<3強毎日ジャッジ 世紀の一戦>

史上初めて3冠馬3頭が激突するジャパンC(G1、芝2400メートル、29日=東京)に向けて、日刊スポーツでは「3強毎日ジャッジ 世紀の一戦」と題して、さまざまな角度から分析。第2回は、本紙評論家の坂口正大元調教師(79)が3強の馬体を診断した。トップ評価は芝G1・8勝馬アーモンドアイ(牝5、国枝)。以下、コントレイル(牡3、矢作)デアリングタクト(牝3、杉山晴)の順となったが、それぞれをアスリートに例えると、やはり3頭とも歴史に名を残す名馬だとよくわかる。

<アーモンドアイ>

馬体だけで言えば、アーモンドアイが3頭の中でトップ評価です。立ち姿は年を重ねるごとに父のロードカナロアに似てきました。特に丸みを帯びた後躯(こうく=後ろ脚部分)がすばらしいですね。前脚を高く上げるフォームや、一瞬にして抜け出すあの非凡な瞬発力は、この後躯から繰り出されるのでしょう。

前走から約3週間で、ここまでふっくら、ゆったりした感じに柔らかい筋肉が回復してきたことが、何より状態の良さを示しています。間隔が詰まって敗れた今年の安田記念の失敗を繰り返さないよう、陣営と牧場サイドが調整を工夫しているのでしょう。

まさに円熟の域に入っていますね。アスリートに例えるなら、数々の実績を残してきたスピードスケート五輪金メダリストの小平奈緒選手です。

◆小平奈緒(こだいら・なお)

1986年(昭61)5月26日、長野・茅野市生まれ。

冬季五輪獲得メダルは10年バンクーバーの女子団体追い抜き銀。18年平昌では500メートル日本女子スピードスケート初の金、同1000メートル銀。

<コントレイル>

2番手評価はコントレイルです。ほどよく寝ている肩、父ディープインパクトによく似た尻をはじめ、むだ肉がついていないすばらしい馬体。5月のダービー時と大きくは変わっていませんが、ピカピカの毛ヅヤと鍛えられた筋肉は当時より数段、目立ちます。

欲を言えば、これ以上は細くなってほしくないですね。父ディープと同じく、本当に必要な筋肉だけがついているという見方もできますが、菊花賞の激闘の後ですし、これ以上は減ってほしくないところです。

前走時458キロという馬体重は、現代の牡馬では小さい部類です。小さい体で全身が筋肉、年長者に交じって活躍するアスリートといえば、飛び込みの玉井陸斗選手ですね。

◆玉井陸斗(たまい・りくと)2006年(平18)9月11日、兵庫・宝塚市生まれ。

19年4月、日本室内選手権高飛び込みで12歳7カ月の史上最年少優勝。同年9月、日本選手権も最年少優勝。今年9月、日本選手権連覇。152センチ、46キロ。

<デアリングタクト>

3頭での比較となると、デアリングタクトは3番手評価になりますが、むだ肉のないすばらしい体です。肩先や胴が伸びていて、尻がペチャッとしているのは父エピファネイアの特徴で、非常によく似ています。距離がもつ体形です。

前走の秋華賞時の馬体重は480キロ。5月のオークス時から14キロ増でした。ひと回りもふた回りも成長していますね。その前走から約1カ月の写真ですが、緩んだところはまったく見受けられません。3頭の中で前走からの間隔が最も長いですし、少し楽をさせたと思いますが、緩みはまったくありません。

まだキャリアは5戦。若くて、これからの成長が期待でき、長距離をこなせるとなれば、陸上女子1500メートル、3000メートルの日本記録保持者、21歳の田中希実選手と重なります。

◆田中希実(たなか・のぞみ)1999年(平11)9月4日兵庫・小野市生まれ。

今年7月、3000メートルで8分41秒358月、1500メートルで4分5秒27。いずれも女子日本記録。母千洋さんは北海道マラソン2度優勝。

◆坂口正大(さかぐち・まさひろ)1941年(昭16)2月19日生まれ、京都府出身。JRA元調教師。76年の厩舎開業からJRA通算7286戦686勝。重賞27勝。G1はマヤノトップガンでの95年菊花賞、有馬記念、96年宝塚記念、97年天皇賞・春、キングヘイローでの00年高松宮記念、デュランダルでの03、04年マイルCS連覇など9勝。92年から02年まで日本調教師会副会長・関西本部長。弟子は浜中俊騎手。11年2月末に引退。同年4月から日刊スポーツ評論家。

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