<天皇賞・春>◇2日=阪神◇G1◇芝3200メートル◇4歳上◇出走17頭

名ステイヤーの誕生だ! 福永祐一騎手(44)が騎乗した3番人気のワールドプレミア(牡5、友道)が、19年菊花賞以来の勝利で春の盾を手にした。

鞍上は18度目の挑戦で念願の天皇賞・春初勝利。史上4人目のJRA重賞150勝を達成するとともに、76年にエリモジョージで制した父洋一元騎手との親子制覇も果たした。馬は放牧を挟み、次走が検討される。

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漆黒の馬体を弾ませながら、ワールドプレミアが仁川のターフを疾走した。直線の上り坂を2回駆け上がる阪神芝3200メートルにふさわしい消耗戦。1000メートル通過59秒8という速い流れを中団で追走し、直線で馬場の真ん中に導かれると、鞍上のアクションに応えるように力強く伸びた。

「非常に強かったです。最後はみんなの脚があがった中で、よく抜けてきてくれた。馬の頑張りをほめてあげたい」

福永騎手は死力を尽くした相棒をたたえた。

例年とは違う、阪神での大一番で初コンビ。加えて「スタートを決めていいポジションを」という戦前のプランが崩れ、想定外の競馬になった。しかし、名手に焦りはなかった。

「調教にまたがって特性はつかんでいたし、それを生かせればと思っていた。スタートは決まらなかったけど、内枠ですぐリカバリーできたし、スタート後はすぐ切り替えて、馬のリズム最優先で運んだ」

コントレイルで無敗の3冠ジョッキーとなった昨年、騎手として新たな境地に達した。「馬にまたがってコンタクトをとることで、これまでの経験から、より馬のことが分かるようになった」。その感覚通りに、今回はワールドプレミアを理解し、ポテンシャルを最大限に生かす好騎乗。応えて3200メートルを走りきった馬も見事。まさに“人馬一体”の勝利だった。

一昨年の菊花賞以来、2つ目のG1タイトルを奪取し、今後は長距離王として次なる強豪を迎え撃つ。次走について友道師は「オーナーと相談して決めます」としながら「まだまだこれから良くなってきそうです」と将来にさらなる期待を寄せた。新たに誕生した“名ステイヤー”の挑戦は始まったばかりだ。【藤本真育】

◆ワールドプレミア▽父 ディープインパクト▽母 マンデラ(アカテナンゴ)▽牡5▽馬主 大塚亮一▽調教師 友道康夫(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 11戦4勝▽総収得賞金 4億5594万3000円▽主な勝ち鞍 19年菊花賞(G1)▽馬名の由来 世界規模での上映会を目指して

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