<ジャパンC>◇2000年11月26日=東京◇国際G1◇芝2400メートル◇4歳上◇出走16頭

テイエムオペラオー(牡5、栗東・岩元)が直線のたたき合いを制して今年無敵の7連勝、通算G1・5勝目を飾った。これで12億円ホースとなり、日本のスペシャルウィーク、米国のシガーを抜き世界の賞金王の座に就いた。次走は12月24日の有馬記念。秋の天皇賞に続く優勝で2億円ボーナスにも王手をかけた。新婚の和田竜二騎手(23)はG1・5勝目。激しい2着争いはメイショウドトウ(牡5、栗東・安田伊)が、鼻差でファンタスティックライト(牡5、UAE)を抑えた。

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テイエムオペラオーが天皇賞に続いてジンクスを切り崩した。1番人気14連敗と本命馬受難の歴史にピリオドを打ち、今年不敗の7連勝と圧倒的な強さを世界に見せつけた。

先に抜け出したメイショウドトウを残り100メートルすぎに捕らえ、外から怖い怖いデットーリのファンタスティックライトが襲いかかる。だが和田には確信があった。「首だけ出た時点で、もうかわされないと思った。脚に余裕があったからね。力でねじ伏せてくれた」。オペラオーの鼻面が真っ先にゴール板に到達した時、和田はストレートパンチを繰り出すように右手を前に突き出した。並み居る世界のトップホースに見舞った見事なノックアウトパンチだった。

祝福するデットーリに右手を差し出してこたえた和田は、竜二コールで迎える10万観衆に向かってゆっくりとウイニングラン。1000メートル63秒0の超スローペースに珍しく引っ掛かりながらも、崩れない。「すごく信頼できる」。人馬の太い絆(きずな)はファンも承知で、単勝150円、史上最高50・5%の支持。内閣支持率が下降を続ける今、信じられるのはオペラオーしかない。

和田は13日に挙式したばかりの智子夫人(22)を競馬場に呼んだ。馬場入場の雄姿に、感動で思わず涙があふれたという智子さんは「本人から見に来いと言われたんです。まさかこんなに大きなレースを目の前で勝ってくれるなんて。これ以上幸せなことはありません」と言葉を詰まらせた。

賞金2億5000万円を上積みしたオペラオーの獲得賞金は12億1647万7000円となり、スペシャルウィークを抜いた。世界最高とされる米国のシガーの999万9815ドル(当時のレートで約10億9980万円)をも上回り世界の賞金王の座に就いた。

次走は予定通り年末のグランプリ。今年から天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念すべてを勝った馬に2億円のボーナスが出される。「今年全勝は夢でもあるし、かなえたい」と和田。来年も現役続行、国内戦に専念することが発表され、21世紀もオペラオー時代を予感させた。【岡山俊明】

◆テイエムオペラオー▽父 オペラハウス▽母 ワンスウエド(ブラッシンググルーム)▽牡5▽調教師 岩元市三(栗東)▽馬主 竹園正継▽生産者 杵臼牧場(北海道浦河町)▽戦績 18戦11勝▽総収得賞金 12億1647万7000円▽主な勝ちクラ 99年毎日杯(G3)皐月賞(G1)2000年京都記念(G2)阪神大賞典(G2)天皇賞・春(G1)宝塚記念(G1)京都大賞典(G2)天皇賞・秋(G1)

(2000年11月27日付 日刊スポーツ紙面より)

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