日本障がい者乗馬協会は16日、東京パラリンピック大会で行われる馬術競技の日本代表候補選手4人を発表し、元JRA騎手の高嶋活士(28=コカ・コーラボトラーズジャパンベネフィット)が初めて選ばれた。

JRAの騎手経験者が五輪も含めて馬術で代表入りするのは初めて。大会は8月26日~30日まで東京・世田谷区の馬事公苑で行われる。

高嶋は代表選考の最終予選会となった10~13日のオランダでの大会で65・732%の得点をマークした。「最終予選会の出場に際して最後のチャンスを与えていただいたことに感謝いたします。オランダで練習をこなしていく過程で、馬とのコミュニケーションが深まりコンビネーションも次第に向上していきました。競技前は心に余裕が生まれ、人馬一体となって演技できました。東京パラリンピックに出場するすべての人馬の環境は一緒です。良い演技を皆様に見せられるように頑張ります」と喜びのコメントを寄せた。

落馬事故による15年9月の騎手引退後から、馬場馬術でパラリンピック出場を目指した。16年に現在の練習拠点としている埼玉県深谷市にある乗馬クラブ、ドレッサージュ・ステーブル・テルイに移った。同クラブの照井慎一代表は、リオデジャネイロ五輪日本代表馬術監督を務め、そのスペシャリストの直接指導を受けてきた。障がいレベルが2番目に軽いグレード4の選手として、ハノーバー種のせん馬ケネディ(13歳)とコンビを組みレベルアップを図ってきた。

JRA時代は美浦・柴崎勇厩舎所属で11年にデビュー。同期には森一馬騎手、横山和生騎手らがいるが、13年2月の障害戦で落馬事故に遭った。飛越の際に他馬と接触する形で転倒してコースに投げ出された。頭部外傷、脳挫傷、右鎖骨骨折の診断。右半身にまひが残り、右腕にも力が入らなかった。2年半に及ぶリハビリで復帰を目指していた時、常石勝義元JRA騎手がパラリンピックを目指していることを知り「勝負の世界にいたから、また勝負の世界に」と4年に1度の大舞台を目標にする決意を固めた。

JRA通算244戦0勝(うち障害39戦)6回の2着が最高と騎手時代は勝利に恵まれなかった高嶋が、念願の日の丸を背負って世界と戦う。

◆パラ馬術 肢体不自由、視覚障がいを持つ人のために「馬場馬術」のルールを一部変更して行う。男女の区別はない。96年アトランタ大会から正式種目。障がいの程度に応じて最も重いグレード1から最も軽いグレード5の5段階に分かれる。歩き方やステップの正確性、乗り手と馬の一体感などの運動項目を5人の審判が10点満点で採点し、その合計得点(パーセント表示)で順位を決める。高嶋のグレード4は常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)を織り交ぜて決められた経路を進む。

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