<井上 香港EYE22(1)>

11日にシャティン競馬場で行われる香港国際競走に日本馬計14頭が参戦し、国内では4レースで馬券が発売される。連載「井上 香港EYE22」が今日6日からスタート。東京の井上力心(よしきよ)記者が、気になる馬などをピックアップする。第1回は香港C(G1、芝2000メートル)のパンサラッサ(牡5、矢作)に騎乗する吉田豊騎手(47)を直撃した。2着の前走天皇賞・秋は見せ場たっぷりの大逃げ。今回も逃走劇で海外G1・2勝目を狙う。

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最も好きな馬は? と聞かれれば伝説の快速馬サイレンススズカだ。周りを気にせず己の道を行くスタイルはとにかく格好いい。香港Cに出走するパンサラッサにも、サイレンススズカなど希代の逃げ馬に重なる魅力を感じる。

天皇賞・秋では一時後続を20馬身近く離す大逃げを打ち、持ち味のしぶとさを見せ連対を外さなかった。舞台、相手が変わっても同馬のスタイルを貫くことに迷いはない。

吉田豊騎手 自分が乗った時はハナしか行ってないのでね。他馬の出方もあるけど、特に日本のライバルは手ごわいことは分かっていると思うから。こちらとしてはできれば自分の競馬をしたい。

海外G1を初制覇(1着同着)した3月のドバイターフでも主導権を握った。香港も徹底した作戦を取る構えだ。

98年の天皇賞・秋。サイレンススズカの前半1000メートル通過は57秒4だった。くしくもパンサラッサは、24年前と同じラップを刻んだ。鞍上は「スタートも頑張って出てくれて、外から来ても突っ張れてリズム良く行けました。多少ペースが速くてもと思っていたし、ここ2戦自分から行く感じはなかったけど、涼しくなって元気になった」。馬のリズムを尊重したことが、ファンを驚かせた大逃げにつながった。

「馬も力をつけているし、陣営からも状態がいいという話を聞いている。ドバイで勝ったという自信もある」と確かな手応えがある。【3 2 0 1】と抜群の相性を誇るコンビ。異国の地でライバルの日本馬、地元香港の有力馬ロマンチックウォリアー(せん4)などを尻目に、自慢の逃走劇を目に焼き付けられることを期待している。

■鍵握る1コーナー

【井上チェック】

シャティンの芝2000メートルはスタンド前での発走になる。スタートして150メートルほどで1コーナーを迎え、位置取り争いは激しい。そこで好位を取れるかどうかも勝敗を握る。ゲート番は内枠にこしたことはない。吉田豊騎手も「すぐにコーナーなので前回と同じくらい出てくれれば」とスタートには注意を払っている。

ここ10年の香港Cの逃げ切り勝ちは3頭。15年の日本馬エイシンヒカリ、17年、18年は地元香港のタイムワープ、グロリアスフォーエバーがそれぞれ制した。パンサラッサの1角の入りがレースの流れを握る。

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