<ジャパンC>◇28日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳上◇出走18頭
無敗の3冠馬コントレイル(牡4、矢作)が、ラストランを勝利で締めた。昨年の菊花賞以来となる待望のG1・5勝目。福永祐一騎手(44)、矢作芳人調教師(60)がともに「宝物」と話す名馬が、あらためて日本最強を証明し、多くのファンに見守られながらターフに別れを告げた。
伝説の幕開けは一昨年の11月だった。デビュー戦を快勝し、迎えた東スポ杯2歳S。素質馬がそろった初重賞で、あっという間に他馬を置き去りにした。2歳レコードで5馬身差の圧勝。早くも翌年のダービーに当確ランプがともった。
その期待に応えるように翌年は皐月賞、ダービー、菊花賞を次々に制覇。父ディープインパクト以来15年ぶりに無敗でクラシック3冠を制し、日本競馬史に名を刻んだ。
しかし、続くジャパンCでアーモンドアイの2着に敗れ、今年初戦の大阪杯も重馬場に泣いて3着。その疲労から春は1戦のみで休養に入り、立て直して臨んだ前走の天皇賞・秋も3歳馬エフフォーリアの2着に敗れた。
“コントレイルはもう勝てないのか・・・”
引退レースを前に、多くの競馬ファンにそんな心配がよぎる。ただ、主戦の福永騎手に迷いはなかった。
「あの馬が強い馬だという認識は何ひとつ変わっていない。能力に関しては、俺が疑う余地がないくらいに持っているから。これが最後になるけど、競走馬コントレイルとしての最後をいい形で締めくくりたいし、有終の美を飾りたいと強く思っている」
愛馬の強さを信頼し、全力で騎乗したジョッキーと、そのアクションにしっかり応えたコントレイル。まさに人馬一体を体現し、最後につかんだ大きなタイトルだった。
いよいよ、お別れの時。これからは父ディープの後継と期待される種牡馬として、第2の馬生がスタートする。コロナ禍に誕生した、記憶にも記録にも残る3冠馬。飛行機雲の伝説は、生まれてくる子どもたちがつなげていく。
◆コントレイル▽父 ディープインパクト▽母 ロードクロサイト(アンブライドルズソング)▽牡4▽馬主 前田晋二▽調教師 矢作芳人(栗東)▽生産者 (株)ノースヒルズ(北海道新冠町)▽戦績 11戦8勝▽主な勝ち鞍 19年東京スポーツ杯2歳S(G3)、ホープフルS、20年皐月賞、ダービー、菊花賞(以上G1)、20年神戸新聞杯(G2)▽馬名の由来 飛行機雲