<ジャパンC>◇29日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳上◇出走15頭
最強牝馬の壁は厚かった。3歳の牡牝2頭の3冠馬は2番人気コントレイル(牡、矢作)がアーモンドアイ(牝5、国枝)から1馬身1/4差の2着、3番人気デアリングタクト(牝、杉山晴)はさらに首差の3着に終わり、いずれも初の黒星を喫した。
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曇天の府中の直線。ターフの「飛行機雲」コントレイルが大外を猛然と伸びてきた。アーモンドアイには1馬身4分の1差届かなかった。デビュー8戦目で初黒星となったが、上がり3ハロンはメンバー最速の34秒3を記録。同じ無敗の3冠牝馬デアリングタクトには首差先着した。福永騎手は「一生懸命強い相手に走ってくれた。アーモンドアイは強かったです」とすがすがしい表情で話し、矢作師も「勝った馬は強い。これだけの馬にリベンジできないのは悔しいです」と引退する女王との最初で最後の対決を振り返った。
死力を尽くした菊花賞からの中4週。1週前追い切りで併走馬に遅れるなど状態面を心配された。馬体重は前走から2キロ減でキープし、鞍上も自信を持ってレースに臨んだ。「コンディションはいい時と変わらなかったです。少しエキサイトしていたけど、スタートは良かったし、先団を見ながら、いいリズムで運べました。最後は苦しくなって左にモタれていた。結果は残念だけど、力は見せられた」。
矢作師は「大逃げで難しいレースになったと思ったし、彼(コントレイル)に向く瞬発力勝負ではなかったが、それが競馬。条件はみな同じ」と言い訳はせず、「肩の荷が下りたというか、負けていないプレッシャーはかなりきついものがあったので」と歴史的決戦に挑んだ心境を明かした。
このレースが今シーズンの最終戦。矢作師は「休養でもう一段階成長できれば。来年はベストの距離である2000メートルくらいから」と見通しを語った。春は大阪杯(G1、芝2000メートル、4月4日=阪神)が目標になる。特別な1年に競馬ファンへ希望を与えた3冠馬。敗戦を糧に来年はさらなる飛躍が期待される。【木南友輔】