<川崎記念>◇2016年1月27日=川崎◇統一G1◇ダート2100メートル◇4歳上◇出走13頭

ついに偉業が達成された。1番人気ホッコータルマエ(牡7、西浦)が早め抜け出しから、サウンドトゥルーの差し脚をしのいで勝利。川崎記念3連覇とともに、史上初のG1・10勝目を飾った。勝ちタイムは2分14秒1。あらためて底力を示した砂の王者は、3度目のドバイワールドC(G1、ダート2000メートル、3月26日=メイダン)に挑む。

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これが王者の底力だ。直線半ばで抜け出したホッコータルマエに、外からサウンドトゥルーが襲いかかる。昨秋は3戦連続で先着されている伸び盛りのライバル。決め手比べでは分が悪いはずだが、しぶとく伸び返した。人馬の意地が4連敗を許さなかった。

「今日は(コパノ)リッキーがいないし、後ろのサウンドだけを意識していました」。幸騎手は勝敗の分かれ目となった2周目3コーナーを振り返る。後ろにいたサウンドが内から先に動いたのを見て、外からふたをするようにコーナリング。ライバルが下がってきた馬に詰まる隙に、一気にリードを広げた。勝負どころでの微妙な駆け引きが、頭差の辛勝に結びついた。

川崎記念3連覇だけでなく、史上初となるG1・10勝目の偉業も達成した。ゴール後のウイニングランが喜びの大きさを物語る。「いつ以来ですかね。僕はほとんどやらないんですけど、今日は節目でしたので」。珍しい行為は馬への尊敬とファンへの感謝の表れ。今年JRA未勝利の幸自身にとっても、気持ちの吹っ切れる勝利だった。

昨年の帝王賞でG1・9勝目を挙げてから、3連敗。力の衰えを疑う声もあったが、実力ではね返した。まだまだ日本のダート王はタルマエ。次は3度目のドバイへ挑む。西浦師は「やっぱりここを勝ってドバイに行きたかった。昨秋はG1・10勝というのが、ずっと頭を離れなかった。それを達成できたし、もっともっと記録を上積みしたい」と気を引き締めた。史上初の記録も通過点だ。【高木一成】

◆ホッコータルマエ▽父キングカメハメハ▽母 マダムチェロキー(チェロキーラン)▽牡7▽馬主 矢部道晃▽調教師 西浦勝一(栗東)▽生産者 市川ファーム(北海道浦河町)▽戦績 35戦17勝▽総収得賞金 10億7474万1800円▽主な勝ち鞍 12年レパードS(G3)、13年佐賀記念(統一G3)、名古屋大賞典(統一G3)、アンタレスS(G3)、かしわ記念(統一G1)、帝王賞(統一G1)、JBCクラシック(統一G1)、東京大賞典(統一G1)、14年川崎記念(統一G1)、チャンピオンズC(G1)、東京大賞典(統一G1)、15年川崎記念(統一G1)、帝王賞(統一G1)▽馬名の由来 冠名+樽前山より

(2016年1月28日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時

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