<侍ホースマン紹介(2)>

25日深夜にメイダン競馬場でドバイ国際競走が行われる。注目の「人」を取り上げる「侍ホースマン」の第2回は、クリストフ・ルメール騎手(43)。

06年にハーツクライで制したドバイシーマC(G1、芝2410メートル)に、今年はイクイノックス(牡4、木村)で挑む。17年ぶりの同レース勝利で、年度代表馬を世界最強へと導く。

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鮮烈な勝利が懐かしい。今から17年前。ルメール騎手は自身初騎乗となった06年シーマCをハーツクライと逃げ切った。前年有馬記念でディープインパクトを封じた大胆な先行策も衝撃だったが、異国の地ではさらに度肝を抜いた。ルメール騎手は「未熟な時にそういうレースを勝って自分に自信がつきました」と回顧する。

当時は2年続けて欧州の世代別最優秀牝馬に輝いたディヴァインプロポーションズなどとともに、国内外で地位を固めていたころ。02年から短期免許で来日も重ねていたが、まだ世界的には売り出し中の若手の1人にすぎなかった。「その後の依頼をもらう機会も増えたし、ターニングポイントになったと思う。特別な馬」。人生が変わった。今となれば、それだけ価値のある1勝だった。

転機を与えてくれた馬は、9日に22歳でこの世を去った。「日本での原点・・・、ですね」。訃報に触れた直後、そう語った馬と勝ったレースに年度代表馬イクイノックスと臨むのも巡り合わせか。

ルメール騎手 すでに天皇賞・秋の時で熟成されていたと肌で感じましたし、有馬記念は最終コーナーから最後の追い上げは抜きんでていたのではないかと、乗りながら感じていました。個人的には4歳になってさらに記録を伸ばすのではないかと思う。

デビューからコンビを組み続け、陣営が相棒を“天才”と称すことにも深くうなずく。「可能性を秘めていると思う。大丈夫だと信じている」。日本最強から世界最強へ。将軍ルメールが17年ぶりの勝利を目指す。【松田直樹】

▼この日のイクイノックス 助手を背にダートコースをキャンターで2周した。木村師は「ドバイに移動してきて日が浅いですが、日ごとにこちらの環境に慣れてきています。美浦で状態を整えてきたので、こちらでは輸送の疲れを取りながら調整しています」とコメント。海外G1初制覇へ順調に仕上がってきている。

◆日本馬の海外同一G1連覇 ドバイシーマCのシャフリヤールは同レース初の連覇がかかる。海外同一G1の連覇はエイシンプレストンが02~03年の香港・クイーンエリザベス2世Cで、ロードカナロアが12~13年香港スプリントで達成している。

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