。男勝りの力強い追い方、勝利への執念は文末の「GIRL POWER」に乗り移った。藤田騎手は「本当ですか!? 最近は連絡を取っていないけど、気にかけてくださっているのはすごくうれしい」と気持ちを高ぶらせた。

とはいえ、年間3500超も行われるレースで平地G1はたった24競走。やすやすと勝たせてはもらえない。フェブラリーS4勝、JRA・G1・75勝の“レジェンド”武豊騎手も大きな壁となって立ちはだかる。武豊騎手は「彼女にとってもすごいチャンスをもらったわけだし、力が入るでしょうね。オーナーとの相性もあるし、自分でつかみとったチャンスでもある」と気鋭のライバルにエールを送りつつ、不敵に笑った。

「ただ、レースでは応援できないけどね」

これまで57回の対戦で武豊11勝、藤田1勝と水をあけられている。騎乗馬インティは6連勝中、単勝1番人気も視野に入る新星だ。「去年、G1を勝てなかったから1発目で決めたい」。笑顔の裏はメラメラした闘志がうかがえる。競馬界のヒーローとヒロインの共演。水面下では早くも戦いが始まっている。

◆リサ・オールプレス 1975年5月20日、ニュージーランド生まれ。旧姓マンビー。96年に騎手免許を取得。15-16年シーズンはGI・3勝を含む171勝を挙げ、2度目のニュージーランドリーディングを獲得。13年には通算1000勝を達成。家族は夫のカールは調教師、長男ジョシュ、次男アンガス。短期免許で3回、来日経験がある。15年新潟大賞典(ナカヤマナイト)2着などJRA通算241戦11勝。

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