<ステイヤーズS>◇3日=中山◇G2◇芝3600メートル◇3歳上◇出走14頭

遅咲きの長距離砲が誕生した。3番人気シルヴァーソニック(牡6、池江)が最内を抜け出して重賞初制覇を飾った。勝ち時計は3分46秒3。真ん中7番枠から内ラチ沿いを終始運んだダミアン・レーン騎手(28)の手綱さばきが光る勝利。リピーターの活躍が目立つレースで、今年は昨年3着馬が栄冠をつかんだ。

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激しく上下する黄色帽が内ラチ沿いを抜けてきた。レーン騎手とシルヴァーソニックが開幕週の馬場を味方につけた。隊列を引っ張ったディアスティマの内を突く。隙間はわずか1頭分。レーン騎手は「スペースができてからはいい反応をしてくれた」と振り返る。最初から最後までインにこだわって狭い空間をぶち抜いた。

序盤で勝負はあった。通過するコーナーは8回。距離ロスの積み重ねは着差に影響する。1角までに芦毛の馬体は、真ん中7番枠から最内に潜り込んでいた。レーン騎手にとっては今回が初めて日本での3000メートル超のレース。「スタートしてすぐラチ沿いのいい位置が取れたことで、有利な競馬になった。長距離では強い馬になっていくと思う」。瞬時に最善手を見抜くさすがの判断力で、史上8組目の4きょうだい重賞制覇に導いた。

池江師にとっては節目のJRA通算800勝が重賞制覇。それも、自身が管理した3冠馬オルフェーヴルの子どもでのメモリアルVだ。天皇賞・春の落馬失格から7カ月ぶりの逆転劇に、「ブラボー!!」とサムライブルーを重ねた。次走は未定も、新しい景色が見えた1勝となった。【松田直樹】

◆シルヴァーソニック ▽父 オルフェーヴル▽母 エアトゥーレ(母父トニービン)▽牡6▽馬主 (有)社台レースホース ▽調教師 池江泰寿(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 20戦5勝▽総収得賞金 1億8104万円▽馬名の由来 音速の銀

◆4きょうだい重賞V シルヴァーソニックは姉アルティマトゥーレ(09年セントウルSなど)、兄キャプテントゥーレ(08年皐月賞など)、兄クランモンタナ(16年小倉記念)に続く重賞V。グレード制を導入した84年以降、4きょうだい以上によるJRA重賞勝利は史上8例目。

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