チャンス到来だ。9年目の石川裕紀人騎手(27=相沢)がジュンライトボルト(牡5、友道)に騎乗するチャンピオンズCで、人馬ともにG1初制覇を狙う。重賞は6勝しているが、G1は18度の挑戦で5着(21年秋華賞のスライリー)が最高。夏の福島で出会った関西馬で悲願を果たす。

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時は来た。石川騎手が言葉に熱を込める。「今までで一番のチャンスだと思います」。運命の出会いは今年7月の福島。ダート初挑戦のジュンライトボルトに初騎乗し2着に入ると、続くBSN賞で転向後初勝利。さらにG3シリウスSも楽に突破した。「いいタイミングで乗せてもらいました。古馬らしい風格があってすでに完成されている馬。今回も自信を持って臨めます」と熱は増す。

経験を力に変える。鞍上は今年で9年目。2年目の15年に40勝を挙げ日刊スポーツ制定の「中央競馬年間ホープ賞」を受賞。同年の有馬記念でG1初騎乗以降、3度のダービー挑戦など毎年G1の舞台を踏んでいる。「G1でしか得られないことは多いです」と騎乗機会に感謝する。

直近でも衝撃を受けた。今年G1初騎乗のジャパンCで極限のせめぎ合いを目にした。「前後左右とも全く隙間がなかったです」。後方からで決着まで見えなかったが、レース後にムーア騎手のヴェラアズールの勝利を知り「あの馬群を抜け出すのはすごすぎます」と驚いた。「ムーア騎手を参考にしながら、今は自分の形もできてきました」。今回も同レースに騎乗する名手は、今も憧れの存在だ。

今年は丸田騎手、横山和騎手、荻野極騎手、坂井騎手の4人がG1初制覇を果たした。師匠の相沢師も「裕紀人もG1を勝てば新しい世界が広がってくる。チャンスをものにしてほしいね」と背中を押す。「僕は馬の力を信じて乗るだけです」。27歳の青年が自らの腕とパートナーを信じ、未来を開く。【桑原幹久】

◆石川騎手のJRA・G1成績 通算で18戦し、21年秋華賞5着が最高着順。初騎乗は15年有馬記念。15番人気のオーシャンブルーで15着だった。最高人気馬は19年ホープフルSのブラックホールで5番人気9着。ダービーは16年イモータル(15着)、19年エメラルファイト(12着)、20年ブラックホール(7着)の3頭で経験している。

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