来月7日の凱旋門賞(G1、芝2400メートル=パリロンシャン)に向けた地元前哨戦が日曜(16日)に終了しました。本番と同コース、同距離で行われた牝馬限定のヴェルメイユ賞(G1)、3歳馬によるニエル賞(G2)、そしてクリンチャーが出走した古馬のフォワ賞(G2)の3つで、最も良い勝ちっぷりを披露したのがフォワ賞のヴァルトガイスト(牡4、父ガリレオ)でした。

逃げる形になったクリンチャー(6着)を前に見て6頭立ての5番手追走から直線大外を一気にごぼう抜き。P・ブドー騎手がムチも使わず、まさに馬なりのままでタリスマニックに2馬身半差をつける次元の違う強さを見せつけました。

この結果を受けたブックメーカーは前売りオッズを修正。本命は昨年の凱旋門賞馬で、今月8日の復帰戦セプテンバーS(G3、オールウエザー2400メートル=ケンプトン)を逃げ切って約11カ月ぶりの実戦を白星で飾ったエネイブル(牝4、父ナサニエル)、2番人気も愛オークスと古馬混合のヨークシャーオークスを連勝中のシーオブクラス(牝3、父シーザスターズ)で変動はありませんが、ヴァルトガイストの単勝オッズは7倍台に引き上げられて、エネイブルと同じJ・ゴスデン厩舎の古馬エース、クラックスマン(牡4、父フランケル)に次ぐ4番手評価となっています。

舞台となるパリロンシャン競馬場は約2年半の大工事を終えて今年4月に再オープン。スタンドの建て替えとともにコースにも手が加えられ、右回りの直線に入ってすぐの内側が約6メートルえぐれた形の「オープンストレッチ」が取り入れられています。

これは一人乗りの2輪車を馬が引く繋駕(けいが)速歩競走や、古いイタリアの競馬場などでよく見られたコーススタイルで、逃げて役目を終えたペースメーカーのための退避路として使われていましたが、新生パリロンシャンでは直線に向いて幅員が広がることによって、批判の多かった多頭数競馬の外枠不利の是正を目的につくられたと聞きます。

馬場の良かった日曜のロンシャンは中央から外を伸びる馬の活躍が目立ちましたが、フルゲート20頭の凱旋門賞になってはじめてオープンストレッチの効用が表れるのかもしれません。(ターフライター)【奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)

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