<夏だ!!競馬だ!!>

 ブームの前から、将棋を楽しみ、勝負勘を磨く競馬関係者がいた。「夏だ!! 競馬だ!!」では、栗東トレセンの将棋愛好家が集う「栗東将棋部」に潜入。部員の北沢伸也騎手(46=フリー)や難波剛健騎手(34=フリー)らに将棋の魅力や競馬に通じるポイントを聞いた。数手先を読む力は、馬券検討にも有効のはず!?

 15歳の天才棋士、藤井聡太四段の登場で、空前の将棋ブームが到来している。だが栗東トレセンではそれ以前から、将棋を愛する関係者の間で、熱く楽しい対局が繰り広げられていた。中心になっているのが「栗東将棋部」。助手や厩務員、普段はレースで愛駒を操る騎手も部員として棋盤の駒に熱中していた。

 「展開を読んだり、想定していなかった場合の切り替え方だったり、全体を見なきゃいけないところだったり、競馬に通じる部分はありますね」。そう話すのは、現在騎手の中で“実力NO・1棋士”と言われる難波騎手だ。

 夢中になったきっかけは3年前、北沢騎手の障害100勝祝いの宴席だった。同席していた白浜騎手が「NHKで将棋戦を見ている」と明かしたことで、少年時代に祖父や父と対局して遊んでいた難波騎手が触発された。ネットで将棋盤を注文。トレセン内の騎手控室に常設し、調教の合間や調教後に指し始めた。

 レースではライバル関係となる騎手仲間と指し合ううちに、勝負師の本能も揺さぶられた。「みんな負けず嫌いだからね。新しい戦い方を覚えてきたりしましたよ。魅力は、やっぱり詰ませた時の気持ち良さです」。今では、将棋アプリで初段を取得する腕前だ。

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 難波騎手の好敵手で、将棋アプリ1級の北沢騎手も、その奥深さにすっかり引き込まれている。羽生善治3冠の対局をネット中継で「かじりついて見てます」と笑う。46歳のベテラン騎手は「ボケ防止、気分転換ですよ」と言いつつ「定期的にプロ棋士も栗東に来てくれるし、異業種交流が面白いんです。渡辺竜王とも知り合いになれたし人脈が広がりました」と話す。

 いよいよ8月に入り、まさに夏本番。連日の猛暑で疲れが出始める時期なのに、栗東将棋部員は目を輝かせていた。夏競馬を勝ち抜くには、頭の活性化が不可欠。馬券作戦にコマった時は、気分転換に駒を指してみるのもいいかもしれない。【取材・構成=木村有三】

 ◆難波剛健(なんば・よしやす)1982年(昭57)11月1日、岡山県生まれ。01年3月に初騎乗。JRA通算90勝(うち障害で33勝)。重賞は15年阪神スプリングJ(J・G2)など2勝。

 ◆北沢伸也(きたざわ・しんや)1971年(昭46)6月9日、千葉県生まれ。90年3月に初騎乗。JRA通算246勝(うち障害で124勝)。重賞は14年中山大障害(J・G1)など5勝。

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