<ジャパンC>◇1998年11月29日=東京◇G1◇芝2400メートル◇出走15頭

日本の4歳馬エルコンドルパサーが世界の強豪をねじ伏せた。距離不安、キャリアの浅さなど、ささやかれていた不安を吹き飛ばす快走で、海外遠征へ向けて一段と弾みがつきそうだ。2着に昨年の2着馬エアグルーヴ、3着に今年のダービー馬スペシャルウィークが入り、日本馬が1~3着までを独占する快挙を果たした。

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「ゴールした瞬間ゾクゾクッときた」。1996年(平8)天皇賞以来2度目となるG1制覇の快感を味わった蛯名正義騎手(29)は、ゴールの瞬間、派手なガッツポーズで喜びを爆発させた。この日は3Rで今週から実効6日間の騎乗停止処分を食らった。「しばらく乗れないんでここで頑張ろうと思った」。勝負運が落ちるどころか、逆に気合を高め関東リーディングジョッキーの底力を見せつけた。

ジョッキーの気持ちに極限まで仕上げられたエルコンドルパサーもこたえた。これまでゲートが遅れがちだったが珍しくロケットスタートで飛び出した。「ハナを切るんじゃないかと思ってびっくりした」と、蛯名も一瞬焦りの色を見せたほど。やや掛かり気味で1コーナーを回っていく姿に、二ノ宮敬宇(よしたか)師(46)も「まずいな」と思ったという。だが、馬を怒らせないよう細心の注意を払うジョッキーの手綱さばきで、向正面で落ち着きを取り戻した。その後は3番手でじっくりと追走。逃げたサイレントハンターの1000メートル通過が1分0秒5と思ったよりペースが上がらなかったこともあり、スタミナも十分に温存できた。

「直線でハミを取ってくれて、これならと思った」。4角を回った時、蛯名は勝利の予感を得ていた。ジョッキーのステッキに対して、一歩一歩グングンとストライドを伸ばすエルコンドル。これまでは1800メートルまでしか経験したことがないだけに、周囲に距離不安の声は絶えなかったが心配は無用だった。2着に2馬身半差をつける圧勝。距離の壁を吹き飛ばした瞬間だった。皇帝シンボリルドルフでも達成できなかった、日本の4歳馬としては史上初のJC制覇だ。

馬の負担などを考えて、次の有馬記念は使わないことが決定している。見えてくるのは来春の海外遠征のプランだ。レース後の会見で渡辺隆オーナーは「まだ具体的には決めていないが、できれば行きたいと思っている」と意欲を示した。蛯名も「4歳でこれだけの走りができる馬はそんなにいない。無限の可能性を秘めた馬だと思う。海外遠征はオーナーと調教師が決めることだけど、もし行くなら自分もその場に居合わせたい」と期待を膨らましている。これまで7戦6勝、2着1回のパーフェクト連対。どこまで成長するのか、まだ強さの底を見せていないエルコンドル。さらに大きな舞台を求めて、今度は世界へはばたくことになりそうだ。【高木一成】

◆エルコンドルパサー▽父 キングマンボ▽母 サドラーズギャル(サドラーズウエルズ)▽牡4歳▽馬主 渡辺隆▽調教師 二ノ宮敬宇(美浦)▽生産者 Takashi Watanabe▽戦績 7戦6勝▽主な勝ちクラ 98年共同通信杯4歳S、ニュージーランドT4歳S(G2)NHKマイルC(G1)▽総収得賞金 3億7607万8000円

(1998年11月30日付 日刊スポーツ紙面より)

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