衰え知らずのJRA最年長ジョッキーの柴田善臣騎手(55)は、日曜新潟メインのレパードS(G3、ダート1800メートル、8日)でメイショウムラクモ(牡3、和田勇)とコンビを組む。

前走古馬混合の条件戦を7馬身差で圧勝。1戦1戦パフォーマンスを上げてきた相棒と重賞制覇の大チャンスだ。日本中が沸くオリンピックの熱気に負けじと大ベテランが灼熱(しゃくねつ)の夏競馬をさらに熱くさせる。

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「競馬が一番の趣味だよね」。車、釣り、ゴルフ、ワインなどなど多趣味でも有名な柴田善臣騎手はこう言う。デビュー37年目。先月30日には55歳を迎えた。若手に交じって朝の調教で精力的に汗を流し、常に楽しそうな表情を浮かべているのが印象的だ。「やっぱり馬に乗ること、レースに乗るのが好きなんだよね。自分の思い通りの競馬をして勝てた時は何にも替え難い。ケガして休んでると早く乗りたいと思うもん。中毒に近いよね(笑い)」。ヨシトミの表情からは「引退」の2文字は当分、見えてきそうにない。

金メダルラッシュの東京五輪からも刺激を受けている。夕方6時には酒をたしなみながらテレビにくぎ付けという熱狂ぶり。「特にソフトボールの金メダルは感動した。上野選手が最後に投げるってのも良かった。騎手は翌週にレースがあってすぐに気持ちを切り替えることができるけど、(北京五輪優勝から)13年間もモチベーションを保つのは難しいし、本当にすごいこと。やっぱり力をもらえるよね」と感心しきりだ。続けて「競馬もオリンピックがあればいいのにね。出てみたいよね」とちゃめっ気たっぷりに言う。活力は驚くほどに無限だ。

メイショウムラクモは初めてまたがった時から高い能力を感じていた。2走前の伏竜S2着など、近3戦2勝。「この馬と重賞に挑めるのはうれしい。前走も全然オーバーペースじゃないんだよ。俺のペースで走らせろと馬が言っているみたいでね。いい感じに成長してくれているし、もっと上を目指せる馬。何とか大成させたいね」。JRA史上最年長重賞Vがかかる一戦への期待は高まる。

レパードSの翌9日は盛岡のクラスターC(統一G3、ダート1200メートル)に転戦。東京スプリント(統一G3)を制したリュウノユキナ(牡6、小野)と2日連続重賞制覇の可能性もある。関屋記念(G3、芝1600メートル、15日=新潟)は20年阪急杯覇者ベストアクター(せん馬7、鹿戸)、新潟2歳S(G3、芝1600メートル、29日)にはアバンチュリエ(牡2、手塚)と有力馬がスタンバイ。五輪にパワーをもらった55歳の8月が熱い。【井上力心】

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