<平成最後の夢 障害王オジュウの挑戦(1)>

「第63回有馬記念」(G1、芝2500メートル)は23日、中山競馬場で発走する。ファン投票で堂々10万票を集め3位で選出された障害王オジュウチョウサン(牡7、和田正)の挑戦に「平成最後の夢 障害王オジュウの挑戦」と題した連載で迫る。運命のコンビを組むのは有馬記念3勝の名手武豊騎手(49)。今年、JRA通算4000勝を達成した天才騎手はなぜオジュウチョウサンを選んだのか、勝算はあるのか、激白した。

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オジュウチョウサンと有馬記念に臨む武豊は笑みを浮かべて語った。「すごく注目されている。夢があって面白いんじゃないかな」。障害重賞9連勝、J・G1・5勝のジャンプ界の天才ホースをグランプリの相棒に選んだのは、日本中の期待に応えたい一心だった。「(長山)オーナーの熱意も感じるし、一番最初に声をかけてもらったというのもある。ファン投票3位というのも、この馬に騎乗しようと思った大きな要素です」。10万382票の重みを背負い障害王にまたがる。

鞍上からみても、これほどドラマチックな馬はいない。「平地でデビューして、未勝利戦でも全然ダメで。競走馬として難しいと言われた馬が、新しい道(障害)に進んだ。それでも最初はしんがり負け。そこから強くなっていき、障害界で絶対的王者になった。無敵だったのにあえて平地に参入してきたからね」。得票数だけでなく、ファンの異様な熱気はターフでも実感した。2度目の騎乗となる前走南武特別。ゲートインの際、東京競馬場のスタンドから拍手が聞こえた。「土曜の9Rでの拍手は初めて。すごかった。重賞並み」。先頭でゴールしガッツポーズをしたのは、ファンサービスの意味もあった。

注目に見合う力も感じる。「乗り味がすごくいい馬。体が柔らかい。だから障害も上手に跳べるのかな。自分の中での障害馬っぽくない。柔らかくて頭の低い走りをする。これでよく障害を跳ぶなと思う」。底知れないものをまだ秘めているのかもしれない。

運命的なつながりもある。87年の騎手デビューから間もないころ、栗東トレセンの障害を跳んでいた。競馬学校の卒業生は例外なく、平地と障害、両方の免許を取る。武豊は「俺、本当に上手だったんだよ。天才と言われていた」と笑う。「障害もやろうと思っていたけど(兄弟子の)河内さんにやめておけと言われた」。5年ほどで障害免許は返上したが、仮に「二刀流」の騎手人生を送っていたら・・・。もちろん当時、障害チャンピオンの手綱を取り、有馬記念に出ることなど、夢にも思わなかったという。

迎える大一番は、ここ2戦とは比較できないほど相手が強くなる。「さすがに厳しいでしょうけど・・・見せ場をつくれたら。(オジュウは)暮れの中山が強いからね(笑い)。去年とは違う感じで注目されているけど、僕自身は気楽です」。1年前はキタサンブラックで有終の美を飾った。今年の騎乗も、ファンの心をゆさぶる。【平本果那】(つづく)

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