<BCフィリー&メアターフ>◇6日(日本時間7日)=米デルマー◇G1◇芝2200メートル◇出走12頭

日本初の快挙だ。ディープインパクト産駒ラヴズオンリーユー(牝5、矢作)と川田将雅騎手(36)が歴史的勝利を挙げた。勝ち時計は2分13秒87。1984年に創設された米国競馬の祭典BC(ブリーダーズカップ)で、日本人騎手、日本調教馬の勝利は、いずれも史上初だ。19年のオークス、今年の香港クイーンエリザベス2世Cに続くG1・3勝目となった。

日本では1番人気、現地でも3番人気の支持を受けた。中団前方につけ、直線で狭い馬群を割って抜け出した。川田騎手は「4コーナーでもスペースがなくて仕掛けを遅くせざるをえない中で、短い直線でしっかり脚を使ってくれました。ありがたくすばらしいこと。長いBCの歴史の中で、日本の馬の名前を刻めて、その馬上に騎手としていられたことを本当に光栄に思います」と喜びを語った。クールな36歳が両手を天に突き上げ、夢の実現を心から喜んだ。

鞍上にとっては少年時代から憧れてきた夢舞台だった。「僕の中で凱旋門賞と並んで特別なレースです。米国で一番の祭典ですから」。幼い頃から、佐賀の元騎手の父孝好調教師が録画した「世界の競馬」(NHK・BS1の番組)を何度も見てきた。デビュー18年目で訪れた初挑戦の機会。コロナ禍で帰国後に隔離があり、G1シーズン中の離脱となっても「それでも行かせていただきたいという僕のわがままで、ご迷惑をおかけする方々へは申し訳ないです」と、並々ならぬ覚悟で渡米した。

今年のラヴズオンリーユーは日本、ドバイ、香港に続く4カ国目の出走で、世界を駆け回ってきた。これで15戦7勝(うち海外3戦2勝)。16年ドバイターフを制した全兄リアルスティールに続き、世界へ名をとどろかせた。すでにオーストラリア、UAE、香港でG1を制している矢作師にとっては海外4カ国目の頂点となった。「BCは米国では祭典中の祭典。日本の馬はまだ勝ったことがないし、初めて勝ちたいという思いは強い」。挑戦をためらわない果敢な姿勢が快挙を成し遂げた。

今後はすでに香港C(G1、芝2000メートル、12月12日=シャティン)の招待を受諾しており、状態を見極めた上で転戦する見通しだ。アメリカンドリームをかなえた人馬の挑戦は、まだまだ終わりそうにない。

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