<香港ヴァーズ>◇2001年12月16日=シャティン◇国際G1◇芝2400メートル◇出走14頭

やった! 武豊騎手(32)騎乗のステイゴールド(牡7、栗東・池江)がラストランで悲願のG1制覇だ。香港ヴァーズ(芝2400メートル=シャティン競馬場)に出走、後方待機から直線で鋭く伸びてゴール寸前で差し切った。日本で生産された馬の海外G1勝利は史上初めて。武は海外G1・6勝目となり、トゥザヴィクトリーで臨む有馬記念へ弾みをつけた。続く香港マイルをエイシンプレストンが、香港カップをアグネスデジタルが制し、日本馬はこの日のG1・3競走をすべて制す快挙となった。

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450メートルの直線、半ばにあるターフビジョンを過ぎたあたりから、2頭の差はみるみる詰まっていく。前を行くのはUAEのエーカー。追いかけるのはステイゴールド。「ステイ、GO~!」。日本人のみならず、地元香港のファンからも声援が飛ぶ。その声に後押しされるように伸びる。直線を向いた時に7、8馬身あった差がラスト100メートルではもう2馬身。残された距離で一完歩ごと丹念に差を詰め、ゴール板で測ったように差し切った。

その差は頭。単勝2・0倍の圧倒的1番人気にこたえての世界制覇だ。「最後は羽が生えているようだった。ステイゴールドを応援してくれた皆さん、おめでとうございます」。満面笑みの武豊からは、どこかで聞いたフレーズ(ヤクルト若松監督)が飛び出した。まさに劇的な幕切れ。引退レースであり、通算20回目の挑戦にしてのG1初制覇。「海外だったことが、逆境に強いこの馬らしい。この馬には本当にG1を勝たせてやりたかった」。目を真っ赤にした池江泰郎調教師(60)が声を上ずらせた。

春にはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイシーマクラシック(G2)で今年の競馬ワールドシリーズチャンピオンのファンタスティックライトを破った。「世界でもっとも有名な馬」は武豊の口癖だ。京都大賞典ではテイエムオペラオーに先着し1位入線(直線での斜行で失格)するなどG1を勝つ能力は持っていた。だが、追ってから左側にモタれる癖が、肝心のレースで出ていた。天皇賞(秋)も7着。この日も直線で左にモタれたが、武豊が内さくに強引に馬を引っ付け立て直して追うと、しっかり伸びた。「海外ではしっかりと走ってくれる。苦しい(海外遠征の)時ほど、この馬の生命力が爆発するのだろう」(池江師)。

「やっとG1を勝てた。本当にうれしいね」。武豊は今年、フランスを本拠地に騎乗した。世界への飛躍を望み、香港で最高の締めくくりができた。そして今週は日本のフィナーレ、有馬記念に向かう。ステイゴールドと武豊の優勝が刺激となり、日本馬はG1・3連勝。日本ではG1を勝てないまま引退していくステイが、それ以上に大きな成果を香港に残した。

◆ステイゴールド▽父 サンデーサイレンス▽母 ゴールデンサッシュ(ディクタス)▽牡7▽馬主 (有)社台レースホース▽調教師 池江泰郎(栗東)▽生産者 白老ファーム(北海道・白老町)▽戦績 50戦7勝▽総収得賞金 約8億9430万円▽主な勝ちクラ 目黒記念(G2)ドバイシーマクラシック(G2)など重賞4勝目(G1は今回が初勝利)

(2001年12月17日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時

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